司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問65
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問題
平成30年度 司法書士試験 午後の部 問65 (訂正依頼・報告はこちら)
金銭以外の財産を出資の目的とする募集株式の発行による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 弁済期の到来した第三者に対する金銭債権を出資の目的とする場合において、会社が募集事項の決定の際に当該金銭債権の価額を1000万円と定めていたときは、その価額が相当であることについて当該会社の監査役である弁護士の証明を記載した書面及びその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
イ 普通株式2000株のみを発行している会社が、その発行した償還期の到来していない社債を出資の目的とし、かつ、募集事項の決定の際に当該社債の価額を800万円と定めていた場合において、募集株式を引き受けようとする者が募集に係る普通株式200株の総数の引受けを行う契約を締結したときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しなければ、募集株式の発行による変更の登記を申請することができない。
ウ 普通株式2000株のみを発行している会社が、製造機械を出資の目的とし、かつ、募集事項の決定の際に当該機械の価額を500万円と定めていた場合において、募集株式の引受人に対し新たにその発行する普通株式200株及び自己株式50株を割り当てるときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しないで、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
エ 市場価格のある有価証券を出資の目的とし、かつ、会社が募集事項の決定の際に当該有価証券の価額を900万円と定めていた場合において、当該有価証券を当該会社に給付した日におけるその市場価格が1000万円であるときは、当該市場価格を証する書面を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
オ 不動産の賃借権を出資の目的とする場合において、会社が募集事項の決定の際に当該賃借権の価額を2000万円と定めていたときは、その価額が相当であることについて税理士の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を記載した書面並びにその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
ア 弁済期の到来した第三者に対する金銭債権を出資の目的とする場合において、会社が募集事項の決定の際に当該金銭債権の価額を1000万円と定めていたときは、その価額が相当であることについて当該会社の監査役である弁護士の証明を記載した書面及びその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
イ 普通株式2000株のみを発行している会社が、その発行した償還期の到来していない社債を出資の目的とし、かつ、募集事項の決定の際に当該社債の価額を800万円と定めていた場合において、募集株式を引き受けようとする者が募集に係る普通株式200株の総数の引受けを行う契約を締結したときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しなければ、募集株式の発行による変更の登記を申請することができない。
ウ 普通株式2000株のみを発行している会社が、製造機械を出資の目的とし、かつ、募集事項の決定の際に当該機械の価額を500万円と定めていた場合において、募集株式の引受人に対し新たにその発行する普通株式200株及び自己株式50株を割り当てるときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しないで、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
エ 市場価格のある有価証券を出資の目的とし、かつ、会社が募集事項の決定の際に当該有価証券の価額を900万円と定めていた場合において、当該有価証券を当該会社に給付した日におけるその市場価格が1000万円であるときは、当該市場価格を証する書面を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
オ 不動産の賃借権を出資の目的とする場合において、会社が募集事項の決定の際に当該賃借権の価額を2000万円と定めていたときは、その価額が相当であることについて税理士の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を記載した書面並びにその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
- アイ
- アエ
- イウ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 4
ア 誤り
株式会社は、金銭以外の財産を出資の目的とする場合において、当該財産の内容及び価額を定めたときであっても、その価額が相当であることについて弁護士の証明を受けた場合は、現物出資財産の価額につき検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条9項4号)。
もっとも、監査役は現物出資財産の価額が相当であることの証明をすることはできません(同条10項1号)。
イ 誤り
募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合は、現物出資財産の価額につき検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条9項1号)。
本肢の場合、募集株式の引受人に割り当てる株式の総数は200株であり、発行済株式の総数である2000株の10分の1を超えていないため、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく、募集株式の発行による変更の登記を申請することができます。
ウ 正しい
現物出資財産について定められた価額の総額が500万円を超えない場合は、現物出資財産の価額につき検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条9項2号)。
本肢の場合、現物出資財産である製造機械の価額は500万円であるため、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく,募集株式の発行による変更の登記を申請することができます。
エ 誤り
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた価額が、当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合は、当該有価証券についての価額につき検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条9項3号)。そして、会社法施行規則43条1号では、有価証券の市場価格の算定方法として、「現物出資財産の価額を定めた日における当該有価証券を取引する市場における最終の価格」と「価額決定日において当該有価証券が公開買付け等の対象であるときは、当該価額決定日における当該公開買付け等に係る契約における当該有価証券の価格」のうちいずれか高い額とされています。
本肢では、「当該有価証券を当該会社に給付した日におけるその市場価格」となっているため、当該市場価格を証する書面を添付して。募集株式の発行による変更の登記を申請することはできません。
オ 正しい
現物出資財産について定められた価額が相当であることについて税理士の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合は、現物出資財産の価額につき検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条9項4号)。ここでいう「不動産」には、不動産の賃借権も含まれると解されています。
よって、本肢では、現物出資財産の価額が相当であることについて税理士の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を記載した書面並びにその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができます。
よって、正しい肢はウとオとなり、4が正解となります。
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02
正解:4
<解説>
ア:誤りです。
現物出資財産について定められた価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合には、当該証明を受けた現物出資財産の価額について検査役の調査は不要です(会社法207条⑨⑷)。
しかし、⑴取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人、⑵募集株式の引受人、⑶業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者、⑷弁護士法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が⑴又は⑵に掲げる者のいずれかに該当するものは、会社法207条9項4号に規定する証明をすることができません(会社法207条⑩)。
本肢の場合は、⑴に該当します。
したがって、本肢は誤りです。
イ:誤りです。
募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合には、当該募集株式の引受人が給付する現物出資財産の価額について、検査役の調査を受ける必要はありません(会社法207条⑨⑴)。
本肢は、この場合に該当します。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
本肢は、現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合に当たり、検査役の調査を受ける必要がありません(会社法207条⑨⑵)。
したがって、本肢は正しいです。
エ:誤りです。
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合には、現物出資財産の価額について検査薬の調査を要しません(会社法207条⑨⑶)。
この「法務省令で定める方法」は、①現物出資財産の価額を定めた価額決定日における当該有価証券を取引する市場における最終の価格(当該価格決定日に売買取引がない場合又は当該価額決定日が当該市場の休業日に当たる場合にあっては、その後最初になされた売買取引の成立価格)、または、②価額決定日において当該有価証券が公開買付け等の対象であるときは、当該公開買付け等に係る契約における当該有価証券の価格のうち、いずれか高い額をもって有価証券の価格とする方法です(会社法施行規則43条)。
当該有価証券を当該会社に給付した日の市場価格を有価証券の価格とはしていません。
したがって、本肢は誤りです。
オ:正しいです。
現物出資財産の価額が相当であることにについて、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合、検査役の調査を受ける必要がありません(会社法207条⑨⑷)。
賃借権は、現物出資にあたっては不動産とされるので、本肢の場合、価額が相当であることについて税理士の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を記載した書面並びにその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができます。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、正しいものは肢ウ・オであり、正解は4となります。
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03
ア:誤
現物出資財産について、募集事項の決定の際に定められた価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額につき検査役の調査を要しません(会199Ⅰ③、207Ⅸ④)。ただし、取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人は、前記、価額が相当であることについて証明することはできません(会207Ⅹ①)。
イ:誤
現物出資をする募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が、発行済み株式の総数の10分の1を超えない場合は、検査役の調査を要しません(会207Ⅸ①)。
ウ:正
現物出資財産について、募集事項の決定の際に定められた価額の総額が500万円を超えない場合、当該現物出資財産の価額につき検査役の調査を要しません(会199Ⅰ③、207Ⅸ②)。
エ:誤
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるもの(会施規43)を超えない場合、当該現物出資財産の価額につき検査役の調査を要しません(会199Ⅰ③、207Ⅸ③)。
オ:正
現物出資財産について募集事項で定められた価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。)を受けたときは、検査役の調査を要しない(会199Ⅰ③、207Ⅸ④)とされているところ、前記「現物出資財産である不動産」に不動産賃借権も含まれますので、税理士の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を記載した書面並びにその附属書類を添付して、募集株式の発行による変更の登記を申請することができます。
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