司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問66
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問題
平成30年度 司法書士試験 午後の部 問66 (訂正依頼・報告はこちら)
種類株式の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 会社法上の公開会社でない会社が定款を変更して、「株主Aは、他の株主に交付する1株当たりの剰余金の配当額につき15%を付加した額にその有する株式の数に乗じて得た額の配当を受ける。」旨を定めたときは、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の設定による変更の登記の申請をしなければならない。
イ 会社が取得請求権付株式の株主から請求を受け、数回にわたり、当該取得請求権付株式の取得と引換えに当該会社の他の種類の株式を発行した場合には、その都度、取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記の申請をしなければならない。
ウ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行している会社がA種種類株式につき株式の併合をした場合には、株式の併合による変更の登記の申請書には、登記すべき事項である発行済株式の種類及び種類ごとの数として、その数に変更のないB種種類株式に関する事項も記載しなければならない。
エ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行している会社がA種種類株式の内容を変更して取得条項付株式とした場合には、株式の内容の変更の登記の申請書には、A種種類株式を有する株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
オ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行し、B種種類株式につき譲渡により取得するためには会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている会社が、新たな種類の株式として、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することができる種類株式についての定款の定めを設けた場合には、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記の申請をしなければならない。
ア 会社法上の公開会社でない会社が定款を変更して、「株主Aは、他の株主に交付する1株当たりの剰余金の配当額につき15%を付加した額にその有する株式の数に乗じて得た額の配当を受ける。」旨を定めたときは、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の設定による変更の登記の申請をしなければならない。
イ 会社が取得請求権付株式の株主から請求を受け、数回にわたり、当該取得請求権付株式の取得と引換えに当該会社の他の種類の株式を発行した場合には、その都度、取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記の申請をしなければならない。
ウ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行している会社がA種種類株式につき株式の併合をした場合には、株式の併合による変更の登記の申請書には、登記すべき事項である発行済株式の種類及び種類ごとの数として、その数に変更のないB種種類株式に関する事項も記載しなければならない。
エ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行している会社がA種種類株式の内容を変更して取得条項付株式とした場合には、株式の内容の変更の登記の申請書には、A種種類株式を有する株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
オ 現にA種種類株式及びB種種類株式を発行し、B種種類株式につき譲渡により取得するためには会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている会社が、新たな種類の株式として、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することができる種類株式についての定款の定めを設けた場合には、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記の申請をしなければならない。
- アエ
- アオ
- イウ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 5
ア 誤り
非公開会社は、剰余金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます(会社法109条2項)。
当該定めがある場合の株式は種類株式とみなされますが、当該定めは登記事項ではありません。
イ 誤り
取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記申請は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りるとされています(会社法905条3項2号)。
ウ 正しい
発行済株式の総数並びに発行済株式の種類及び数は、登記上1つの単位であるため、株式の併合など、その一部に変更が生じた場合は、変更がないものも含めて、あらためて登記しなければなりません。
本肢の場合、その数に変更のないB種種類株式に関する事項も記載する必要があります。
エ 正しい
種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として取得条項付株式とした場合には、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければなりません。
よって、本肢の場合、株式の内容の変更の登記の申請書には、A種種類株式を有する株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければなりません。
オ 誤り
指名委員会等設置会社及び公開会社は、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任することにつき異なる定めをした内容の異なる二以上の種類株式を発行することはできません(会社法108条1項ただし書)。
本肢における株式会社は、その発行する一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていないことから公開会社となり(会社法2条5号)、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任することにつき異なる定めをした内容の異なる二以上の種類株式を発行することはできません。
よって、正しい肢はウとエとなり、5が正解となります。
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02
正解:5
<解説>
ア:誤りです。
公開会社でない株式会社は、⑴剰余金の配当を受ける権利、⑵残余財産の分配を受ける権利、⑶株主総会における議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます(会社法109条②)。
この定款の定めがある場合には、この株主が有する株式をこの権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、会社法の「株式会社」について定めた第2編と「組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付」について定めた第5編の規定を適用しますが(会社法109条③)、「登記」について規定する第7編第4章の規定については、定款で定めた株主ごとに異なる取扱いを行う株式を内容の異なる種類の株主とみなして適用されることはありません。
よって、本肢の場合、変更の登記を申請することはありません。
したがって、本肢は誤りです。
イ:誤りです。
取得請求権付株式の取得の請求による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から2週間以内にすればよく、その都度、登記の申請をする必要はありません(会社法915条③⑵)。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
株式会社の設立の登記において、「発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数」を登記事項の一つとして登記しなければなりません(会社法911条③⑼)。
これにより、本肢においてA種種類株式につき株式の併合をした場合には、株式の併合による変更の登記の申請書には、A種種類株式に関する事項のみならずB種種類株式に関する事項も含めて記載する必要があります。
したがって、本肢は正しいです。
エ:正しいです。
種類株式発行会社が、ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式を取得条項付株式とし、定款の変更をしようとするときには、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければなりません(会社法111条①)。
そして、登記すべき事項につき株主全員若しくは種類株主全員の同意又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があったことを証する書面を添付しなければなりません(商業登記法46条①)。
したがって、本肢は正しいです。
オ:誤りです。
本肢の会社は、A種種類株式は自由に譲渡できる株式であるから、公開会社です(会社法2条⑸)。
指名委員会等設置会社及び公開会社は、取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)又は監査役の選任条項のついた種類株式を発行することができません(会社法108条①ただし書)。
これらにより、本肢の会社は、取締役の選任条項のついた種類株式を発行する旨の定めを設ける定款の変更の登記を申請することはできません。
したがって、本肢は誤りです。
以上により、正しいものは肢ウ・エであり、正解は5となります。
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03
ア:誤
非公開会社においては、剰余金の配当を受ける権利について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることができます(会105Ⅰ①、109Ⅱ)。当該定めのある株式は、種類株式とみなされますが、当該定めは登記事項となっておりません。
イ:誤
取得請求権付株式の取得の対価として株式の発行をする場合、その変更登記の申請については、毎月末日現在により、当該末日から2週間以内にすれば足りるとされています(会166Ⅰ、915Ⅲ②)。
ウ:正
登記記録上、発行済株式の総数並びにその種類及び数は1つの単位であるので、一部の種類株式についてのみ併合をした場合であっても、全ての種類株式に係る発行済みの株式の数を記載することとされています。したがって、本肢の場合、株式の数に変更のないB種種類株式に関する事項も記載しなければなりません。
エ:正
種類株式発行会社がある種類の株式の内容として取得条項付株式についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければなりません(会108Ⅰ⑥、111Ⅰ)。したがって、本肢の場合、株式の内容の変更の登記の申請書には、A種種類株式を有する株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければなりません。
オ:誤
公開会社及び指名委員会等設置会社は、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、取締役又は監査役を選任することについて異なる定めをした種類株式を発行することができません(会108Ⅰ⑨、Ⅰ但書)。本肢の株式会社は、一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない公開会社である(会2⑤)ので、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、取締役又は監査役を選任することについて異なる定めをした種類株式を発行することができません。
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