司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問67

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問題

平成30年度 司法書士試験 午後の部 問67 (訂正依頼・報告はこちら)

次のアからオまでの株式会社(特例有限会社を除く。)の登記のうち、解散の登記の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができないものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  募集新株予約権の発行による変更の登記

イ  監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの設定による変更の登記

ウ  定款に監査役の任期の定めがない場合における監査役の任期満了による退任の登記

エ  資本金の額の減少による変更の登記

オ  清算株式会社が吸収合併消滅株式会社となる吸収合併による変更の登記

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この過去問の解説 (3件)

01


正解 5

ア 登記の申請をすることができます
株式会社は、清算中であっても募集新株予約権を発行することができます(会社法487条2項1号)。
よって、募集新株予約権の発行による変更の登記の申請をすることができます。

イ 登記の申請をすることができます
清算株式会社が非公開会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)である場合、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができます(会社法389条1項)。
よって、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの設定による変更の登記を申請することができます。

ウ 登記の申請をすることはできません
清算中の株式会社は、監査役の任期に関する規定が適用されないため、定款で任期を定めた場合を除き、監査役の任期満了による退任の登記を申請することはできません。

エ 登記の申請をすることはできません
清算株式会社は、資本金の額を減少することはできません(会社法509条1項2号)。
よって、資本金の額の減少による変更の登記の申請をすることはできません。

オ 登記の申請をすることができます
清算株式会社は、吸収合併により当該株式会社が消滅会社となる場合には、吸収合併をすることができます(会社法474条1号)。
よって、清算株式会社が吸収合併消滅株式会社となる吸収合併による変更の登記の申請をすることができます。

よって、登記の申請をすることができない肢はウとエとなり、5が正解となります。

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02

正解:5

ア:登記の申請をすることができる
清算中の株式会社であっても募集新株予約権を発行し、その発行による変更の登記の申請をすることができます(会487Ⅱ①)。

イ:登記の申請をすることができる
清算中の株式会社が非公開会社(監査役会設置会社を除く。)の場合、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができ、その設定による変更の登記を申請することができます(会389Ⅰ)。

ウ:登記の申請をすることができない
清算中の株式会社における監査役については、監査役の任期に関する規定の適用はありません。したがって、定款に監査役の任期の定めがない場合における監査役の任期満了による退任の登記の申請をすることができません。

エ:登記の申請をすることはできない
清算中の株式会社においては、資本金の額の減少をすることができません(会509Ⅰ②、第5章第3節(資本金の額等))。したがって、資本金の額の減少による変更の登記の申請をすることができません。

オ:登記の申請をすることができる
清算中の株式会社は、吸収合併の承継会社となることはできませんが、消滅会社となることはできます(会474)ので、清算株式会社が吸収合併消滅株式会社となる吸収合併による変更の登記の申請をすることができます。

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03

正解:5

<解説>

ア:解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができます。

募集新株予約権の発行については、清算株式会社について適用除外を定めた会社法509条で適用除外とされていません。

したがって、解散の日より後に生じた事由として募集新株予約権の発行による変更の登記を申請することができます。

イ:解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができます。

公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができます(会社法389条①)。

清算株式会社について適用除外を定めた会社法509条は、この規定を適用除外としていないため、清算株式会社は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの設定による変更の登記をすることができます。

したがって、解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができます。

ウ:解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができません。

監査役の任期に定めた会社法336条の規定は、清算株式会社の監査役については適用しないので、定款に任期の定めがない清算株式会社の監査役が任期満了により退任することはありません。

したがって、解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができません。

エ:解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができません。

会社法は、資本金の額の減少について第2編第5章第3節447条に規定していますが、清算会社については、この規定を適用除外としています(会社法509条①⑵)。

このことにより、清算株式会社は資本金の額を減少することはできません。

したがって、解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができません。

オ:解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができます。

株式会社が解散した場合には、その会社を存続会社とする吸収合併をすることはできませんが(会社法474条⑴)、その会社を消滅会社とする吸収合併をすることはできます。

したがって、解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができます。

以上により、解散の日より後に生じた事由として登記の申請をすることができないものは肢ウ・エであり、正解は5となります。

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