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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問31

問題

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取締役会に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  取締役会の招集権者を代表取締役に限定するには、定款の定めによらなければならない。

イ  監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役に対しては取締役会の招集の通知を発することを要しない。

ウ  取締役会の決議の目的である事項について、決議に参加した取締役による賛否が同数となった後、当該取締役による過半数の賛成により議長一任の決議が成立したときは、議長は、決裁権を行使して、賛否が同数となった当該事項についての取締役会の決議を成立させることができる。

工  取締役会の決議による代表取締役の解職は、当該代表取締役に対し、当該決議を告知することによって、その効力を生ずる。

オ  監査役設置会社の取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役及び監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、決議の省略に係る定款の定めがないときであっても、当該提案を可決する旨の決議があったものとみなされる。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問31 )
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この過去問の解説 (3件)

10
正解:3

ア:誤
取締役会は、各取締役が招集します(会366Ⅰ本文)が、定款又は取締役会で、取締役会を招集する取締役を定めることができます(会366Ⅰ但書)。

イ:正
取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければなりません(会368Ⅰ)。
本肢の株式会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるので、監査役設置会社ではありません。よって、当該会計限定監査役に対しては取締役会の招集の通知を発することを要しません。

ウ:正
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行います(会369Ⅰ)。
本肢のように、取締役会決議に参加した取締役による賛否が同数となった後、当該取締役による過半数の賛成により議長一任の決議が成立したときは、これに基づき、議長は、決裁権を行使して、賛否が同数となった当該事項についての取締役会の決議を成立させることができます。

エ:誤
代表取締役解職決議の効力発生時期について、判例は、取締役会の代表取締役の解職決議によって代表権限も当然消滅し、告知をもって初めて解職の効果が生ずるものではない(最判昭41.12.20)としています。

オ:誤
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができます(会370)。
よって、取締役会決議の省略をするには、当該決議の省略に関する定款の定めを要します。

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7
正解:3

ア:誤
会社法366条1項本文は、「取締役会は、各取締役が招集する」と規定し、各取締役に取締役会の招集権限があることが原則です。しかし、同項ただし書は、「取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する」と規定していますから、定款によらずとも、取締役会で取締役会を招集する取締役を定めることができます。
したがって、取締役会の招集権者を代表取締役に限定する場合でも、定款の定めによる必要はありません。
よって、誤った記述です。

イ:正
取締役会の招集通知は、「各取締役(監査役設置会社にあたっては、各取締役及び各監査役)」に対して発しなければなりません(会社法368条1項)。そこで、監査役に対しても取締役会の招集通知を発する必要があるとも思えます。
しかし、会社法2条9号は監査役設置会社を「監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)」と定義していますので、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある場合には、当該会社は監査役設置会社にあたらず、368条1項かっこ書の対象となりませんから、監査役に取締役会の招集通知を発する必要はありません。
よって、正しい記述です。

ウ:正
取締役会決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行います(会社法369条1項)。
裁判例は、一度議決権を行使した議長たる取締役が、再度議決権を行使して決議を成立させることは、決議要件の緩和であり許されない(大阪地判昭和28年6月19日下民4巻6号886頁)としています。
しかし、取締役の過半数の賛成で議長一任の決議が別に成立したときには、このような場合にはあたりません。そのため、この場合に、議長が決裁権を行使して、賛否同数となった事項についての取締役会の決議を成立させることは許されると考えられます。
よって、正しい記述です。

エ:誤
判例は、代表取締役の解任の効果は、当該代表取締役に対する告知を待つまでもなく、取締役会の解任決議によって生じるとしています(最判昭和41年12月20日民集20巻10号2160頁)。
よって、誤った記述です。

オ:誤
会社法370条は「取締役設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役([引用者:略])の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあたっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる」と定めています。つまり、書面または電磁的記録による同意の意思表示をもって取締役会の決議を省略することは定款に定めをおいた場合に例外的に認められるにとどまります。
よって、誤った記述です。

3

正解 3

ア 誤り
取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が取締役会を招集します(会社法366条1項ただし書)。
よって、取締役会の招集権者を代表取締役に限定するには、定款で定めるほか、取締役会で定めることも可能です。

イ 正しい
取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければなりません(会社法368条1項)。
本肢における株式会社では、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるため、監査役設置会社ではありません(会社法2条9号)。
よって、当該会社の監査役に対しては取締役会の招集の通知を発する必要はありません。

ウ 正しい
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行われます(会社法369条1項)。
この場合に、本肢のように、決議に参加した取締役による賛否が同数となった後、当該取締役による過半数の賛成により議長一任の決議が成立したときは、議長は、決裁権を行使して、賛否が同数となった当該事項についての取締役会の決議を成立させることができます。

エ 誤り
取締役会の決議による代表取締役の解職の効力発生時期について、判例は、「取締役会の代表取締役の解職決議によって代表権限も当然消滅し、告知をもって初めて解職の効果が生ずるものではない」(最判昭和41年12月20日)としています。

オ 誤り
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができます(会社法370条)。
よって、取締役及び監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときにおいて、当該提案を可決する旨の決議があったものとみなすためには、決議の省略に関する定款の定めが必要です。

以上から、正しい選択肢はイとウとなり、正解は3となります。

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