司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問4
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問題
令和2年度 司法書士試験 午前の部 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
不在者の財産の管理及び失踪の宣告に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。
ア 不在者の生死が7年間明らかでないときは、利害関係人だけでなく検察官も、家庭裁判所に対し、失踪の宣告の請求をすることができる。
イ 生死が7年間明らかでないために失踪の宣告を受けた者は、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
ウ Aの失踪の宣告によって財産を得たBがその財産を第三者Cに譲渡した後、Aの生存が判明したために失踪の宣告が取り消された場合において、Cが譲渡を受けた際にAの生存を知らなかったときは、BがAの生存を知っていたとしても、失踪の宣告の取消しはその財産の譲渡の効力に影響を及ぼさない。
エ 家庭裁判所が選任した不在者の財産の管理人は、保存行為であれば、裁判上の行為であるか裁判外の行為であるかを問わず、家庭裁判所の許可なくすることができる。
オ 家庭裁判所は、不在者の財産の管理人と不在者との関係その他の事情を考慮し、当該管理人に対し、不在者の財産の中から報酬を与えることも、与えないこともできる。
ア 不在者の生死が7年間明らかでないときは、利害関係人だけでなく検察官も、家庭裁判所に対し、失踪の宣告の請求をすることができる。
イ 生死が7年間明らかでないために失踪の宣告を受けた者は、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
ウ Aの失踪の宣告によって財産を得たBがその財産を第三者Cに譲渡した後、Aの生存が判明したために失踪の宣告が取り消された場合において、Cが譲渡を受けた際にAの生存を知らなかったときは、BがAの生存を知っていたとしても、失踪の宣告の取消しはその財産の譲渡の効力に影響を及ぼさない。
エ 家庭裁判所が選任した不在者の財産の管理人は、保存行為であれば、裁判上の行為であるか裁判外の行為であるかを問わず、家庭裁判所の許可なくすることができる。
オ 家庭裁判所は、不在者の財産の管理人と不在者との関係その他の事情を考慮し、当該管理人に対し、不在者の財産の中から報酬を与えることも、与えないこともできる。
- アイ
- アウ
- イエ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア…誤りです。不在者の生死が7年間明らかでない場合は、裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます(30条1項)。不在者財産の管理人と混同しないようにしてください。
イ…誤りです。不在者が(戦争や危難等以外の原因で)失踪宣告を受けた場合、不在となってから7年間の期間が満了した時に、死亡したものとみなされます(31条前段)。
ウ…誤りです。失踪の宣告の取消しがあったときは、失踪の宣告後、その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼしません(32条1項)。この「善意」とは、法律行為の当事者双方が善意であることが必要と解されています(大判昭13・2・7)。なお当事者双方が善意でない場合には、現存利益でなく全額を返還する必要があるというのが通説です。
エ…正しいです。不在者財産の管理人は、その管理する財産につき、権限の定めのない代理人(103条)と解されています。よって、保存行為は家庭裁判所の許可なくすることができます(103条1項)。また、103条に規定する権限の範囲を超える行為についても、家庭裁判所の許可があれば、することができます(28条)。
オ…正しいです。家庭裁判所は、管理者と不在者との関係その他の事情を考慮し、当該財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができます(30条2項)。「できる」なので、報酬を与えるべきとされているわけではありません。
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02
ア × 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪宣告ができます(民法30Ⅰ)。
上記の条文を読むと利害関係人の請求により、と書いてあります。
よって、検察官は失踪宣告の請求権者に含まれません。
覚え方として、
失踪者の家族が帰りを信じて待っているのに検察官がしゃしゃり出て失踪宣告をするのはお節介すぎるということです。
イ × 本肢は普通失踪なので7年間の期間が満了した時に死亡したものとみなされます(民法31)。
併せて特別失踪の死亡認定時期も押さえておきましょう。
特別失踪の場合は、危難が去ったときに死亡したものとみなされます。
ウ × 結論から言うと、BとCの双方が善意であれば失踪宣告後にされた契約がその宣告の取消しにかかわらず効力を有します。
つまり、双方が善意でなければその契約はゆるぎないものになります。
しかし、どちらか一方でも悪意なら、取り消される可能性があります。(民法32Ⅰ)
ポイントは、法律行為の当事者双方が善意であることを要することです。
エ 〇 不在者の財産の管理人が裁判所の許可なしにできる行為は以下の3つ。カッコ内は具体例です。
(民法103条)
①保存行為(建物の修繕)
②管理行為(建物の賃貸)
③利用行為(建物に居住)
これは、権限の定めのない代理人も同じです。併せて押さえておきましょう。
オ 〇 管理人に報酬を与えるか与えないかは任意です。
なぜなら、奉仕の心で管理している管理人もごく少数ながらいるので、報酬を与えなければならないと縛りをかけると奉仕の心に報いることができなくなるからです。
(民法29Ⅱ)
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03
ア 誤り
不在者の生死が7年間明らかでない場合において、失踪宣告を請求することができるのは、利害関係人に限られています(民法30条1項)。
イ 誤り
生死が7年間明らかでないために失踪の宣告を受けた者は、7年間が満了した時に、死亡したものとみなされます(民法31条)。
ウ 誤り
失踪宣告が取り消された場合、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力には影響を及ぼしません(民法32条1項)。
ここでいう「善意」について、判例(大判昭和13年2月7日)は、取引を行った当事者双方において善意であることが必要だとしています。
エ 正しい
不在者の財産の管理人は、①保存行為や②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為をする権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法28条)。
したがって、保存行為であれば,裁判上の行為であるか裁判外の行為であるかを問わず、家庭裁判所の許可なくすることができます。
オ 正しい
家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができます(民法29条2項)。
この場合、報酬を与えないこともできます。
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