司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問21
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問題
令和2年度 司法書士試験 午前の部 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
成年後見制度に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
ア 成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為である場合には、これを取り消すことができない。
イ 成年被後見人が成年後見人として自己の親族を選任することを求めた場合には、家庭裁判所は、その親族以外の者を成年後見人として選任することができない。
ウ 成年後見人は、家庭裁判所の許可を得なければ、その任務を辞することができない。
エ 成年後見人は、家庭裁判所の許可を得なくても、成年被後見人名義の預金口座を解約することができる。
オ 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合には、その相続財産に属する債務について、弁済期が到来しているものであっても、弁済をすることはできない。
ア 成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為である場合には、これを取り消すことができない。
イ 成年被後見人が成年後見人として自己の親族を選任することを求めた場合には、家庭裁判所は、その親族以外の者を成年後見人として選任することができない。
ウ 成年後見人は、家庭裁判所の許可を得なければ、その任務を辞することができない。
エ 成年後見人は、家庭裁判所の許可を得なくても、成年被後見人名義の預金口座を解約することができる。
オ 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合には、その相続財産に属する債務について、弁済期が到来しているものであっても、弁済をすることはできない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解:3
<解説>
ア:正しいです。
成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができます。
ただし、日用品の購入、その他日常生活に関する行為については取り消すことができません。
(民法9条)
したがって、本肢は正しいです。
イ:誤りです。
成年被後見人が成年後見人として自己の親族を選任することを求めた場合でも、家庭裁判所は、その親族以外の者を成年後見人として選任することができます。
家庭裁判所は、職権で成年後見人を選任することができます(民法843条①)。
成年後見人を選任するにあたっては、成年被後見人の意見も考慮されますが、それと同時に、成年後見人となる者の職業や成年被後見人との利害関係の有無などといったその他の事情も考慮されなければなりません(民法843条④)。
成年後見人の欠格事由として、未成年者や家庭裁判所が解任した法定代理人、破産者などが挙げられますが(民法847条)、その他に、選任について親族間で意見の対立があるケースや、その親族が健康上の問題や多忙などのために適正な後見事務を行うことができないと判断されるケースなどでも、その親族以外の者を選任することができます。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
成年後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができますが(民法844条)、成年被後見人を保護する観点から、成年後見人が自由にその任務を辞することはできません。
したがって、本肢は正しいです。
エ:正しいです。
成年後見人には、成年被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表する代理権が認められています(民法859条①)。
したがって、本肢は正しいです。
オ:誤りです。
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除いて、相続人が相続財産を管理することができるようになるまで、次に掲げる行為をすることができます。
ただし、第3号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です(民法873条の2)。
第1号 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
第2号 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
第3号 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前2号に掲げる行為を除く。)
したがって、弁済期が到来しているものであっても、弁済をすることはできないとする本肢は誤りです。
以上により、誤っているものは肢イ・オであり、正解は3となります。
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02
ア 正しい
成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができます(民法9条)。
イ 誤り
成年後見人は、家庭裁判所が職権で選任することとされています(民法843条1項)。
ウ 正しい
成年後見人が任務を辞する場合、家庭裁判所の許可を得ることが必要です(民法844条)。
エ 正しい
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。
本肢のように、成年被後見人名義の預金口座を解約することは、ここでいう「その他これらに準ずる処分」にあたらないため、家庭裁判所の許可は不要です。
オ 誤り
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済をすることができます(民法873条の2第1項2号)。
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03
ア…正しいです。成年被後見人の法律行為であっても、日用品の購入その他日常生活に関する行為である場合には、取り消すことが出来ません(9条)。
イ…誤りです。成年後見人が選出されているときであっても、家庭裁判所は必要があると認めるときは、成年後見人等の請求または職権で、さらに成年後見人を選出することができます(849条2項)。親族が選出されている場合にさらに選出できないとする規定はありません。
ウ…正しいです。後見人は、正当な理由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます(844条)。
エ…正しいです。成年後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表できます(859条1項)。被後見人が居住する建物または敷地についての処分に関してのみ、家庭裁判所の許可が必要ですが(859条の3)、それ以外の財産に関しての法律行為に許可は不要です。
オ…誤りです。成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、相続財産に属する債務のうち、弁済期が到来しているものについて、弁済をすることができます(873条の2第2号)。
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