司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問38

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問題

令和2年度 司法書士試験 午後の部 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

争点及び証拠の整理手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

ア  裁判所は、当事者の同意がない場合であっても、準備的口頭弁論を行うことができるが、当事者の同意がない場合には、事件を弁論準備手続に付することができない。
イ  準備的口頭弁論の期日は、裁判所の許可を受けた者でなくても傍聴することができるが、弁論準備手続の期日は、裁判所の許可を受けた者でなければ傍聴することができない。
ウ  弁論準備手続においては、当事者の一方が期日に出頭した場合に限り、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により、期日における手続を行うことができるが、書面による準備手続においては、この方法により協議をすることができない。
エ  弁論準備手続の期日においては、証拠調べとして、文書及び図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものしか取り調べることができないが、準備的口頭弁論の期日においては、それら以外の証拠も取り調べることができる。
オ  当事者は、弁論準備手続の終結後であっても、攻撃又は防御の方法を提出することができるが、準備的口頭弁論の終了後には、攻撃又は防御の方法を提出することができない。
  • アエ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解 4

ア 誤り
裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の同意がない場合であっても、準備的口頭弁論を行うことができます(民事訴訟法164条)。
一方で、当事者の意見を聴くことが必要ではあるものの、当事者の同意がない場合であっても、事件を弁論準備手続に付することは可能です(同168条)。

イ 正しい
準備的口頭弁論は口頭弁論であるため、裁判所の許可を受けた者でなくても傍聴することが可能です。
一方で、弁論準備手続の期日は、裁判所の許可を受けた者でなければ傍聴することはできません(民事訴訟法169条2項)。

ウ 誤り
裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができます(民事訴訟法170条3項)。
この場合、当事者の一方がその期日に出頭していることが必要です。
一方で、書面による準備手続についても、裁判長において必要があると認めるときは、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により、協議をすることができます(同176条3項)。
この場合、当事者の一方がその期日に出頭することは条件となっていません。

エ 正しい
裁判所は、弁論準備手続の期日においては、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものしか証拠調べをすることができません(民事訴訟法170条2項、同231条)。
これに対し、準備的口頭弁論の期日においては、証拠調べに関する上記のような制約はありません。

オ 誤り
準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出することは可能です(民事訴訟法167条)。
また、同規定は弁論準備手続において準用されています(同174条)。

参考になった数14

02

正解:4

<解説>

ア:誤りです。

裁判所は、当事者の同意がない場合であっても、準備的口頭弁論を行うことができます(民事訴訟法164条)。

これに対して、弁論準備手続において、裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができるとしており、当事者の同意までは要していません(民事訴訟法168条)。

したがって、本肢は誤りです。

イ:正しいです。

準備的口頭弁論は口頭弁論であり、公開の法廷で行われるため、裁判所の許可を受けた者でなくても傍聴することができます。

弁論準備手続において、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができます。

ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならないとしています。

(民事訴訟法169条②)

したがって、本肢は正しいです。

ウ:誤りです。

弁論準備手続において、裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができます。

ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限ります。

(民事訴訟法170条③)。

また、書面による準備手続において、裁判長等は、必要があると認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、争点及び証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のため必要な事項について、当事者双方と協議をすることができます(民事訴訟法176条③)。

これらより、書面による準備手続においても、弁論準備手続同様に、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により協議をすることできます。

したがって、この方法により協議することができないとする本肢は誤りです。

エ:正しいです。

裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判及び文書(第231条に規定する物件、すなわち、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものを含む。)の証拠調べをすることができるとしています(民事訴訟法170条②)。

これに対して、準備的口頭弁論の期日においては、特に制限はありません。

したがって、本肢は正しいです。

オ:誤りです。

準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出することはできますが、提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければなりません(民事訴訟法167条)。

この規定は、弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用します(民事訴訟法174条)。

したがって、準備的口頭弁論の終了後に、攻撃又は防御の方法を提出することができないとする本肢は誤りです。

以上により、正しいものは肢イ・エであり、正解は4となります。

参考になった数3

03

正解は4です。

ア…誤りです。裁判所は、争点および証拠の整理を行う必要があると認められるときは、準備的口頭弁論を行うことができます(民事訴訟法164条)。すなわち、裁判所の裁量で準備的口頭弁論を行うことを決定でき、当事者の同意は必要ありません。一方、弁論準備手続においては、当事者の意見を聴くことが必要とされていますが、当事者の同意なしに弁論準備手続を行うことができないわけではありません(民事訴訟法168条)。

イ…正しいです。準備的口頭弁論は、口頭弁論の一部なので、裁判の公開の原則にしたがい、通常は公開されます(口頭弁論が公開されなかった場合は絶対的上告事由になります(民事訴訟法312条2項5号))。一方、弁論準備手続においては、裁判所は相当と認める者の傍聴を許すことができ、また、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障があると認められる場合を除き、傍聴を許さなければなりません(民事訴訟法169条2項)。したがって、傍聴には裁判所の許可が必要であるといえます。

ウ…誤りです。書面による準備手続においては、当事者の出頭を必要としません(民事訴訟法176条3項)。これに対し、弁論準備手続では、当事者の一方が期日に出頭することができれば、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により、期日における手続を行うことができます(民事訴訟法170条3項)。

エ…正しいです。準備的口頭弁論では、証拠調べ、証人尋問等のすべての行為ができます。これに対し、弁論準備手続では、証拠調べとして、文書及び図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものしか取り調べることができません(民事訴訟法170条2項)。

オ…誤りです。準備的口頭弁論、弁論準備手続のいずれにおいても、その終結後に攻撃または防御の方法を提出することができますが、終結の前に提出できなかった理由の提出が求められます(民事訴訟法167条、174条)。

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