選択肢2. アオ
ア・・正しいです。
まず、発起設立の場合、定款で設立時取締役を定めるとき(会社法38条4項)を除けば、設立時取締役の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定します(会社法38条1項・40条1項)。
次に、募集設立の場合、設立時取締役の選任については、創立総会において、「議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う(会社法88条、73条1項)」旨規定されています。
以上から、発起設立・募集設立の場合のいずれにおいても、発起人の議決権の過半数で設立時取締役を決定することから、本肢は正しい肢となります。
イ・・誤りです。
問題文に「設立時募集株式」という記載があることから、本肢は、募集設立の際の株主になる時期を問う問題です。この点、会社法102条1項では「設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、・・・設立時発行株式の株主となる」旨規定していますので、株主となるのは「払込みをした時」ではなく「株式会社の成立の時」になります。
なお、発起設立の場合も、会社法50条1項により、「株式会社の成立の時」に「設立時発行株式の株主」となります。
ウ・・誤りです。
募集設立でも発起設立でも設立時発行株式の事項の決定については、「発起人全員の同意」によって決めなくてはいけません(会社法32条1項1号)。「発起人の議決権の3分の2以上」では足りません。
なお、設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額(同項2号)、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項(同項3号)も発起人全員の同意を得る必要があります。
エ・・誤りです。
会社法28条4号では、「株式会社の負担する設立に関する事項」を定款に記載しないといけないが、同号かっこ書で、「定款の認証の手数料・・法務省令で定めるものを除く」と規定しています。つまり、28条4号かっこ書に規定するものは定款に記載しなくてよいことになります。
そして、会社法28条4号が引用する会社法施行規則5条では、「①定款にかかる印紙税、②設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みの取扱いをした銀行等に支払うべき手数料及び報酬、③検査役の報酬、④設立の登記の際の登録免許税」については定款に記載しなくてよいと規定しています。
なぜなら、金額に客観性があるので発起人の権利濫用のおそれがないですし、また定款に記載がなくても会社成立後には、株式会社が当然負担することになるからです。
オ・・正しいです。
会社法31条1項において「発起人は、定款を発起人が定めた場所に備え置かなければならない」と規定しています。