司法書士の過去問
令和5年度
午前の部 問13
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問題
令和5年度 司法書士試験 午前の部 問13 (訂正依頼・報告はこちら)
先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 一般の先取特権者は、不動産について登記をしなくても、不動産売買の先取特権について登記をした者に優先して当該不動産から弁済を受けることができる。
イ 同一の目的物について共益の費用の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
ウ 一般の先取特権者は、債務者の財産に不動産と不動産以外の財産とがある場合には、まず不動産から弁済を受けなければならない。
エ 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
オ 不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
ア 一般の先取特権者は、不動産について登記をしなくても、不動産売買の先取特権について登記をした者に優先して当該不動産から弁済を受けることができる。
イ 同一の目的物について共益の費用の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
ウ 一般の先取特権者は、債務者の財産に不動産と不動産以外の財産とがある場合には、まず不動産から弁済を受けなければならない。
エ 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
オ 不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
- アイ
- アウ
- イエ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (2件)
01
民法(先取特権)に関する問題です。文章が短く、すべて民法の条文からの出題なので、難易度はそれほど高くありません。
(ア)一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができます。ただし、登記をした第三者に対しては、対抗することができません(民法336条)。従って、本肢は誤りです。
(イ)同一の目的物について、同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受けます(民法332条)。従って、本肢は正しいです。
(ウ)一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができません(民法335条第1項)。従って、本肢は誤りです。
(エ)同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産先取特権の順位は、売買の前後によります(民法331条第2項)。従って、本肢は正しいです。
(オ)不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息が弁済されていない旨を登記しなければなりません(民法340条)。従って、本肢は正しいです。
司法書士試験では、先取特権などの所有権や抵当権以外の物権に関する問題は、短文で条文そのものの知識を問う平易な問題が多くなります。そのため、この分野の学習は、条文中心で大丈夫です。
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02
先取特権の論点です。先取特権は優先順位を整理して憶えることが肝腎です。一般先取特権、動産先取特権、不動産の先取特権それぞれの中での優先順位、及び、登記があるときとないとき、特に、一般先取特権の場合は共益費が最優先とだけ書いてあるテキストなどがありますが、その共益費の恩恵を受けている者に対してのみ、優先弁済権を主張出来ることに注意が必要です。また、不動産の保存と工事の先取特権は、既に登記されている抵当権などの担保権などよりも優先されることに注意が必要です。
ア 336条により、一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りではないとあるので、本肢のように、不動産売買の先取特権の登記をした者に優先することは出来ません。よって、本肢は不正解となります。
イ 332条により、同一の目的物について、同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受けるとあるので、本肢は正解となります。
ウ 335条1項より、一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができないとあるので、逆になりますから、本肢は不正解となります。
エ 331条2項により、同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産先取特権の順位は、売買の前後によるとあるので、本肢は正解となります。
オ 340条により、不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息が弁済されていない旨を登記しなければならないとあるので、本肢は正解となります。
解法のポイント
細かい論点が意外に多いのが先取特権です。まずは条文知識を整理して憶えることから初めて、細かい論点を学習する方向で考えてください。
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