司法書士の過去問
令和5年度
午前の部 問15
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問題
令和5年度 司法書士試験 午前の部 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 根抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。
イ 根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更した場合において、元本の確定前にその変更について登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされる。
ウ 根抵当権者は、元本の確定前において、同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその根抵当権又はその順位を譲渡し、又は放棄することができる。
エ 根抵当権者が破産手続開始の決定を受けたときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
オ 他人の債務を担保するため根抵当権を設定した者は、元本の確定後において現に存する債務の額がその根抵当権の極度額を超えるときは、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。
ア 根抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。
イ 根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更した場合において、元本の確定前にその変更について登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされる。
ウ 根抵当権者は、元本の確定前において、同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその根抵当権又はその順位を譲渡し、又は放棄することができる。
エ 根抵当権者が破産手続開始の決定を受けたときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
オ 他人の債務を担保するため根抵当権を設定した者は、元本の確定後において現に存する債務の額がその根抵当権の極度額を超えるときは、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (2件)
01
民法(根抵当権)に関する問題です。根抵当権に関する問題は、毎年必ず出題されますので、十分な学習が必要です。
(ア)根抵当権は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(民法398条の3第1項)。普通抵当権のように、利息について最後の2年分に限定されないので、本肢は誤りです。
(イ)根抵当権者と設定者は、元本確定前において、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができます。ただし、元本確定前に変更の登記をしなかった場合には、その変更をしなかったものとみなされます(民法398条の4第1項、第3項)。従って、本肢は正しいです。
(ウ)元本確定前においては、根抵当権者は、民法第376条第1項の処分(根抵当権又はその順位の譲渡、放棄)をすることができません(民法398条の11第1項)。従って、本肢は誤りです。
(エ)債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始決定を受けたときは、根抵当権の担保すべき元本は確定します(民法398条の20第1項)。しかし、根抵当権者が破産手続開始決定を受けた場合でも、元本は確定しないので、本肢は誤りです。
(オ)元本確定後において、現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためにその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗できる賃借権を設定した者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅を請求することができます(民法398条の22第1項)。従って、本肢は正しいです。
司法書士は、実務でも根抵当権を取り扱うことが多いので、ここでよく根抵当権について理解を深めておけば、合格して実務についたときに役立ちます。
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02
根抵当権の論点です。根抵当権は不動産登記法で、詳細に学習するので、民法ではより、基本的な条文知識を整理しておくことが肝腎です。
ア 根抵当権は、極度額を限度に担保するという条件があるだけで、抵当権のような、後順位者がいる場合に、利息について最後の2年分に限定する(375条)といった制限はありません(398条の3第1項)。これは確定後の根抵当権についてもいえることです。よって、本肢は不正解です。
イ 398条の4第3項により、元本確定前に変更の登記をしなかった場合には、その変更をしなかったものとみなされるとあるので、本肢は正解となります。
ウ 元本確定前は、根抵当権の順位の順位の譲受は出来ますが、譲渡など、376条1項の処分はできません(398条1の111項)。よって、本肢は不正解となります。
エ 破産手続開始決定により、元本が確定するのは、債務者、設定者が破産手続開始決定を受けたとき(398条の201項)であって、根抵当権者が破産手続開始決定を受けたとしても、元本は確定しません。債務者が破産した以上、継続する意味がありませんし、設定者が破産した場合は、もはや物的担保として機能しなくなるため、法定で確定事由となっています。よって、本肢は不正解となります。
オ 398条の22、1項により、元本確定後において、現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためにその根抵当権を設定した者はその極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅を請求することができるとあるため、本肢は正解となります。抵当権消滅請求(379条)は物上保証人は出来ない(明文上、第三取得者はとあるので)と考えられていますが、根抵当権消滅請求の方は明文上(他人の債務を担保するためにその根抵当権を設定した者とあるので)、可能となっています。
解法のポイント
根抵当権は抵当権との違いと、確定事由を正確に憶えておくことが必要です。特に確定事由はなぜ、確定する必要があるのかを知ることで、暗記しやすくなります。
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