司法書士の過去問
令和5年度
午前の部 問20
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問題
令和5年度 司法書士試験 午前の部 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
養子に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 普通養子縁組の届出をするには、証人を要しない。
イ 養子となる者が15歳未満である場合において、その父が親権を停止されているときは、養子となる者の法定代理人による縁組の承諾について、当該父の同意は不要である。
ウ 特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者は、養子となることができない。
エ 養子に子がある場合には、養子縁組の日から、養子の子と養親及びその血族との間において、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
オ 普通養子縁組の当事者の一方が死亡した場合において、その後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
ア 普通養子縁組の届出をするには、証人を要しない。
イ 養子となる者が15歳未満である場合において、その父が親権を停止されているときは、養子となる者の法定代理人による縁組の承諾について、当該父の同意は不要である。
ウ 特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者は、養子となることができない。
エ 養子に子がある場合には、養子縁組の日から、養子の子と養親及びその血族との間において、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
オ 普通養子縁組の当事者の一方が死亡した場合において、その後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
- アイ
- アウ
- イエ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (2件)
01
民法(養子)に関する問題です。令和5年度の司法書士試験は、民法第4編親族からは、2問出題されました。どちらも、組み合わせ問題となっています。
(ア)民法739条第1項では「婚姻は、戸籍法の定めるところにより、届け出ることによって、その効力を生じる」と規定し、同第2項では「前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又は、これらの者が口頭で、しなければならない」と規定しています。そして、民法799条によって、この規定は縁組に準用されているため、本肢は誤りです。
(イ)民法797条第1項は「養子となるものが15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる」と規定し、同第2項では、「法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護すべき者が他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母が親権を停止されている者があるときでも、同様とする」と規定しています。従って、本肢は誤りです。
(ウ)家庭裁判所に特別養子縁組を請求する時に、15歳に達している者は、養子となることができません。また、特別養子縁組が成立するまでに18歳に達している者についても、同様です。(民法817条の5第1項)。従って、本肢は正しいです。
(エ)民法727条は「養子と養親及びその血族の間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生じる」と規定していますが、大審院昭和7年5月11日判例では、養子縁組前にすでに生まれていた養子の子と、養親及び養親の血族との間には、血族関係は生じないと判断されています。従って、本肢は誤りです。
(オ)民法811条第1項は「縁組の当事者は、その協議で、離縁することができる」と規定していますが、同第5項では「縁組と当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる」と規定しています。従って、本肢は正しいです。
この問題は、5つある枝のうち、条文4枝、判例1枝の問題です。ただし、判例から出題といっても、(エ)の判例は有名判例ですので、もしかすると、条文に関する枝よりも簡単な枝といえます。(ウ)を正確に判定できれば、何とか解くことができるでしょう。
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02
親族の分野から養子の論点です。養子は普通養子と特別養子の違いと、婚姻との違いがポイントになります。特に婚姻と違い、死別で当然に離縁するわけではないことに注意が必要です。
ア 婚姻の届出の739条第2項の”前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又は、これらの者が口頭で、しなければならない”を799条で縁組にも準用していますから、本肢は不正解となります。
イ 797条第2項で、”法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護すべき者が他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母が親権を停止されている者があるときでも、同様とする”とあり、本肢は不正解となります。実子が普通養子縁組をした場合、たとえ、親権が停止されていても、相続の権利は変わらず、配分に変化が起こることや、停止期間が明けた時には、自身が親権を行使出来なくなるからです。
ウ 817条の5の1項により、”(家庭裁判所に特別養子縁組を)請求の時に、養子となる者が15歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに18歳に達している者についても、同様とする”とあるので、本肢は正解となります。
エ 判例(大審院昭7.5.11)によると、養子縁組前にすでに生まれていた養子の子と、養親及び養親の血族との間には、血族関係は生じないと判示しています。よって、本肢は不正解となります。
オ 死後離縁のことです。811条5項により、”縁組と当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる”とあるため、本肢は正解となります。
解法のポイント
アは、マイナー論点と言えるでしょう。親族の範囲で証人といえば、公正証書の遺言が有名ですが、婚姻にも証人が必要とされており、それが縁組にも準用されています。エについては明文はありませんが、不動産登記法などでも、それを前提にして法定相続の計算をすることになっていますから、多くの人にとっては常識となっているでしょう。
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