司法書士の過去問 令和5年度 午前の部 問26
この過去問の解説 (1件)
刑法(親族等の犯罪に関する特例)の問題です。事例問題かつ、正誤問題で、問われている内容が同じレベルであるとすれば、組み合わせ問題よりも、難しくなります。
刑法105条は「前2条の罪(犯人蔵匿等罪、証拠等隠滅等罪)については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯した場合は、その刑を免除することができる」と規定しています。設問では、Aが親族Bのために犯した証拠隠滅罪は免除されるが、Bの共犯者Cは、Aの親族ではないため、AがCのために犯した証拠隠滅罪は免除されません(大審院昭和7年12月10日判決参照)。従って、本肢は誤りです。
刑法244条1項は「配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、第235条の罪(窃盗罪)、第235条の2の罪(不動産侵奪罪)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その罪を免除する」と規定しています。Aと被害者のCは、親族関係にないので、本肢は誤りです。
刑法244条第1項(窃盗罪における親族間の犯罪に関する特例)は、免除を受けるものを明確に定める必要があることから、内縁の配偶者には適用されません(最高裁平成18年8月30日判決参照)。従って、本肢は誤りです。
刑法257条第1項は「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で、前条の罪(盗品等譲受け罪)を犯しあた者は、その刑を免除する」と規定しています。本条は、本犯(盗品その他財産に関する罪)と、盗品等に関する罪の犯人との間で、一定の親族関係がある場合に、適用されます。本犯Cと、盗品等に関する罪を犯したAの間には、一定の親族関係がないため、Aの刑は免除されないので、本肢は正しいです。
刑法255条によって、刑法244条の規定(親族間の犯罪の免除に関する特例)は、同252条の罪(横領罪)に準用されています。ただし、家庭裁判所から選任された成年後見人が、成年後見人が業務上独占する成年被後見人の財物を横領した場合には、成年後見人と被後見人の間で親族関係があっても、刑法244条の規定は適用されません。(成年後見人は公的な性格が強いため。最高裁平成24年10月9日判決参照)。従って、本肢は誤りです。
事例問題は、問題の対象となる条文をしっかり習得していても、事例を読み間違えて不正解になることがあるので、注意しなければなりません。普段から、事例を読み解く練習をする必要があります。
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