司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問3

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

次の対話は、訴訟費用に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せはどれか。

教授: 裁判所は、当事者の申立てがない場合であっても、事件を完結する裁判において、訴訟費用の負担の裁判をしなければなりませんか。
学生:ア  裁判所は、当事者の申立てがない場合には、訴訟費用の負担の裁判をする必要はありません。
教授: 民事訴訟法上、訴訟費用の負担の原則については、どのように定められていますか。
学生:イ  訴訟費用は敗訴の当事者の負担とすると定められています。
教授: それでは、原告の請求のうち一部は認容されたが、一部は棄却された場合に、訴訟費用の全部を被告に負担させることはできますか。
学生:ウ  その訴訟における具体的な事情にかかわらず、一部しか敗訴していない被告に、訴訟費用の全部を負担させることはできません。
教授: 次に、当事者が裁判所において和解をした場合において、訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、訴訟費用の負担はどうなりますか。
学生:エ  この場合の訴訟費用は、当事者の各自が負担することになります。
教授: 最後に、当事者は、裁判所がした訴訟費用の負担の裁判に対して、独立して不服を申し立てることはできますか。
学生:オ  訴訟費用の負担の裁判に不服がある者は、その裁判について即時抗告をすることができます。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

民事訴訟法(訴訟費用)に関する問題です。司法書士は、特別の研修を受ければ、簡易裁判所で裁判手続きの代理ができます。その際、裁判費用の負担に関する知識は重要です。

 

選択肢4. イエ

(ア)民事訴訟法67条1項は「裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない」と規定しています。当事者の申し立てがなくても、訴訟費用の負担の裁判をしなければならないので、本肢は誤りです。

 

(イ)民事訴訟法61条は「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする」と規定していますので、本肢は正しいです。

 

(ウ)民事訴訟法64条は「一部敗訴における各当事者の訴訟費用の負担は、裁判所がその裁量で定める。ただし、事情により、当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる」と規定しています。従って、一部しか敗訴していない被告に、訴訟費用の全額を負担させることはないとしている本肢は、誤りです。

 

(エ)民事訴訟法68条は「当事者が裁判所において和解をした場合において、和解又は訴訟費用の負担について、特別の定めをしなかった時は、その費用は各自が負担する」と規定しています。従って、本肢は正しいです。

 

(オ)民事訴訟法282条は「訴訟費用の裁判に対しては、独立して控訴することができない」と規定しています。従って、本肢は誤りです。

まとめ

この問題は、ほとんどが民事訴訟法の条文のうち、短く、端的な条文を対象としていますので、比較的平易だということが言えます。司法書士試験は、司法試験とは異なり、民事訴訟法ではあまり突っ込んだ問題は出ないといえます。

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02

訴訟費用の論点です。訴訟費用は通常の裁判だけでなく、和解の時にもかかります。

選択肢4. イエ

ア 67条1項により、”裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。”とあり、職権により、訴訟費用の負担の裁判をしなければならないので、本肢は不正解となります。
 

イ 61条により、”訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。”とあるので、本肢は正解となります。

 

ウ 訴訟費用に関して、64条で、”一部敗訴の場合における各当事者の訴訟費用の負担は、裁判所が、その裁量で定める。ただし、事情により、当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる。

”とあり、裁判所の裁量が認められています。よって、本肢の”一部しか敗訴していない被告に、訴訟費用の全額を負担させることはない”としている記述は不正解となります。

 

エ 68条により、”当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。”とあるため、本肢は正解となります。

 

オ 282条で”訴訟費用の裁判に対しては、独立して控訴することができない。”と規定しています。これは、訴訟費用自体で独立して控訴が出来れば、その分さらに訴訟費用がかかり、本末転倒になるからです。よって、本肢は不正解となります。

まとめ

解法のポイント

民事訴訟法は範囲は広いのですが、ほとんどが、条文の基礎知識を問う問題です。過去問を参考に頻出部分から順に、整理、暗記をしておくと良いでしょう。

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