司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問5
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問題
令和5年度 司法書士試験 午後の部 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
督促手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 支払督促の申立ては、請求の目的の価額が140万円を超えるときであっても、簡易裁判所の裁判所書記官に対してすることができる。
イ 支払督促は、日本において公示送達によらないで債務者に送達することができる場合でなければ、発することはできない。
ウ 支払督促の申立てが管轄権を有しない簡易裁判所の裁判所書記官に対してされた場合には、その裁判所書記官は、管轄違いを理由に移送することができる。
エ 支払督促は、債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、その効力を失う。
オ 適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額にかかわらず、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなされる。
ア 支払督促の申立ては、請求の目的の価額が140万円を超えるときであっても、簡易裁判所の裁判所書記官に対してすることができる。
イ 支払督促は、日本において公示送達によらないで債務者に送達することができる場合でなければ、発することはできない。
ウ 支払督促の申立てが管轄権を有しない簡易裁判所の裁判所書記官に対してされた場合には、その裁判所書記官は、管轄違いを理由に移送することができる。
エ 支払督促は、債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、その効力を失う。
オ 適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額にかかわらず、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなされる。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (2件)
01
民法(支払督促)に関する問題です。支払督促手続きは、民事訴訟法第7編(382条から402条)で規定されています。
(ア)民事訴訟法383条本文は「支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してすることができる」と規定しています。民事訴訟法では、請求の目的の価額で、支払督促の管轄を通常裁判所と簡易裁判所に分ける規定は設けられていないので、支払督促は、請求の目的の価額が140万円を超える場合でも、簡易裁判所の裁判所書記官が管轄となります。従って、本肢は正しいです。
(イ)支払督促を発するのは、日本において公示送達によらずに送達できる場合でなくてはなりません(民事訴訟法383条但書)。従って、本肢は正しいです。
(ウ)民事訴訟法385条は「支払督促の申立てが第382条若しくは第383条の規定に違反するときは(中略)その申し立てを却下しなければならない」と規定しています。第383条の規定とは、管轄を定める規定ですから、支払督促が、管轄違いの簡易裁判所の裁判所書記官に申立てされた場合は、移送されることなく、却下されます。従って、本肢は誤りです。
(エ)民事訴訟法392条は「債権者が仮執行宣言の申立てをすることができるときから、30日以内にその申立てをしないときは、支払督促はその効力を失う」と規定しています。従って、本肢は正しいです。
(オ)民事訴訟法395条前段は「適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に、訴えの提起があったものとみなされる」と規定しています。本肢は、その目的の価額にかかわらず、簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなされるとしているため、誤りです。
例年、民事訴訟法の第5問目は、少額訴訟や手形訴訟など、簡易な訴訟手続きに関する問題が出題されますが、本年は、支払督促から出題されました。しかし、少額訴訟や手形訴訟も頻出分野ですので、こちらの学習も疎かにできません。
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02
支払督促の論点です。支払督促の手続は大きく、2段階に分かれます。最初は支配督促そのものに対して、相手が異議を申し立てるかどうか。次に、仮執行宣言付与に対して、異議を申し立てるかどうかです。すべて順調に行って、初めて確定判決と同一の執行力が得られます。
ア 支払督促は383条で、”支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。”と、管轄の場所を規定をしているだけで、価額による限定はありません。よって、請求の目的の価額が140万円を超える場合であっても、簡易裁判所の裁判所書記官が管轄となりますから、本肢は正解となります。
イ 382条により、”金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。”とあり、支払督促は公示送達によらずに送達することができる場合でなくてはならないので、本肢は正解となります。
ウ 385条により、”支払督促の申立てが第382条若しくは第383条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。”とあり、383条は”支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。”とあり、支払督促の管轄を規定します。よって、管轄が異なる場合は、移転ではなく、却下しなければならないため、本肢は不正解となります。
エ 392条で、”債権者が仮執行宣言の申立てをすることができるときから、30日以内にその申立てをしないときは、支払督促はその効力を失う。”とあるため、本肢は正解となります。
オ 395条 で、”適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。”とあり、支払督促自体は価額に関わらず、管轄権のある簡易裁判所の裁判所書記官に申立てしますが、適法な督促異義の申立てがあった場合は、価額に応じて、簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に、訴えの提起があったものとみなされます。本肢では、”その目的の価額にかかわらず、簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなされる”と記述されているめ、不正解となります。
解法のポイント
本問では、支払督促の問題でしたが、通常の訴訟形態とは異なる他の制度(少額訴訟や手形訴訟)も含めて、それぞれの特徴や違いをまとめて、整理をしておく方が、個別に学習するよりも試験対策として有効です。
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