司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問7

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

不動産の強制競売に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア  執行裁判所は、不動産の強制競売の開始決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
イ  強制競売の開始決定がされた不動産について強制競売の申立てがあったときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をすることができない。
ウ  差押えの登記がされる前に不動産の強制競売の開始決定が債務者に送達された場合であっても、差押えの効力は、登記がされた時に生ずる。
エ  不動産の強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
オ  不動産の強制競売の開始決定に係る差押えの登記の嘱託は、裁判所書記官が職権により行う。
  • アイ
  • アエ
  • イウ
  • ウオ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

民事執行法に関する問題です。司法書士試験では、毎年午後の部で1問出題されます。今年の難易度については、過去問で問われている論点が多かったため、それほど高くなかったと言えます。

選択肢5. エオ

(ア)民法執行法45条1項は「執行裁判所は、強制競売の手続きを開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。」と規定し、同2項では「前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。」と規定しています。従って、不動産の強制競売開始決定に際して、債務者を審尋する必要はないので、本肢は誤りです。

 

(イ)民事執行法47条1項は「強制競売の開始決定がされた不動産につき、強制競売の申立てがあったときには、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする」と規定しています。従って、本肢は誤りです。

 

(ウ)民事執行法46条第1項は「不動産の強制競売の開始決定に基づく差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達されたときに生じるが、差押さえの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされたときに生じる」と規定しています。従って、本肢は誤りです。

 

(エ)民事執行法45条第3項は「強制競売の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告することができる」と規定しています。本肢は、条文そのままなので、正しいです。

 

(オ)民事執行法48条1項は「強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押さえの登記をしなければならない」と規定しています。不動産の強制競売の開始決定に係る差押さえの登記は、裁判所書記官が職権で行います。従って、本肢は正しいです。

 

まとめ

民事執行法の条文は、イメージがわきづらいので、覚えるのが大変です。強制競売の流れを頭でイメージできるようになれば、この分野の理解は非常に進みますが、そこまで行くには大変です。

参考になった数16

02

民事執行法から不動産の強制競売の論点です。民事保全法同様、1問しか出題されない割に範囲が広い科目です。民事保全法と違い、民事訴訟で勝訴し、債務名義を得て執行される段階で適用される法律です。その前提で、各手続の具体的なイメージが出来れば、比較的憶えやすくなります。

選択肢5. エオ

ア 45条1項で、”執行裁判所は、強制競売の手続きを開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。”、同条2項で、”前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。”とあり、不動産の強制競売の開始決定をするにあたって、債務者を審尋する規定はありません。よって、本肢は不正解となります。


イ 47条1項で”強制競売の開始決定がされた不動産につき、強制競売の申立てがあったときには、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする”とあるので、本肢は不正解となります。
 

ウ 46条1項で、”不動産の強制競売の開始決定に基づく差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達されたときに生じるが、差押さえの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされたときに生じる”とあり、開始決定の債務者への送達と差押登記時、いずれか早い時に効力が生じます。よって、本肢は不正解となります。

 

エ 45条3項に”強制競売の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告することができる”とあるので、本肢は正解となります。

 

オ 48条1項に”強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押さえの登記をしなければならない”とあり、裁判所書記官が職権で行う義務があることを規定しています。よって、本肢は正解となります。

まとめ

解法のポイント

民事執行法は不動産の強制執行の手続をまず、押さえて、その他はそれとの比較で整理すると憶えやすいです。また、どんな時にどんな異議手続きが出来るかも、問われやすい論点になります。

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