司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問9

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

供託金の払渡請求手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア  同一人が数個の供託について同時に供託金の還付を受けようとする場合において、還付請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができる。
イ  供託物払渡請求書に記載した払渡しを請求する供託金の額については、訂正、加入又は削除をしてはならない。
ウ  委任による代理人によって供託金の払渡しを請求する場合には、代理人の権限を証する書面はこれを提示すれば足り、供託物払渡請求書にこれを添付することを要しない。
エ  執行供託における供託金の払渡しをすべき場合において、裁判所から供託所に送付された支払委託書の記載から供託金の払渡しを受けるべき者であることが明らかとならないときは、供託金の払渡しを受けるべき者は、供託物払渡請求書に裁判所から交付された証明書を添付しなければならない。
オ  電子情報処理組織を使用して供託金の払渡しの請求をするときは、預貯金振込みの方法又は国庫金振替の方法によらなければならない。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

供託法(供託金の払渡請求手続き)に関する問題です。供託法に関する問題は、司法書士試験の午後の部で3問出題されます。

選択肢3. イウ

(ア)同一人が数個の供託について、同時に供託物の還付を受け、又は取戻しをしようとする場合において、払渡請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができます(供託規則23条参照)。本肢の「還付請求の事由」は「払渡請求の事由」と同義なので、本肢は正しいです。

(イ)供託書、供託通知書、代供託請求書、附属供託請求書、供託有価証券払渡請求書又は供託有価証券利札請求書に記載した供託金額、有価証券の枚数及び総額面又は請求利札の枚数については、訂正、加入、又は削除をしてはなりません(供託規則6条第6項)。これに対して、供託物払渡請求書に記載した払渡を請求する供託金の額については、訂正、加入、削除することができます。従って、本肢は誤りです。

(ウ)代理人によって供託物の払渡しを請求する場合には、代理人の権限を証する書面を供託物請求書に添付しなければなりません(供託規則27条1項本文)。従って、本肢は誤りです。ちなみに、供託の時は、代理人の権限を証する書面は、提示で足ります。

(エ)供託規則30条1項は「配当その他官庁又は公署の決定によつて供託物の払渡しをすべき場合には、当該官庁又は公署は、供託物の種類に従い、供託所に第27号から第28号の2までの書式の支払委託書を送付し、払渡しを受けるべき者に第29号書式の証明書を交付しなければならない。」と規定し、同条第2項は「前項に規定する場合において、同項の支払委託書の記載から供託物の払渡しを受けるべき者であることが明らかとならないときは、供託物の払渡しを受けるべき者は、供託物払渡請求書に同項の証明書を添付しなければならない。」と規定しています。従って、本肢は正しいです。

(オ)供託規則43条第1項は「第38条第1項第2号の規定により供託金又は供託金利息の払渡しの請求をするときは、預貯金振込みの方法又は国庫金振替の方法によらなければならない。」と規定しています。規則上の38条1項2号の規定は、電子情報処理組織を使用した供託金等の払い渡しのことを指していますから、本肢は正しいです。

まとめ

(イ)について、供託書に記載された金額は訂正できないけれども、供託金請求書に記載された金額は訂正できます。この論点は、毎年毎年繰り返し出題されています。

参考になった数17

02

供託法の供託金の払渡請求手続きの論点です。供託法は、執行供託を除いて、知識問題です。執行供託は複雑なルールを持っていますから、様々なケースで結論がどうなるか、整理しておく必要があります。特に滞納処分が絡む問題はより、複雑になっていますから、想定されるパターンから即答出来るようにしておかないと、午後の試験時間が短い中で対処出来ません。

選択肢3. イウ

ア 一括申請の論点です。供託規則23条によると、”同一人が数個の供託について同時に供託物の還付を受け、又は取戻しをしようとする場合において、払渡請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができる。”とあり、本肢の”還付請求”は払渡請求のうちの一つなので、正解となります。

 

イ 供託規則6条6項 によると、”供託書、供託通知書、代供託請求書、附属供託請求書、供託有価証券払渡請求書又は供託有価証券利札請求書に記載した供託金額、有価証券の枚数及び総額面又は請求利札の枚数については、訂正、加入、又は削除をしてはなりません”とあり、供託物払渡請求書は含まれていません。供託規則6条6項記載の書類は、供託所外部に流通する可能性があり、改ざんの危険性があるからです。よって、本肢は不正解となります。

 

ウ 供託規則27条1項で、”代理人によつて供託物の払渡しを請求する場合には、代理人の権限を証する書面を供託物払渡請求書に添付しなければならない。ただし、支配人その他登記のある代理人については、代理人であることを証する登記事項証明書を提示すれば足りる。”とあります。本肢では、”委任による代理人”とあるので、原則通り、代理人の権限を証する書面を供託物請求書に添付しなければなりません。よって、本肢は不正解となります。

 

エ 供託規則30条1項で、”配当その他官庁又は公署の決定によつて供託物の払渡しをすべき場合には、当該官庁又は公署は、供託物の種類に従い、供託所に第27号から第28号の2までの書式の支払委託書を送付し、払渡しを受けるべき者に第29号書式の証明書を交付しなければならない。”とあり、同条2項で、”前項に規定する場合において、同項の支払委託書の記載から供託物の払渡しを受けるべき者であることが明らかとならないときは、供託物の払渡しを受けるべき者は、供託物払渡請求書に同項の証明書を添付しなければならない。”とあります。本肢の場合、当該官庁又は公署とは裁判所になるので、本肢は正解となります。

 

オ 供託規則43条1項で、”第38条第1項第2号の規定(電子情報処理組織を使用した供託金等の払い渡し)により供託金又は供託金利息の払渡しの請求をするときは、預貯金振込みの方法又は国庫金振替の方法によらなければならない。”とあるので、本肢は正解となります。不動産登記の電子申請による方法で出願するときの登録免許税の納付方法が、収入印紙でも可能であることと区別して憶えておきましょう。

まとめ

解法のポイント

供託書の金額は訂正できませんが、供託金請求書の金額は訂正できます。この違いは、供託所外部に流通するかどうかによって、偽造される可能性があるかどうかの違いによる規制です。

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