司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問11
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問題
令和5年度 司法書士試験 午後の部 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
弁済供託の受諾に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 供託物還付請求権の仮差押債権者は、供託所に対し、供託を受諾する旨の意思表示をすることができない。
イ 被供託者が供託物還付請求権を譲渡し、供託所に対し書面によりその旨の通知をした場合であっても、当該書面に供託を受諾する旨が積極的に明示されていない限り、供託者は、供託物の取戻請求をすることができる。
ウ 被供託者が供託所に対し書面により供託を受諾する旨の意思表示をする場合には、当該書面に記名押印すれば足り、当該書面に押された印鑑に係る印鑑証明書を添付することを要しない。
エ 被供託者は、供託所に対し供託を受諾する旨の意思表示をした後は、当該意思表示を撤回することができない。
オ 債権者を確知することができないことを理由として、被供託者をA又はBとする弁済供託がされた場合において、Aが供託所に対し、自己の債権額に相当する部分につき、当該供託を受諾する旨の意思表示をするときは、Aは、自らが債権者であることを証明しなければならない。
ア 供託物還付請求権の仮差押債権者は、供託所に対し、供託を受諾する旨の意思表示をすることができない。
イ 被供託者が供託物還付請求権を譲渡し、供託所に対し書面によりその旨の通知をした場合であっても、当該書面に供託を受諾する旨が積極的に明示されていない限り、供託者は、供託物の取戻請求をすることができる。
ウ 被供託者が供託所に対し書面により供託を受諾する旨の意思表示をする場合には、当該書面に記名押印すれば足り、当該書面に押された印鑑に係る印鑑証明書を添付することを要しない。
エ 被供託者は、供託所に対し供託を受諾する旨の意思表示をした後は、当該意思表示を撤回することができない。
オ 債権者を確知することができないことを理由として、被供託者をA又はBとする弁済供託がされた場合において、Aが供託所に対し、自己の債権額に相当する部分につき、当該供託を受諾する旨の意思表示をするときは、Aは、自らが債権者であることを証明しなければならない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (2件)
01
供託法(弁済供託の受諾)に関する問題です。(オ)は、過去問ではあまり見慣れない論点でしたが、それ以外は、過去問で繰り返し出題されている論点です。
(ア)供託金還付請求権の仮差押債権者は、供託金還付請求権の処分を禁じる地位を有するにとどまるので、供託を受諾する者に含まれません(先例昭和38年2月4日-351参照)。従って、本肢は正しいです。
(イ)供託受諾の書面の様式は特に定められておらず、必ずしも供託を受諾する旨を明記して作成されたものでなくても、その内容から供託受諾の意思が認められるものであれば、供託受諾の効力が生じます(先例昭和36年10月20日-2611参照)。従って、本肢は誤りです。
(ウ)供託を受諾するには、被供託者等の受諾の意思表示をした者の印鑑証明書は不要です(先例昭和41年12月8日-3321参照)。
(エ)被供託者が供託の受諾をした後においては、これを撤回することは認められません(先例昭和37年10月22日-3044参照)
(オ)債権者不確知による供託の被供託者として記載された債権者の一部の者は、将来自己の債権が確定するまでの間に供託者の任意の供託物の取戻しを防ぐために、供託受諾書を提出することができるとされています。(先例昭和31年4月10月-767)その際に、自らが債権者であることを証明することは不要なので、本肢は誤りです。
(オ)について、還付請求権を確定的に証明することができない被供託者の1人が、供託受託の意思表示をすることができるというのは、一般常識的には考えにくいので、これが正しいと判断するのは、少し難しかったかもしれません。
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02
弁済供託の供託受諾の論点です。供託受諾は債務者の取戻し請求権を消滅させるために存在する制度ですから、供託受諾するための要件に、債権者である証明や、印鑑証明書は要求されていません。
ア 仮差押債権者であれば、仮差押えに供託金還付請求権の処分を禁じる効果があるだけで、本案で勝訴が確定しない間は、供託金還付請求権を得ることは出来ませんから、当然、 供託を受諾する者に含まれません。よって、本肢は正解となります。
イ 供託物還付請求権という債権を自身の権利とした上でしか、処分行為が出来ないわけですから、供託物還付請求権を譲渡する行為には受諾の意思表示が含まれると考えられ、供託受諾の効力が生じます。よって、受諾する意志が積極的に明示されている必要はないので、本肢は不正解となります。
ウ 供託金払渡請求書又は委任状に押された印鑑については原則、市区町村又は登記所の作成した印鑑証明書(作成後3か月以内)の添付が必要ですが、供託を受諾するだけだと、印鑑証明書は不要です。そもそも、供託受諾とは債務者の取戻し請求権を消滅させるためのものであって、還付請求そのものではないため、印鑑証明書は不要となっています。よって、本肢は正解となります。
エ 供託受諾の意思表示は、取戻請求権を消滅させる法的効果を発生させるなど、受諾した者以外にも影響を与えるため、撤回は出来ません。錯誤による取消が出来ることと、区別が必要です。よって、本肢は正解とになります。
オ 債権者不確知による供託の場合、債権者は自身が真の債権者であることを証明するには時間がかかる(例えば本案で勝訴確定するまで)ため、その間に債務者(供託者)に取戻し請求をされないようにする必要があるので、供託受諾の意思表示をします。よって、受諾するだけの段階だと、自らが債権者であることを証明する必要はありません。よって、本肢は不正解となります。
解法のポイント
供託受諾は何のために行われるのか、理解しておけば、先例を知らなくても、ある程度、肢を絞ることが出来ます。
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