司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問13

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

電子情報処理組織を使用する方法による不動産登記の申請(以下「電子申請」という。) に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
なお、不動産登記令附則第5条に規定する添付情報の提供方法に関する特例(特例方式)については、考慮しないものとする。

ア  自然人が申請人である所有権の移転の登記の電子申請を、委任による代理人によってする場合であっても、申請人は、申請情報に電子署名を行わなければならない。
イ  法人の代表者が申請情報に電子署名を行った場合において、電子認証登記所の登記官が作成した当該法人の代表者に係る電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、当該法人の会社法人等番号の提供に代えることができる。
ウ  委任による代理人によって権利に関する登記の電子申請をする場合において、当該電子申請の添付情報が、当該代理人以外の第三者が作成した書面に記載されているときは、当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものに、当該代理人が電子署名を行ったものを添付情報として提供して申請することができる。
エ  登記の電子申請をした場合においても、登録免許税を納付するときは、当該電子申請をした登記所に、登録免許税に係る領収証書を貼付した登録免許税納付用紙を提出する方法によって納付することができる。
オ  自然人である申請人が委任による代理人によらずに登記の電子申請をした場合において、申請情報に誤りがあり補正するときは、申請人は、補正情報を作成した上でこれに電子署名し、当該申請人の電子証明書とともに送信しなければならない。
  • アウ
  • アエ
  • イウ
  • イオ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

不動産登記法(電子申請)に関する問題です。不動産登記法における電子申請の問題は、電子申請の普及に合わせて、最近は、毎年必ず1題出題されるようになっています。

選択肢1. アウ

(ア)委任による代理人によって登記を申請するときは、申請情報には、代理人が電子署名を行い、申請人である自然人は、当該代理人の権限を証する情報に電子署名を行わなくてはなりません(不動産登記令12条第2項参照)。従って、本肢は誤りです。

(イ)法人が電子申請によって登記を申請するときは、当該法人の代表者は申請情報に電子署名をし、かつ電子証明書を併せて送信しなければなりません。この場合、当該法人が、電子認証登記所の登記官が作成した商業登記規則33条の8第2項に規定する電子証明書(商業登記電子証明書)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、当該会社等法人番号の提供に代えることができます(不動産登記規則44条2項参照)。従って、本肢は正しいです。

(ウ)委任による代理人によって登記の電子申請(特例方式を除く)をする場合に、当該電子申請の添付情報が、当該代理人以外の第三者が作成した書面であるときは、当該書面の作成者はが当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録し、当該作成名義人が電子署名を行ったものを提供しなくてはなりません(不動産登記令12条第2項参照)。本肢は、電子署名を行うべきものを、第三者ではなく、代理人としているため、誤りです。

(エ)電子申請により登記申請を行う場合、登記に係る登録免許税に支払いは、歳入金電子納付システム(インターネットバンキング)を利用して納付することが一般的ですが、登記機関の定める書面(登録免許税納付用紙)に、収入印紙を張り付けたものを、別途提出して納付することも可能です(不動産登記事務取扱手続準則124条2項参照)。

(オ)自然人である申請人が、自ら電子申請した場合、申請情報に誤りがあり、これを補正する場合は、申請人は、補正情報を作成したうえで、これに電子署名し、電子証明書を併せて送信しなければ羅りません。従って、本肢は正しいです。なお、電子申請によりなされた登記の申請の補正は、電子情報処理組織を使用する方法でしなくてはなりません(先例平成17年2月25日-457参照)。

まとめ

電子申請といっても、その仕組みは書面申請をベースに構成されていますから、電子申請の問題で迷ったら、書面の申請の場合はどうだったかを考えると、正誤が判断できる場合もあります。

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02

不動産登記法の電子申請の論点です。商業登記法と微妙に違う部分があるので、注意が必要です。近年、電子化が進んでいることもあり、毎年、出題される傾向にあります。

選択肢1. アウ

ア 不動産登記令第12条に、”電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。”とあり、委任による代理人によって登記を申請するときは、申請情報には、代理人が電子署名を行い、申請人である自然人は、書面でする場合と同様に、申請情報にではなく、当該代理人の権限を証する情報に電子署名を行わなくてはなりません。よって、本肢は不正解となります。

 

イ まず、平成27年11月2日から、会社法人等番号の提供で、法人の代表者の資格証明情報(登記事項証明書)に代えることができるよう、不動産登記令等が改正されたため、不動産登記規則44条2項の”電子申請の申請人がその者の前条第1項第二号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、当該申請人の代表者の資格を証する情報の提供に代えることができる。”の、”代表者の資格を証する情報”は”会社法人等番号”に置き換えることが出来ます。よって、本肢の、” 電子認証登記所の登記官が作成した代表者に係る電子証明書を提供したときは、当該会社等法人番号の提供に代えることができる”ことになりますから、本肢は正解となります。

 

ウ 不動産登記令12条2項で、”電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。”とあり、電子申請において、添付情報も作成者による電子署名が必要になります。本肢では、委任による代理人による申請で、添付書面が当該代理人以外の第三者によって作成されたとあるのに、当該添付書面は代理人によって電子署名を行ったものを添付情報としなけれならないとあるため、不正解となります。

 

エ 不動産登記事務取扱手続準則124条2項で、”第126条第1項及び第2項の規定は、電子申請において登記所に登録免許税納付用紙が提出された場合について準用する。”とあり、第126条1項で、”登記官は、登記の申請書を受け付けたときは、直ちに、これにはり付けられた領収証書に「使用済」と記載し、又ははり付けられた収入印紙を再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。”、同条2項で、”前項の領収証書については、申請の受付の年月日及び受付番号を記載して、同項の使用済の旨の記載に代えることができる。”とあるので、電子申請でも、登録免許税納付用紙に収入印紙を張り付けたものを提出する方法でも、納付することが可能です。よって、本肢は正解となります。

 

オ 商業登記法と混同しがちですが、不動産登記法は 電子申請によりなされた登記の申請の補正は、電子情報処理組織を使用する方法でしなくてはなりません。よって、本肢にあるように、自然人である申請人が、自ら電子申請した場合、申請情報に誤りがあり、これを補正する場合は、申請人は、補正情報を作成した上でこれに電子署名し、電子証明書とともに送信しなければならないため、本肢は正解となります。

まとめ

解法のポイント

電子申請も、申請の手段方法の一つであり、書面による申請と基本は変わりません。その上で、電子申請と書面による申請の違いを整理しておくことが肝腎です。また、電子化が年々、進んでいることもあり、改正が多い場所です。なるべく、最新の情報に知識を更新しておく必要があります。

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