司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問14

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

次のアからオまでの記述のうち、第1欄に掲げる登記を申請する場合に、第2欄に掲げる登記原因及びその日付が誤っているものの組合せはどれか。
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  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

不動産登記法(登記原因とその日付)に関する問題です。(エ)が少し難しいですが、それ以外は、標準レベルです。

選択肢4. イエ

(ア)相続放棄申述受理書が提出されてなされた相続登記が、相続放棄の申述受理の審判が取消されたことを原因として、所有権更正登記を行う場合、その登記原因は「相続放棄取消」、日付は相続放棄の申述の審判が取り消された日(令和5年4月4日)となります(記録例199参照)。従って、本肢は正しいです。

(イ)買戻権の行使による所有権移転の効力は、売主が買主に対して、買主が支払った代金を提供し、その意思表示が到達したときに生じるのが原則ですが、農地の買戻しの場合は、農地法所定の許可が必要であり、その許可が到達したときに、所有権移転の効力が生じるとされています(先例昭和30年2月19日-355、先例昭和35年10月6日-2498参照)。従って、本肢は、「令和5年5月10日買戻し」が正しい登記原因日付となるため、誤りです。

(ウ)存続期間を「配偶者居住権者の死亡の時まで」と配偶者居住権の設定登記がされている場合において、配偶者居住権者の死亡により、その抹消登記をする場合の登記原因は「死亡による消滅」、日付は「配偶者居住権者の死亡年月日」となります(先例令和2年3月30日-324)。従って、本肢は正しいです。

(エ)相続登記を登記原因として胎児を登記名義人とする所有権の移転登記がされている場合に、胎児が生きて生まれたときには、登記原因を「出生」、日付を「胎児が生まれた年月日」とする、登記名義人の氏名及び住所の変更登記を行います。従って、本肢は誤りです。

(オ)利息の定めの登記がされている抵当権について、その利息の定めを廃止したときは、登記原因を「変更」、日付を「廃止した年月日」とする登記を申請することができます(記録例405)。従って、本肢は正しいです。

まとめ

(エ)について、登記原因が「出生」が正しいのか、「氏名変更」が正しいのかは、少し迷います。ここを「出生」が正しいと判断できれば、(イ)は有名論点ですので、何とか正答できるでしょう。

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02

登記原因と日付の論点です。原則、登記原因日付は実体上、物権変動が起きた時になると考えると良いと思います。

選択肢4. イエ

ア 相続放棄の申述受理の審判が取消されたことを原因とする所有権更正の登記原因は「相続放棄取消」です。登記原因日付は、相続放棄の申述の審判が取り消された日となりますから、令和5年4月4日となります。よって、本肢は正解となります。
 

イ 買戻権を行使した場合、所有権移転の効力は原則、売主が買主に対して、買主が支払った代金を提供し、その意思表示が到達したときに生じます。ただし、それが農地である場合は、所有権移転の実体法上の効果が農地法の許可が到達した時となるので、問題となります。不動産登記の登記原因日付とは、実体上、物権変動が起こった時を記載するものですから、農地の場合で農地法の許可が必要場合は、あくまで、農地法の許可が到達した日となります。よって、登記原因と日付は本肢の令和5年4月4日買戻しではなく、令和5年5月10日買戻となるので、本肢は不正解となります。
 

ウ 存続期間を「配偶者居住権者の死亡の時まで」とする配偶者居住権の設定登記がされている場合、配偶者居住権者の死亡により、抹消登記をする場合の登記原因は”死亡による消滅”で、日付は”配偶者居住権者が死亡した年月日”となります。よって、本肢は正解となります。
 

エ 胎児を登記名義人として、相続による所有権移転登記をする場合、解除条件として、死産だった場合に、抹消や更生登記をし、無事に出生した場合は、登記原因を”出生”、登記原因日付を胎児の出生日とした変更登記をすることになります。本肢は登記原因日付は正確ですが、登記原因が”出生変更”となっているので、不正解となります。
 

オ 利息の定めの登記がされている抵当権で、利息の定めを廃止したときは、登記原因は”変更”、登記原因日付は”廃止した年月日”として、登記申請します。よって、本肢は正解となります。

まとめ

解法のポイント

少し、細かい論点になります。アとイは有名な論点です。ウの配偶者居住権は比較的、新しい制度ですが、おそらく今後も出題される可能性のある論点です。エとオが知らない場合があるかもしれません。イが確実に誤っている肢なので、アとウが正解と分かれば、選択肢が絞られます。本問は全ての肢の正誤がわからなくても、それなりの確率で正解を導き出せる例です。

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