司法書士 過去問
令和5年度
問60 (午後の部 問25)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

司法書士試験 令和5年度 問60(午後の部 問25) (訂正依頼・報告はこちら)

不動産登記に関する法令における期間の定めに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
なお、申請はいずれも登記所に書面を提出する方法により行うものとする。

ア  新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。
イ  法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間は、法定相続情報一覧図の保管の申出の日から10年である。
ウ  取締役会設置会社であるA株式会社とその代表取締役であるBとの間で締結した売買契約に基づく所有権の移転の登記を申請する場合において、利益相反取引に当たる当該売買契約を承認する旨のA株式会社の取締役会の議事録及び当該議事録に押印された印鑑に関する証明書を添付するときは、当該印鑑に関する証明書は、作成後3か月以内のものでなければならない。
エ  相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、登記原因を証する情報として戸籍謄本を添付するときは、当該戸籍謄本は、作成後3か月以内のものであることを要しない。
オ  国外に住所を有する日本人を登記義務者として所有権の移転の登記を申請する場合において、当該申請書に添付すべき登記義務者の印鑑に関する証明書に代えて、在外公館において作成される登記義務者の署名が本人によるものである旨の証明書を添付するときは、当該証明書は、作成後3か月以内のものであることを要しない。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

不動産登記法(期間の定め)に関する問題です。比較的平易な論点が多く、解答しやすい問題です。

選択肢5. エオ

(ア)所有権保存登記に、登記を申請する期間の定めはありません。従って、本肢は誤りです。

(イ)法定相続情報一覧図綴り込み帳の保存期間は、作成の翌年から5年間です。従って、本肢は誤りです。

(ウ)取締役会設置会社である株式会社と取締役との間で、利益が相反する取引をするときは、取締役会の承認を受けなくてはなりません。当該利益相反取引の登記を申請する場合は、当該取引を承認した取締役会議事録を提供しなければなりません。この取締役会議事録には、出席取締役等の印鑑証明書の添付しなくてはなりませんが、この証明書は作成後3か月以内のものである必要はありません。この印鑑に関する証明書は、議事録の真正性を担保するものであり、期間の定めが不要だからです。従って、本肢は誤りです。

(エ)相続を登記原因とする所有権移転登記を申請する場合に、登記原因を証する情報として添付する戸籍謄本は、作成後3カ月以内のものを添付すべきとする作成期間に関する制限はありません。従って、本肢は正しいです。

(オ)外国に住所を有する日本人が、登記義務者として、所有権移転の登記を申請するときは、登記義務者の印鑑証明書に代えて、在外公館によって作成された署名証明書を提供することができます。この署名証明書に作成後3か月以内のものを提供すべきといった期間に関する定めはありません。従って、本肢は正しいです。

まとめ

基本的な論点のみの問題でしたので、ボーナス問題です。ボーナス問題が出たら、確実に得点できるようにしておかなくてはなりません。

参考になった数30

02

不動産登記における添付書面の作成期限に関する問題です。

基本的な問題なので、確実に正解しましょう。

選択肢5. エオ

(ア)新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。

 

1か月以内に登記しなければならないのは、所有権の保存登記ではなく、建物自体の表題登記です。

よって、本肢は誤りです。

 

 

(イ)法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間は、法定相続情報一覧図の保管の申出の日から10年である。

 

10年ではなく5年なので、本肢は誤りです。

 

 

(ウ)取締役会設置会社であるA株式会社とその代表取締役であるBとの間で締結した売買契約に基づく所有権の移転の登記を申請する場合において、利益相反取引に当たる当該売買契約を承認する旨のA株式会社の取締役会の議事録及び当該議事録に押印された印鑑に関する証明書を添付するときは、当該印鑑に関する証明書は、作成後3か月以内のものでなければならない。

 

法人との利益相反の場合に添付する印鑑証明書は、不動産登記令19条1項に規定するものであり、作成期間の定めはありません。

よって、本肢は誤りです。

 

 

(エ)相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、登記原因を証する情報として戸籍謄本を添付するときは、当該戸籍謄本は、作成後3か月以内のものであることを要しない。

 

戸籍謄本については、作成期限の定めがあるケースはありません。

よって、本肢は正しいです。

 

 

(オ)国外に住所を有する日本人を登記義務者として所有権の移転の登記を申請する場合において、当該申請書に添付すべき登記義務者の印鑑に関する証明書に代えて、在外公館において作成される登記義務者の署名が本人によるものである旨の証明書を添付するときは、当該証明書は、作成後3か月以内のものであることを要しない。

 

登記義務者の署名が本人によるものである旨の証明書(=署名証明書)については、作成期限の定めはありません。

よって、本肢は正しいです。

まとめ

不動産登記において、戸籍謄本と外国人の署名証明書を添付する場合には作成期限の定めはありません。

参考になった数4

03

本問において出題されている肢は、どれも実務上において基本的な知識ですので、必ず得点できるようにしましょう。

選択肢5. エオ

ア 本肢のような定めはないため誤りです。

 

イ 法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間は「5年」とされているため、本肢は誤りです。

 

ウ 第三者の承諾を証する書面においては、印鑑に関する証明書は、作成後3か月以内の期限は設けられていません

 これに対し、申請人となる者の印鑑に関する証明書は、申請時の意思確認のため、作成後3か月以内という期限が設けられています。

 本肢においては、利益相反取引に当たる当該売買契約を承認する旨のA株式会社の取締役会の議事録であるため、当該印鑑に関する証明書は、作成後3か月以内のものでなければならないとする本肢は誤りです。

 

エ 相続登記を申請する際に添付する戸籍謄本等は作成後3か月以内のものであることを要しないため、本肢は正しいです。

 これは、意思確認を証するものではなく、相続人であるという事実を確認する書類であるからです。

 

オ 正しいです。

 在外公館において作成されるものについては、面前で署名が行われるため、印影を確認する間接的な方法よりも、より信頼度が高いとされ、特に期限は設けられていません。

まとめ

法定相続情報の保存期間が「5年」であることに注意しましょう。

参考になった数0