司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問31

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問題

令和5年度 司法書士試験 午後の部 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社の役員の変更の登記等に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せはどれか。

ア  定款に定める取締役及び代表取締役の員数が取締役3名及び代表取締役1名である取締役会設置会社において、代表取締役である取締役が死亡し、残りの取締役2名が出席した取締役会の決議によって後任の代表取締役を選定した場合には、後任の代表取締役は、前任の代表取締役の死亡による変更の登記と後任の代表取締役の就任による変更の登記を申請することができる。
イ  監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役を置いている取締役会設置会社において、取締役及び監査役の全員が出席した取締役会の決議によって代表取締役を選定した場合には、代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役又は監査役の印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときを除き、当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。
ウ  成年被後見人を取締役として選任した場合は、取締役の就任による変更の登記の申請書には、当該成年被後見人の同意書を添付することを要しない。
エ  取締役の員数について定款に会社法の規定と異なる別段の定めのある会社において、会社法第112条第1項の規定により、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任する旨の定款の定めが廃止されたものとみなされたときにする当該定款の定めの廃止による変更の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
オ  株主総会において解任された取締役について、辞任を原因とする取締役の変更の登記がされている場合には、会社は、当該登記の抹消を申請することができる。
(参考)
会社法
第112条 第108条第2項第9号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定款の定めは、この法律又は定款で定めた取締役の員数を欠いた場合において、そのために当該員数に足りる数の取締役を選任することができないときは、廃止されたものとみなす。
2  (略)
  • アイ
  • アエ
  • イオ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (1件)

01

商業登記法(株式会社の役員の変更の登記等)に関する問題です。商業登記法の問題において、役員の変更登記に関する問題は、毎年必ず1題は出題される頻出問題です。

選択肢5. ウオ

(ア)取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(定款でこれを上回る割合を定めた場合は、その割合以上)が出席し、その過半数(定款でこれを上回る割合を定めた場合は、その割合以上)をもって行います。本肢の取締役会決議は、定足数の2名を満たしているので有効です。従って、この取締役会決議によって選任された後任の代表取締役は、取締役及び代表取締役の死亡による変更登記と、代表取締役の就任登記を申請できます。従って、本肢は正しいです。

(イ)取締役会の決議によって代表取締役を選任した場合における代表取締役の就任登記申請は、変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑を押印している場合を除き、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある場合でも、出席取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑について、市区町村長の証明書を添付しなければなりません。従って、本肢は正しいです。

(ウ)成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合には、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得たうえで、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければなりません。従って、成年被後見人の取締役への就任登記申請書には、成年被後見人の同意書を添付する必要があります。従って、本肢は誤りです。

(エ)種類株主総会の決議によって取締役を選任する旨の定款の定めがある種類株式発行会社において、会社法又は定款で定める取締役の員数を欠き、種類株主総会の決議によって取締役を選任する旨の定款の定めのために、当該員数に足る数の取締役を選任することができないときは、種類株主総会によって取締役を選任する旨の定款の定めは、廃止したものとみなされます(会社法112条1項)。取締役の員数について定款に会社法の規定と異なる別段の定めがある会社において、この規定にも基づく変更登記を行う場合は、取締役の員数について定款に会社法の規定と異なる別段の定めのある会社であることにより、員数に足る取締役を選任することができないことを添付書面により証明する必要があるので、当該変更登記の申請書には定款の添付が必要です。従って、本肢は正しいです。

(オ)登記された事項について無効の原因があるときは、当事者はその登記の抹消登記を申請することができます。しかし、解任された取締役につきされた辞任の登記は、取締役である資格の消滅という身分変動については真実に合致しており、当該登記は有効であるため、抹消することはできません。従って、本肢は誤りです。

まとめ

(ア)(オ)は有名な論点です。(イ)は長文で読解が困難ですが、これも司法書士試験でおなじみの論点です。(ウ)は、近年の改正による新しい論点ですが、簡単です。(エ)は少し難しいです。組み合わせ問題なので、難しい(エ)が分からなくても、正解できます。

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