司法書士 過去問
令和6年度
問5 (午前の部 問5)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

司法書士試験 令和6年度 問5(午前の部 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

条件に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。

ア  停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無条件となる。
イ  単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。
ウ  条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
エ  認知には、条件を付すことができる。
オ  不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、無条件となる。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、条件に関する記述のうち、正しいものの組合せを選びます。

選択肢3. イウ

ア.停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無条件となる」とあります。
停止条件とは、「ある条件が実現したときに効力が生じる契約」のことです。もし、条件が絶対に実現しないことが最初から確定しているなら、その契約は 無条件になるのではなく、無効となります(民法第134条)。
したがって、誤りです。

イ.単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる」とあります。
例えば、「借金の返済は私が気が向いたらする」というような契約は、債務者の意思だけで決まるため、法律上認められない。
これは 法律行為の確実性を損なうため、無効とされる(民法第134条)。
したがって、正しいです。

ウ.条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる」とあります。
例えば、ある契約が「火事が起きたら保険金を支払う」という条件付きだったとします。もし契約者が故意に火事を起こして条件を成就させた場合、相手方は「条件が成就しなかった」とみなすことができます。これは 不正行為を防ぐための規定であり、民法第130条に基づきます
したがって、正しいです。

エ.認知には、条件を付すことができる」とあります。
認知とは、父が自分の子であることを法律上認めることです。認知は 無条件で行うものであり、「子が20歳になったら認知する」などの条件をつけることは認められません(民法第781条)。
したがって、誤りです。

オ.不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、無条件となる」とあります。
例えば、「人を傷つけないことを条件にお金を貸す」といった契約があった場合、この条件自体が不適切なため、契約全体が無条件になるのではなく、契約自体が無効になる可能性があります(民法第132条)。
したがって、誤りです。

まとめ

この問題のポイントとなる以下をしっかり押さえておきましょう。

 

停止条件が成就しないことが確定している場合、その法律行為は無効(民法第131条第2項)。

債務者の意思だけで決まる条件付きの契約は無効(民法第134条)。

不正に条件を成就させた場合、相手方は条件が成就しなかったとみなせる(民法第130条)。

認知は無条件で行うものであり、条件をつけることはできない(民法第781条)。

不法な行為をしないことを条件とする契約は無条件ではなく、無効になる可能性がある(民法第132条)。

参考になった数16

02

条件に関する問題です。

 

停止条件:押さえつけられて止められている電車が、手を離せば進みだすイメージ

解除条件:有効だった契約が解除されて無効になるイメージ

 

など、自分なりの覚え方を見つけましょう。

選択肢3. イウ

停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無条件となる。

 

停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無効となります(民法131条2項)。

よって、本肢は誤りです。

 

 

単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。

 

民法第134条のとおりですので、本肢は正しいです。

 

 

条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

 

民法第130条第2項のとおりですので、本肢は正しいです。

※ このようにみなすことができるのはあくまで「相手方」のみであることに注意しましょう。

(本問において、「相手方」が「第三者」となっていれば、本肢は誤りです。)

 

 

認知には、条件を付すことができる。

 

認知などの身分行為は、その性質上、条件を付することはできません。

(身分関係が不安定になることを避けるためです。)

よって、本肢は誤りです。

 

 

不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、無条件となる。

 

不法な行為は、することもしないことも条件とすることはできず、無効となります(民法132条)。

よって、本肢は誤りです。

まとめ

単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる」ことは、正確に暗記しましょう。

参考になった数2