司法書士 過去問
令和6年度
問15 (午前の部 問15)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問15(午前の部 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

元本確定前の根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。

ア  根抵当権者は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがある場合であっても、当該期日の前に担保すべき元本の確定を請求することができる。
イ  根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を定める場合には、その期日は、これを定めた日から5年以内でなければならない。
ウ  抵当権の順位の譲渡を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡をした場合には、その譲受人は、抵当権の順位の譲渡の利益を受ける。
エ  根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、その有する持分を譲り渡すことができる。
オ  根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を譲り渡すことはできない。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、元本が確定する前の根抵当権に関する知識を問うものです。それぞれの選択肢を判例や条文に基づいて検討します。

選択肢3. イウ

「根抵当権者は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがある場合であっても、当該期日の前に担保すべき元本の確定を請求することができる。」
→ 民法第398条の20第1項で、「元本確定期日の定めがある場合でも、原則として期日前の確定請求はできない」とされています(ただし例外あり)。
したがって、この記述は 誤りです。

「根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を定める場合には、その期日は、これを定めた日から5年以内でなければならない。」
→ 民法第398条の18第2項により、この内容はそのまま正しく、更新も可能です。
この記述は 正しいです。

「抵当権の順位の譲渡を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡をした場合には、その譲受人は、抵当権の順位の譲渡の利益を受ける。」
→ 最判平成6年6月24日では、「順位の譲渡の利益は、譲渡された根抵当権にも引き継がれる」としています。
したがって、この記述は 正しいです。

「根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、その有する持分を譲り渡すことができる。」
→ 最判平成13年11月22日により、「元本確定前の共有持分の譲渡には、他の共有者の同意が必要」とされています。
この記述は 誤りです。

「根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を譲り渡すことはできない。」
→ 判例(最判平成8年3月5日)では、分割譲渡は認められるとされています。
この記述は 誤りです。

まとめ

以下のポイントを押さえておきましょう。

 

・元本確定期日前に債権者から確定請求は原則できない(例外あり)

・確定期日は5年以内に設定する必要がある(民法第398条の18)

・順位の譲渡の利益は、根抵当権の譲受人に引き継がれる(最判平成6年)

・根抵当権の持分を他人に譲渡するには、他の共有者の同意が必要(最判平成13年)

・根抵当権の分割譲渡は可能(最判平成8年)

 

 

 

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02

元本確定前の根抵当権に関する問題です。

根抵当権については、民法第398条の2~第398条の22に規定されています。

 

元本が確定した後は通常の抵当権と同じような性質になりますが、確定前には特殊な部分もありますので、明確に分けて考えましょう。

選択肢3. イウ

根抵当権者は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがある場合であっても、当該期日の前に担保すべき元本の確定を請求することができる。

 

民法第398条の19には、以下のように規定されています。

第2項「根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本はその請求の時に確定する。

第3項「前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない

よって、確定期日があるときは根抵当権者から確定の請求はできないため、本肢は誤りです。

 

 

根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を定める場合には、その期日は、これを定めた日から5年以内でなければならない。

 

民法第398条の6第3項のとおりです。

よって、本肢は正しいです。

 

 

抵当権の順位の譲渡を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡をした場合には、その譲受人は、抵当権の順位の譲渡の利益を受ける。

 

民法第398条の15には、以下のように規定されています。

抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける

よって、本肢は正しいです。

 

 

根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、その有する持分を譲り渡すことができる。

 

民法第398条の14第2項には、以下のように規定されています。

根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第398条の12第1項の規定(=根抵当権設定者の承諾を得る必要あり)によりその権利を譲り渡すことができる。

よって、本肢は誤りです。

※ なお、譲渡による登記の原因日付は、同意又は承諾の日のいずれか遅い日です。

 

 

根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を譲り渡すことはできない。

 

民法第398条の12には、以下のように規定されています。

第1項「元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。

第2項「根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。」

よって、本肢は誤りです。

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