司法書士 過去問
令和6年度
問20 (午前の部 問20)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問20(午前の部 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

補助に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。

ア  本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
イ  補助開始の審判は、被補助人が特定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判又は被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判とともにしなければならない。
ウ  補助人は、遅滞なく被補助人の財産の調査に着手し、法定の期間内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。
エ  補助人の兄弟姉妹は、補助監督人となることができない。
オ  補助監督人と補助人との間で補助人の報酬の額を合意した場合には、家庭裁判所は、当該合意した額の報酬を補助人に付与しなければならない。
  • アイ
  • アオ
  • イエ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、成年後見制度の一部である「補助」に関して、条文や制度の趣旨に照らして誤っている記述の組合せの選択肢を選びます。

選択肢5. ウオ


本人以外の者(配偶者や四親等内の親族など)が補助開始の審判を請求するには、本人の同意が必要です(民法15条1項)。
本人の意思を最大限尊重するという補助制度の基本的な考え方に基づいています。
本記述は正しいです。


補助開始の審判に際して、必ず同意権付与審判や代理権付与審判を同時に行わなければならないかどうかが問題になります。
民法15条3項の規定から本記述は正しいです。


補助人の財産調査義務についてですが、民法の規定では、財産目録の作成義務があるのは成年後見人や保佐人の場合であり、補助人には明文規定がありません(民法128条の2は成年後見の場合の規定)。
したがって、補助人に当然に目録作成義務が課されるとはいえません。
本記述は誤りです。


民法876条の8第2項により、補助人の兄弟姉妹は、補助監督人となることができません。

本記述は正しいです。

 


補助監督人と補助人との間で報酬の額を合意したとしても、補助人の報酬は家庭裁判所の審判で定められる(民法第862条、第876条の8、第876条の10第1項)ため、その合意に拘束されるものではありません。
「家庭裁判所は合意額を付与しなければならない」とする本記述は、裁判所の裁量を否定しており、誤りです。

まとめ

補助制度は、本人の意思の尊重を基本としながらも、適切な支援体制を整えることが目的です。制度の運用や関係者の役割に関する規定を正確に押さえておく必要があります。

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02

補助については、主に民法第15条~第21条、第876条の6~第876条の10に規定されています。

(前者は主に手続面、後者は主に効力面を規定しています。)

(その他、後見人に関する規定が準用されています。)

 

後見・保佐・補助の性質やそれぞれの違いはよく問われるので、比較しながら、細かい部分まで覚えましょう。

選択肢5. ウオ

本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

 

本人以外の者の請求による補助開始の審判には、後見・保佐開始の審判とは異なり、本人の同意が必要です(民法第15条2項)。

よって、本肢は正しいです。

 

 

補助開始の審判は、被補助人が特定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判又は被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判とともにしなければならない。

 

補助開始の審判は、補助人の同意を要する旨の審判(民法第17条第1項)又は補助人に代理権を付与する旨の審判(民法第876条の9第1項)とともにしなければなりません(民法第15条3項)。

よって、本肢は正しいです。

 

 

補助人は、遅滞なく被補助人の財産の調査に着手し、法定の期間内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。

 

後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、1か月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければなりません(民法第853条)が、この規定は、保佐・補助の場合には準用されていません。

よって、本肢は誤りです。

 

 

補助人の兄弟姉妹は、補助監督人となることができない。

 

補助人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、補助監督人となることができません(民法第876条の8、第850条)。

よって、本肢は正しいです。

 

 

補助監督人と補助人との間で補助人の報酬の額を合意した場合には、家庭裁判所は、当該合意した額の報酬を補助人に付与しなければならない。

 

補助人の報酬については、「家庭裁判所は、補助人及び被補助人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。」と規定されているにすぎず、補助監督人についてもこの条文が準用されています(民法第876条の8、第862条)。

よって、家庭裁判所が合意の額に拘束されることはないので、本肢は誤りです。

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