司法書士 過去問
令和6年度
問32 (午前の部 問32)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問32(午前の部 問32) (訂正依頼・報告はこちら)

株主総会の決議によって解散したことにより清算が開始した場合に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
※問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。

ア  清算人は、清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
イ  裁判所が選任した清算人は、重要な事由があるときは、株主総会の決議によって解任することができる。
ウ  裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人会設置会社でない清算株式会社の清算人に代わって当該清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存する者を選任することができる。
エ  清算株式会社は、会計監査人を置くことができる。
オ  清算株式会社の特別支配株主は、特別支配株主の株式等売渡請求をすることができない。
  • アエ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (2件)

01

解散したことにより清算が開始すると、手続きに制限が加わります。どのような制限については以下の復習をしてください。

 

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. アエ

ア: 会社法484条の通りです。

 

 

エ: 清算株式会社においては、支配人や(代表)取締役、会計参与、会計監査人を置くことは出来ません。これらの事項が登記されていた場合には登記官の職権で抹消されることとなります。ただし、監査役や監査役会は清算株式会社においても設置することが出来ますので、抹消されません。

選択肢2. アオ

オ: 清算株式会社においては、特別支配株主の株式等売渡請求をすることは出来ません。そのほか、剰余金の配当資本(準備)金の減少などもすることが出来ません。

選択肢3. イウ

イ: 清算人は、いつでも株主総会の決議によって解任することができます。ただし裁判所が選任した者は除かれます。裁判所が選任した場合には解任についても裁判所の規律に服すべきであるからです。

 

 

ウ: 508条2項の通りです。

選択肢4. イエ

解説は他選択肢に記載しておりますので、そちらを参照してください。

選択肢5. ウオ

解説は他選択肢に記載しておりますので、そちらを参照してください。

まとめ

清算の目的は債権者への弁済や残余財産の分配などに限られています。不必要な機関や手続きは行いませんので、そのような観点で問題を解いてみてください。

参考になった数11

02

清算に関する問題です。

関連する条文について押さえておきましょう。

選択肢4. イエ

清算人は、清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

◯正しい選択肢です。

会社法第484条1項において、「清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。」と定められています。

よって本肢は正しい選択肢です。


 

裁判所が選任した清算人は、重要な事由があるときは、株主総会の決議によって解任することができる。

✕誤った選択肢です。

会社法第479条1項において、「清算人(前条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。」と定められています。

よって本肢は誤りです。


 

裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人会設置会社でない清算株式会社の清算人に代わって当該清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存する者を選任することができる。

◯正しい選択肢です。

会社法第508条2項において、「裁判所は、利害関係人の申立てにより、前項の清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる。・・・」と定められています。

よって本肢は正しい選択肢です。


 

清算株式会社は、会計監査人を置くことができる。

✕誤った選択肢です。

会社法第477条2項において、「清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。」と定められてます。また、同条7項において、「第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない。」と定められています。

そして、第4章第2節第326条2項において、「株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。」と定められています。会計監査人を置くことができると定めた326条2項は、清算株式会社では適用されません。

よって本肢は誤りです。


 

清算株式会社の特別支配株主は、特別支配株主の株式等売渡請求をすることができない。

◯正しい選択肢です。

会社法第179条1項において、「株式会社の特別支配株主(株式会社の総株主の議決権の十分の九(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を当該株式会社以外の者及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人(以下この条及び次条第一項において「特別支配株主完全子法人」という。)が有している場合における当該者をいう。以下同じ。)は、当該株式会社の株主(当該株式会社及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。・・・」と定められています。

よって本肢は正しい選択肢です。

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