司法書士 過去問
令和6年度
問37 (午後の部 問2)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問37(午後の部 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

複雑訴訟形態に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、次のうち、どれか。

ア  一の訴えで一人に対して数個の請求をする場合において、その訴えで主張する利益が各請求について共通であるときは、各請求の価額を合算せずに、訴訟の目的の価額を算定する。
イ  数人に対する一の訴えについては、訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときは、一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。
ウ  一の訴えで一人に対して数個の請求がされた場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
エ  相手方が本案について口頭弁論をした後は、相手方の同意を得なければ、訴えの追加的変更をすることができない。
オ  裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

複雑訴訟の問題では、どのような訴訟手続きがあり、どのような規定が設けられているか理解していることが重要です。

各選択肢については以下の通りです。

 

ア: 1人に対して数個の請求をする場合において、その訴えで主張する利益が各請求について共通であるときは、各請求の価額を合算せずに訴訟の目的の価額を算定します。

イ: 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができます。

また、訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも同様に訴え、又は訴えられることができます。

これは少し難易度の高い知識ですので、知らなくても問題ありません。

ウ: 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利が法律上併存し得ない関係にある場合において、控訴審の口頭弁論終結時までに原告が同時審判の申出をしたときは、弁論及び裁判を分離しないでしなければなりません。原告の申出があっただけでは適用されません。

エ: 訴えの追加的変更については、相手方の同意を得る必要はありません。一方で訴えの交換的変更については、訴えの取下げの意味を含むため、相手方の同意を得る必要があります。

オ: 裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をする必要があります。 

選択肢2. アオ

正しいです。

まとめ

通常共同訴訟や同時審判申出訴訟、必要的共同訴訟の意義や要件は全て覚えておく必要があります。ウのような選択肢に騙されないようにしましょう。

参考になった数9

02

訴えの併合・分離等に関する問題です。

関連する条文について押さえておきましょう。

選択肢2. アオ

一の訴えで一人に対して数個の請求をする場合において、その訴えで主張する利益が各請求について共通であるときは、各請求の価額を合算せずに、訴訟の目的の価額を算定する。

◯正しい選択肢です。

民事訴訟法第9条1項において、「一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。」と定められています。

よって本肢は正しい選択肢です。


 

数人に対する一の訴えについては、訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときは、一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。

✕誤った選択肢です。

民事訴訟法第7条において、「一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る。」と定められています。

そして、同法第38条において、「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。」本問は第38条後段の記載です。

よって本肢は誤りです。


 

一の訴えで一人に対して数個の請求がされた場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。

✕誤った選択肢です。

民事訴訟法第41条1項において、「共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。」と定められています。本問の場合は、分離することに制限はありません。

よって本肢は誤りです。


 

相手方が本案について口頭弁論をした後は、相手方の同意を得なければ、訴えの追加的変更をすることができない。

✕誤った選択肢です。

民事訴訟法第143条1項において、「原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。」と定められています。追加的変更において相手方の同意は必要ではありません。

なお、交換的変更については、訴えの取下げの性質を有するため、同法第261条2項により、相手方の同意が必要となります。

よって本肢は誤りです。


 

裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

◯正しい選択肢です。

民事訴訟法第152条2項において、「裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。」と定められています。

よって本肢は正しい選択肢です。

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