司法書士 過去問
令和6年度
問55 (午後の部 問20)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問55(午後の部 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

次の対話は、法定相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記(以下「法定相続分での相続登記」という。)がされている場合の登記手続に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

教授: 今日は、甲土地を所有するAが死亡し、甲土地について法定相続分での相続登記がされている場合において、Aの相続人間で遺産分割協議が成立し、相続人の一人であるBが甲土地の所有権を単独で取得したという事例について考えてみましょう。当該事例において、Bが、他の相続人と共同して、他の相続人からBへの持分全部の移転の登記を申請することはできますか。
学生:ア  いいえ、できません。
教授: それでは、当該事例において、甲土地をBの単独所有とする所有権の更正の登記を申請する場合について考えていきましょう。当該所有権の更正の登記の登記原因は何になりますか。
学生:イ  登記原因は錯誤になります。
教授: 当該所有権の更正の登記は、誰から申請することができますか。
学生:ウ  Bが、単独で申請することができます。
教授: では、当該事例において、法定相続分での相続登記がされた後に、甲土地の所有権全部を目的として抵当権の設定の登記がされた場合において、当該所有権の更正の登記の申請をするときは、添付情報として当該抵当権の抵当権者の承諾を証する情報を提供しなければなりませんか。
学生:エ  はい、当該承諾を証する情報を提供しなければなりません。
教授: 最後に、当該事例において、所有権の更正の登記が申請され、その登記が完了した場合には、当該登記の登記権利者に登記識別情報が通知されますか。
学生:オ  いいえ、登記識別情報は通知されません。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (1件)

01

本事例は近年改正がされておりますので、以下の解説で理解しておきましょう。

 

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. アイ

ア: 法定相続分での相続登記がされた後に相続人1人が所有権全部を取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には、他の相続人から持分全部移転登記を申請することができます。

 

イ: また持分全部移転登記によらずに所有権更正登記を申請することも可能であり、原因は「遺産分割」になります。

選択肢2. アオ

オ: 所有権更正により追加で持分を取得した場合には、その持分について登記識別情報通知が発行されます。

選択肢3. イウ

ウ: 本事例における所有権更正登記は、遺産分割協議において所有権を取得した者による単独申請ができるようになりました。

選択肢4. ウエ

エ: 登記上の利害関係を有する第三者がいるときは、承諾書を提供する必要があります。

 

選択肢5. エオ

解説は他選択肢に記載しておりますので、そちらを参照してください。

まとめ

本事例では、持分全部移転登記と所有権更正登記のいずれも選択できるようになりました。また所有権更正登記について単独で申請できるようになったことも大きな改正点といえますので知っておくと良いでしょう。

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