公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問117
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問117 (訂正依頼・報告はこちら)
社会構成主義を基盤とする心理的支援について、正しいものを1つ選べ。
- 当事者との会話を維持することではなく、変化を起こすことを目標にする。
- 人間の活動が文化や価値観に根差しているという考えに基づいて支援を行う。
- 論理科学的モードとナラティブモードとの2つの基本的な思考パターンに分ける。
- 言語が現実を作り出すという視点から新たな社会意識を形成するという考えに基づいて支援を行う。
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この過去問の解説 (3件)
01
社会構成主義とは、「社会の現実は人間の認知の枠組みの中で作り上げられていくものである」という考え方のことです。
各選択肢については、以下の通りです。
1→社会構成主義は、言葉や対話を重視しています。
よって選択肢の内容は誤りです。
2→人間の活動が文化や価値観に根差しているという考え方に基づいて支援を行っていきます。
よって選択肢の内容は正しいです。
3→社会構成主義は、人間の認知の枠組みが基本なので、ナラティブモードの思考パターンです。論理科学的モードには当てはまりません。
よって選択肢の内容は誤りです。
4→社会構成主義は、言語が現実を作り出すという考え方ですが、社会意識を形成するという考えには基づいていません。
よって選択肢の内容は誤りです。
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02
正答は2です。
社会構成主義においては、社会における様々な事象に客観的な真実は存在しておらず、社会の中の人間関係によって構築されていると考えられています。つまり、「物事は人間関係の中で、言葉を介して作られている」といった考え方と言えます。
1 社会構成主義に基づいた心理療法として、ナラティブ・アプローチがあります。ナラティブ・アプローチにおいては、当事者との語りを維持する中で、語り手と聞き手が影響し合い、ストーリーが変容することで、当事者の考え方が変容することが期待されています。まずは、当事者との会話を維持することが重要な目標であると考えられるため、記述は正しいとは言えません。
2 記述のとおりです。社会に存在する文化や価値観は、人間の交流・活動によって構成されていると考えられています。
3 ブルーナによれば、人間の思考様式には、論理科学的モードとナラティブモードの2つがあるとされています。論理科学的モードとは、論理的な一貫性や普遍的な真理を求める思考様式であり、ナラティブモードとは、個人の体験・出来事を扱う思考形式です。
社会構成主義においては、後者のナラティブモードの思考パターンであると言えるため、記述は誤りとなります。
4 社会における現象は人間関係・言語によって作られていると考えられていますが、人間関係・言語が「新たな社会意識を形成する」とまでは言われておらず、記述は誤りとなります。
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03
正解は2です。
各選択肢については、以下の通りです。
1.社会構成主義の流れを受け継ぐものに、ナラティブ・アプローチがあります。ナラティブ・アプローチでは、人間の語りが現実世界やクライエントの問題を構成していると考えます。変化ではなく、会話を重視しています。よって選択肢の内容は誤りです。
2.社会構成主義は、社会における人間の営み・交流が現実世界を構成していると考えるものであり、また人間の活動が文化や価値観に起因しているという考えに基づいて支援を行っていきます。よって選択肢の内容は正しいです。
3.社会構成主義はナラティブ(語り)モードの思考パターンです。よって選択肢の内容は誤りです。
4.社会構成主義は、様々な社会現象が人々によってどのように創造され、制度化され、習慣化していくのかに焦点を当てているので、社会意識を形成するという考えには基づいていません。よって選択肢の内容は誤りです。
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