公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問124
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問124 (訂正依頼・報告はこちら)
巨大な自然災害の直後におけるサイコロジカル・ファーストエイドについて、適切なものを2つ選べ。
- 被災者の周囲の環境を整備し、心身の安全を確保する。
- 被災者は全て心的外傷を受けていると考えて対応する。
- 被災体験を詳しく聞き出し、被災者の感情表出を促す。
- 食糧、水、情報など生きていく上での基本的ニーズを満たす手助けをする。
- 被災者のニーズに直接応じるのではなく、彼らが回復する方法を自ら見つけられるように支援する。
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この過去問の解説 (3件)
01
「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き」には活動内容として下記の8つがあります。
1.被災者に近づき、活動を始める
2.安全と安心感
3.安定化
4.情報を集める
5.現実的な問題の解決を助ける
6.周囲の人々との関わりを促進する
7.対処に役立つ情報
8.紹介と引き継ぎ
各選択肢については、以下の通りです。
1→「2.安全と安心感」に当てはまります。
よって選択肢の内容は、正しいです。
2→実施の手引きの提供側が避けるべき態度の中に、「災害にあった人すべてがトラウマを受けるとは考えないでください」との記載があります。
よって選択肢の内容は、誤りです。
3→実施の手引きの提供側が避けるべき態度の中に、「何があったか尋ねて、詳細を語らせないでください」との記載があります。
よって選択肢の内容は、誤りです。
4→「5.現実的な問題の解決を助ける」に当てはまります。
よって選択肢の内容は、正しいです。
5→サイコロジカル・ファーストエイドは、今現在起きている問題等に対応します。
よって選択肢の内容は、誤りです。
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02
正答は1と4です。
サイコロジカル・ファーストエイド(心理学的応急処置)とは、災害などの危機的な出来事を体験した人を心理的に支援する方法です。目的や留意事項などをまとめたガイドラインがWHO(世界保健機関)などの機関において策定されています。
1 記述のとおりです。まずは、被災者が心身ともに安心できるように、周囲の環境を整備するなど安全と安心感を与えることが重要です。
2 基本的な姿勢として、被災者の体験したことや気持ちを思い込みで決めつけないことが重要であり、記述は誤りとなります。
全員が心的外傷を受けており、支援が必要であると決めつけ、いきなり支援を押し付けるのではなく、まずは様子を見守ることが必要です。
3 体験の詳細を聞き出そうとしない点も基本的な姿勢として挙げられます。話すことによって、トラウマ体験が思い出されることも留意する必要があります。話したいという人には傾聴しつつも、話したくない人から無理に話を引き出すことは避けるべきであり、記述は誤りとなります。
4 記述のとおりです。(1)同様に、心身ともに安心できるように、周囲の環境を整備することが重要です。こうした関わりが、被災者との関係づくりにも有効となります。
5 後半の記載にあるような、支援にあたり、レジリエンス(自然な回復力)を引き出す・取り戻すことで、被災者自身が困難に対応できるように手助けするといった視点は重要ですが、「被災者のニーズに直接応じるのではなく」という部分が誤りとなります。
基本的な姿勢として、現実的な問題の解決を助けることが挙げられおり、災害時においては、被災者のニーズに対する援助を行い、苦痛や不便さを減らすことが重要であると考えられます。
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03
正解は1、4です。
【「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き 第2版」参照】
被災者が二次被害を受けないようにするための関わり方が重要です。ほとんどの被災者の場合、水や食料の確保、大切な人と連絡がつくことなど基本的なニーズが満たされ、適切な心理社会的支援が受けられれば、災害直後のストレスによる非特異的な不安、抑うつ、不眠などの症状は時間とともに自然と回復していくと考えられています。そのため、被災者が自然な回復力(レジリエンス:resilience,「ばねの回復する力」の意)を取り戻せるよう、こころのケアをむやみに押しつけないように支援する必要があります(do no harmの原則)。
サイコロジカル・ファーストエイドは、心理的な問題を主とした心理的応急処置です。
1.4.水や食料の確保、大切な人と連絡がつくことなど基本的なニーズが満たされることが最優先です。よって選択肢の内容は、正しいです。
2.実施の手引きの『提供側が避けるべき態度』の中に、「災害にあった人すべてがトラウマを受けるとは考えないでください」との記載があります。
また、PTSDの発症を予防する心理的デブリーフィングは、災害直後など混乱した状態で専門家によるサポートを受けることなく実施するとかえって悪影響を及ぼすという研究結果が得られています。よって選択肢の内容は、誤りです。
3.実施の手引きの『提供側が避けるべき態度』の中に、「何があったか尋ねて、詳細を語らせないでください」との記載があります。また、「さらなるトラウマ体験や、トラウマを思い出すきっかけになるものから身を守る」とあります。
災害で被害にあったことを語らせるのはそれにあたる可能性が高いので、避けるべきです。よって選択肢の内容は、誤りです。
5.上記にあるように、被災者が自然な回復力を取り戻せるよう、こころのケアをむやみに押しつけないように支援する必要があります。よって選択肢の内容は、誤りです。
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