公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問126
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問126 (訂正依頼・報告はこちら)
WHO<世界保健機関>によるICF<国際生活機能分類>の障害やその支援に関する基本的な考え方について、正しいものを2つ選べ。
- 生活機能と障害の状態は、健康状態、環境因子及び個人因子が相互に影響し合う。
- 生活機能の障害は、身体の機能不全によって能力低下が引き起こされる中で生じる。
- 障害とは、心身機能、身体構造及び活動で構成される生活機能に支障がある状態である。
- 障害とは、身体的、精神的又は知的機能のいずれかが一般の水準に達しない状態が継続することである。
- 障害への心理的支援においては、診断名ではなく、生活の中での困難さに焦点を当てることが重要である。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
ICFはWHOが2001年に提唱した考え方です。
健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子から構成され、それぞれが影響し合い、生活や障害の状態が決まっていくとされています。
各選択肢については、以下の通りです。
1→先に述べた通り、相互に影響し合います。
よって選択肢の内容は、正しいです。
2→生活機能の障害は、身体の機能不全や能力低下の他にも、活動や参加の影響を受けて生じます。
よって選択肢の内容は、誤りです。
3→生活機能は心身機能・身体構造、活動、参加で構成されています。
よって選択肢の内容は、誤りです。
4→ICFでは、障害は、生活機能に支障が起きている状態としています。
よって選択肢の内容は、誤りです。
5→ICFでは生活のしづらさに焦点を当てます。
よって選択肢の内容は、正しいです。
参考になった数57
この解説の修正を提案する
02
正答は1と5です。
ICFとは、2001年5月にWHOにおいて採択された、人間の生活機能と障害に関する分類法です。ICF以前のICIDH(国際障害分類)では、障害による社会的不利などマイナス面を分類するものでしたが、ICFでは、環境因子等の観点を加えることでのプラス面(環境に働きかけることで社会活動が可能になる等)にも注目しています。分類の対象が障害から生活機能へと変化していることが特徴であると言えます。
ICFでは、人間の生活機能と障害について、「健康状態」、3つの「生活機能」と2つの「背景因子」の各要素がそれぞれ影響し合い成り立っていると考えられており、この組み合わせによって、約1,500項目に分類されています。
1 記述のとおりです。人間の生活機能と障害は、「健康状態」、3つの「生活機能」と2つの「背景因子」の各要素が影響し合い成り立っていると考えられています。
生活機能は、
①心身機能・身体構造(身体・精神の機能や身体の構造)
②活動(歩行や食事など基本的な動作から、買い物や家事、仕事などの複雑な日常生活動作を含む)
③参加(家庭や社会における活動に関わり、役割を果たすこと)
の3つから構成されています。
背景因子は、
①環境因子(インフラなど物的環境、家族や友人など人的環境、法律や制度といった社会的な環境など)
②個人因子(年齢・性別・生活歴・ライフスタイル・価値観など)
から構成されています。
2 上述しましたが、生活機能の障害は、「健康状態」・「生活機能」・「背景因子」が影響し合い成り立っていると考えられており、記述は誤りとなります。
3 ICFにおける障害の捉え方は、生活機能に支障が生じた状態であるとされており、その点において記述は正しいのですが、生活機能は ①心身機能・身体構造 ②活動 ③参加 の3つから構成されているため、「心身機能、身体構造及び活動で構成される」という部分が誤りとなります。
4 上述しましたが、ICFにおける障害の捉え方は、生活機能に支障が生じた状態とされています。したがって、記述は誤りとなります。
なお、「心身機能・構造」に問題が生じた状態を「機能障害」、「活動」に問題が生じた状態を「活動制限」、「参加」に問題が生じた状態を「参加制約」と呼びます。
5 記述のとおりです。診断名ではなく、その人が抱えている生活上の問題に焦点を当てるアプローチが肝要です。その際、人間が生活する機能を対象としたICFの分類が役立てられています。
参考になった数39
この解説の修正を提案する
03
正解は1、5です。
ICFはWHOが2001年に提唱した概念です。
それまでは障害を考える上で「障害イコールマイナスなもの」であると見なしていたICIDH(国際障害分類)から、個人の健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子という観点それぞれが影響し合い、生活や障害の状態が決まっていくという指標に見直されました。
各選択肢については、以下の通りです。
1.先に述べた通り、それぞれの観点は相互に影響しあっています。相互に影響しあうことで生 活のしづらさが生活のしやすさに変わってきます。よって選択肢の内容は正しいです。
2.生活機能の障害は、身体の機能不全や能力低下の他にも、活動や参加の影響を受けて生じます。その状態は「活動制限」「参加制約」と呼ばれたりします。
よって選択肢の内容は、誤りです。
3.生活機能は心身機能のみではなく、活動と参加の3つからなっています。よって選択肢の内容は誤りです。
4.ICFでは、障害を生活機能に支障を来している状態であるとしています。その状態を、選択肢2で述べたように「活動制限」「参加制約」と呼んでいます。よって選択肢の内容は誤りです。
5.ICFでは生活のしづらさに焦点を当てています。生活のしづらさについては、本人の思い(個人因子)や周囲の援助(環境因子)によって生活機能が変わってきます。よって選択肢の内容は正しいです。
参考になった数26
この解説の修正を提案する
前の問題(問125)へ
第1回(2018年)問題一覧
次の問題(問127)へ