公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問15

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害<ASD>の特性のうち「中枢性統合の弱さ」として説明できるのは次のうちどれか、正しいものを1つ選べ。
  • 特定の物音に過敏に反応する。
  • 他者の考えを読み取ることが難しい。
  • 目標に向けて計画的に行動することが難しい。
  • 細部にとらわれ大局的に判断することが難しい。
  • 状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しい。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:4】

ASDに関する問題です。選択肢のいずれもASDによくみられる特徴ですが、ポイントは「中枢性統合の弱さとは何か」ということです。

中枢性統合の弱さを具体的に説明すると、全体の意味を見出そうとすることよりも、部分のまま関わろうとする傾向が大きいということです(フリスら, 1994年)。
この説明に最も近い選択肢は4なので、4が正解です。

1は感覚の過敏さで、神経ネットワークとの関連が深いとされています。
また、2は心の理論の障害、3と5は実行機能の障害によって、それぞれ説明されます。

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02

正解は4です。

中枢性統合とは、全体の状況を見て理解する能力のことです。

各選択肢については、以下の通りです。

1→特定の物音に過敏に反応することは、感覚の敏感性です。
よって選択肢は、誤りです。

2→他者の考えを読み取ることが難しいのは、社会的相互交渉の質的障害です。
よって選択肢は、誤りです。

3→目標に向けて計画的に行動することが難しいのは、実行機能の弱さによるものです。
よって選択肢は、誤りです。

4→細部にとらわれ大局的に判断することが難しいのは、中枢性統合の弱さによるものです。
よって選択肢は、正しいです。

5→状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しいのは、同一性保持によるものです。
よって選択肢は、誤りです。

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03

正解は4です。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害<ASD>の特性にある「中枢性統合の弱さ」とは、情報を統合して「全体の意味」を求める指向性や意欲の傾向が低いということです。場に依存しない認知スタイルであり、全体像や文脈を無視して、部分に注目するというASDに特徴的な情報処理スタイルです。よって、4が正しいです。

1.→これは「感覚過敏」を指します。よって、1は誤りです。

2.→「心の理論」とは、「他者の心を類推し、理解する能力」のことを指し、一般的に4~6歳頃獲得し始めると言われています。その後少しずつ、複雑な他者の状況も理解出来るようになります。しかし、ASDの人は他者の心を類推し、理解する能力に障害を受けているとされています。よって2は誤りです。

3.→目標に向けて計画的に行動することが難しいことには、「実行機能障害仮説」がかかわっています。実行機能とは「活動をコントロールする機能」のことで、活動を計画することと注意の切り替えの能力の障害によって説明しようとしています。よって3は誤りです。

5.→状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しいことにも、「実行機能障害仮説」がかかわっています。よって5は誤りです。

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