公認心理師の過去問
第2回（2019年）
午前 問16

正解は３です。

１→心理検査は、信頼性および妥当性を考慮して行われます。
よって選択肢は、誤りです。

２→Luria-Nebraska神経心理学バッテリーは、成人用として開発されました。
よって選択肢は、誤りです。

３→神経心理学的な検査の補完として、ウェクスラー式知能検査が用いられることがあります。
よって選択肢は、正しいです。

４→固定的なバッテリーはパターン分析を行う際に用いられます。
よって選択肢は、誤りです。

５→時計描画テストは、認知機能障害の評価に用いられる検査です。
よって選択肢は、誤りです。

【正解：３】

1：信頼性とは、安定性・一貫性のことであり、同一対象に対して追試を繰り返した場合、安定して同じ結果が得られるかどうかの精度のことです。
妥当性とは、的確さのことであり、測りたいものを測れているかを表す概念のことです。仮に妥当性が低いということは、その検査は測りたいものを的確に測れていないということになります。
よって、信頼性が高ければ妥当性は問われないということはなく、1は誤りであると言えます。

2：Luria-Nebraska神経心理学バッテリーは15歳以上が対象（子ども用は8～12歳）です。

3：正しい記述です。

4：対象者（患者）の負担を考えると、多くのテストではなく、必要最小限のテストが“仮説を検証するために用いられる”べきです。

5：時計描画テストは、気分障害ではなく、認知症や様々な脳損傷を特定するために行われるテストです。

正解は3です。

1．→信頼性とは、同じ心理検査を同じ人に何度やっても同じ結果が得られるかどうかを指します。

妥当性とは、テスターが測りたいと思っている人の心理についてきちんと測れているかどうかを指します。

各心理検査では、信頼性も妥当性も高い方が被検者の心理をより正確に測れているということになります。よって、1は誤りです。

2．→Luria-Nebraska神経心理学バッテリーとは、A.R.Luriaの脳モデルについて研究し、Goldenらが作成した検査バッテリーです。これを使用すると、脳損傷のタイプ、程度、部位、広がり方を評価することができます。対象年齢は15歳以上とされています。よって、2は誤りです。

3．→神経心理学的バッテリーは、主に高次脳機能障害の評価を行うために使われます。高次脳機能障害かどうかを判定するためには、被検者の認知機能を細かく見ていく検査が必要になります。ここでウェクスラー式知能検査を使うことにより、より幅広く脳機能障害の可能性を調べることができるようになります。よって、3は正しいです。

4．→多くのテストを含む固定的なバッテリーが仮説を検証するために用いられるのではなく、被検者の状態に応じ、必要最小限のバッテリーを組んで、脳機能障害の有無を検証する必要があります。

多くのテストを行うと、被検者への負担も大きく、疲労等により正確に脳機能を測れない恐れがあります。よって、4は誤りです。

5．→時計描写テストは、気分障害の発見に用いられるのではなく、認知症のスクリーニングテストとして用いられます。特に、前頭葉の機能を反映する検査になります。よって、5は誤りです。