公認心理師の過去問
第2回（2019年）
午前 問51

緩和ケアとは、疾患を抱える本人や家族が、疾患によって生じる痛みなどの身体的苦痛、不安や気分の落ち込みなどの精神的苦痛、経済面や対人関係など社会的問題などに対応していくことで、より良い人生が過ごせるようサポートすることを表します。そのため、治療後や終末期だけでなく、診断時から進めていくことが望ましいと考えられています。

正答は４・５（４・５の記述が正しい）です。

１　グリーフケアとは、死別などで大切な対象を失うことによって引き起こる深い悲しみや悲嘆を抱える人に対して、心身の状態の回復や日常生活が適応的に送ることができるよう支援することを指します。したがって、家族が対象になることは多く、記述は誤りとなります。

２　リビングウィルとは、生前の意思表示、その意思を示した文書のことを表します。本人の判断能力がある時点で、延命治療の有無など医療方針の希望などを主治医や家族に伝えるためになされます。家族と話し合い、同意や納得を得ることは大切なことではありますが、意思表明において家族の承諾が必須とは言えないため、誤りとなります。

３　大切な人との死別を経験すると、誰しもが深い悲しみを抱え、心身への影響が生じることが考えられます。そのため、まずは悲嘆を抱える状態は正常な反応であると受け入れ、遺族の感情や行動を認めながら寄り添う姿勢が肝要であると一般的に言われております。励ますことで悲嘆を取り除こうとすると、悲しんでいることは良くないことだと追い詰めたり、焦りを生じさせたりすることも懸念され、励ましが最も有効な方法といった記述には当てはまらないと考えられます。

４　アドバンス・ケア・プランニングとは、本人の意思が尊重された治療やサポートを受けることを目指し、今後の治療について本人や家族とスタッフが事前に話し合うプロセスのことであり、記述のとおり、家族の参加は望ましいと言えます。

５　記述のとおりです。レスパイトとは、「休息」「息抜き」という意味を持ち、看護する家族の負担を軽減するために一時的な入院（レスパイト入院）を行うこともあります。

【正解：4と5】

1：グリーフケアは「遺族ケア」とも呼ばれます。したがって、家族もその対象となります。

2：リビングウィル（生前の意思表明）は、自身の延命治療の希望などを考え、家族と話し合い、書き記しておく行為を指します。家族と話し合うことは大事なことですが、家族の承諾が必要というわけではありません。

3：遺族は身近な人が亡くなることで、喪の作業（グリーフワーク）を行うと言われています。その中で、遺族は悲しみの感情はもちろん、罪悪感や後悔、憎しみなど、様々な感情と向き合うことになります。
心理師の役割は、こうした感情を受容することです。励ますことが最も有効な対応とは言えません。

4：正しい記述です。

5：正しい記述です。

以下に解説していきます。グリーフケアとは、喪失や悲しみを経験した人々（愛する人の死や大切なものの喪失）に対して、感情的、心理的、社会的なサポートを提供することを指します。このケアの目的は、グリーフ（悲しみや喪失感）のプロセスを理解し、その過程を乗り越える手助けをすることです。