公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問59
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問59 (訂正依頼・報告はこちら)
2歳の女児A。母親が専業主婦であり、保育所には通所していない。母子関係は良好で安定しており、特にこれまで母親と父親のいずれからも身体的虐待などの不適切な養育を受けたことはない。しかし、最近、母親に対する父親の暴力が頻繁に生じるようになり、また、3歳の兄Bがささいなことで父親から激しい身体的虐待を受けるようになった。
今後、Aに生じてくることが想定される心理的反応や親子関係について、最も適切なものを1つ選べ。
今後、Aに生じてくることが想定される心理的反応や親子関係について、最も適切なものを1つ選べ。
- Bと助け合う行動が増える。
- 母子関係はその後も良好であり続ける。
- 父親に対して次第に怒りなどの敵対的な感情を表出するようになる。
- 頻繁に泣いたりぐずったりするなどの情緒面での動揺が激しくなる。
- 問題行動が生じる可能性はあるが、Bに比べれば、対応の必要性は低い。
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この過去問の解説 (3件)
01
虐待とは、殴る・蹴るなど身体に直接暴力を振るうといった身体的虐待だけではなく、目の前で家族に対して暴力をふるう行為も心理的虐待と分類されており、虐待に含まれます。虐待を受けることによって、心身の発達が遅れたり、情緒面が不安定になったり、対人関係がうまく築けなくなったりするなど様々な影響が生じます。
1 Bが身体的虐待を受けていることによるストレス等を自分より下の立場にぶつけることが考えられ、BがAを攻撃することも少なからず考えられます。そのため、最も適切な選択肢とはなりません。
2 父親から暴力(DV)を受けている母親の心理状態が不安定になるものと考えられ、良好な母子関係が維持できなくなる可能性はあり得ます。父親への恐怖から逆らうことができなくなり、言われるがまま、あるいは一緒になってAやBを虐待してしまうことも懸念されます。そのため、正しい選択肢とは言えません。
3 虐待を受けた子どもの状態として、自分が悪い子だからこのようになったのだ、自分が親の言うことを聞く良い子になればいいのだ、などと過剰な適応がみられることも多く、正しいとは言えない記述です。
4 虐待を受けた影響として、情緒が不安定になることが挙げられており、記述のような変化は十分に考えられるため、正答となります。
5 身体的虐待も心理的虐待も同等に考えて対応を行っていく必要があります。そのため、Aに対しての対応の必要性が低いといった点は誤りとなります。
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02
1:身体的虐待を受けているのはBですから、例えばAがBの手当てをしようとすることはあるかもしれませんが、これは助け“合い”ではありません。
2:父親の暴力や虐待が生じることで、母親が父親の言いなりになったり、母親自身のストレスを自分より弱い者(まさにAのような)にぶつけたりする可能性を考えれば、母子関係が引き続き良好のまま維持されるとは考えにくいです。
3:千葉県野田市の事件であった、亡くなった女児の手紙からも分かるように、虐待を受けていても、多くの被虐待児は「自分が悪い」と思うものです。「自分がもっといい子にならなければ…」と思うことはあっても、親に対して敵対的な感情を抱くことは考えにくいです。
4:正しい記述です。
5:現時点でAは心理的虐待を受けていると考えるべきです。心理的虐待と身体的虐待を比べてどちらが重要か、という議論に意味はありません。どちらも等しく重要です。
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03
以下に解説していきます。
AがBを助けようとする行動はあるかもしれませんが、Bの立場で考えるとAは暴力を受けておらず不平等にも感じるでしょう。そのため、必ずしもAとBに助け合いの関係性が生じるとは言い切れません。
母親のストレスがAに向く可能性もあり、今後ネグレクトなども可能性としては考えれます。良好であり続けるとは現在の状況で言い切ることはできません。
表出することで攻撃を受ける可能性があり、反対に父親の理想像であろうと感情を抑制するかもしれません。
正しいです。母親や兄弟が虐待を受けている場面を見ることで情緒が不安定になることが予測されます。
Bは身体的虐待、Aはその暴力を目撃しており心理的虐待を受けている状態ですので、どちらがと比較することは困難です。Aへの対応も必要です。
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