公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問61
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問61 (訂正依頼・報告はこちら)
2歳2か月の男児A。Aの保護者は、Aの言葉の遅れと、視線の合いにくさが気になり、市の相談室に来室した。現時点では、特に家庭での対応に困ることはないが、同年代の他の子どもと比べると、Aの発達が遅れているのではないかと心配している。また、どこに行っても母親から離れようとしないことも、気にかかるという。
Aの保護者からの情報とAの行動観察に加え、公認心理師である相談員がAに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの保護者からの情報とAの行動観察に加え、公認心理師である相談員がAに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
- WPPSI-Ⅲ
- CAARS日本語版
- 新版K式発達検査
- 日本語版KABC-Ⅱ
- S-M社会生活能力検査
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この過去問の解説 (3件)
01
発達の遅れが気になるとの訴えがあり、言葉の遅れや視線の合いにくさなど、実際に疑わしい特徴を有しているケースです。
1:WPPSI-Ⅲは、ウェクスラー式知能検査の幼児版です。一見本事例に適した検査に思えますが、対象年齢が2歳6か月~7歳3か月となっており、2歳2か月のAには実施出来ません。
2:CAARSは、成人のADHD症状を測定するための質問紙検査です。
3;新版K式発達検査は、0歳~成人を対象とした発達検査です。主に、自閉症などの発達障害の診断の判断材料として使われます。
4:KABC-Ⅱはカウフマン式知能検査のことで、発達障害や学習のつまずきが見られる子どもに実施されます。ただし、対象年齢が2歳6か月~18歳11か月までとなっており、選択肢1同様、本事例には適用できません。
5:S-M社会生活能力検査は、乳幼児~中学生を対象に、子どもの日常の様子から、社会生活能力の発達を捉えるために用いられる検査です。知的障害や発達障害といった特徴を持つ子どもたちへの指導の手がかりを得るために用いられます。ただ、本検査は検査者が子どもを直接検査するのではなく、保護者や担任の先生が実施するという特徴があります。本問は“公認心理師がAに実施する”とありますから、本検査は不適切と言うことになります。
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02
正答は選択肢3(新版K式発達検査)です。
1 WPPSI-Ⅲとは、ウェクスラー式の知能検査であり、子どもの知的発達を捉える上では有効な検査であると言えます。ただし、適用年齢が2歳6カ月以上とされており、Aに最も適切な検査とは言えず、誤りとなります。
2 CAARS日本語版とは、ADHDの症状を把握するための検査であり、さらに対象が成人(18歳以上)とされているため、Aには適しておらず、誤りです。
3 新版K式発達検査とは、子どもの発達状態を捉える検査であり、発達水準を年齢で示した発達年齢(発達が何歳相当か)や発達指数が算出されるものであり、目的は沿った検査と言えます。さらに、対象年齢は幅広く、新生児から成人まで適応可能であるため、選択肢の中ではAへのテストバッテリーとして最適であると言えます。
4 日本語版KABC-Ⅱとは、子どもの知的能力を認知処理過程と知識や技能の習得度から把握する検査です。ただし、適用年齢が2歳6カ月以上とされているため、Aに最も適切とは言えず、誤りとなります。
5 S-M社会生活能力検査とは、子どもの社会生活能力の発達を捉える検査であり、発達の遅れが疑われる場合等においては有効であると考えられます。しかし、この検査は子どもの日常生活をよく知る保護者や教師が回答するものであり、相談員が実施するものではないため、誤りとなります。
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03
以下に解説します。
WPPSI-Ⅲ(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence, Third Edition)は、幼児向けの知能検査ですが、Aの年齢には少し早く、知能だけでなく発達全体の評価を行うためには、新版K式発達検査の方が適しています。
CAARS日本語版(Conners' Adult ADHD Rating Scales)は成人のADHD症状を評価する検査で、Aの年齢や発達遅延に関する心配には直接関係がありません。
新版K式発達検査は、0歳から成人まで幅広い年齢層を対象にした発達検査で、認知・言語・運動能力や社会性など、発達全般を評価することができます。特に幼児期の発達遅延の評価に適しており、Aの言語や社会的行動の発達の状況を詳しく把握することができます。Aの保護者が気にしている「言葉の遅れ」や「視線が合いにくい」といった発達上の特徴に対応するために、有用な検査です。
日本語版KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children, Second Edition)は、知能や認知機能を評価する検査ですが、Aの年齢に適さず、発達全体の評価を行うことが求められます。
S-M社会生活能力検査は、幼児や児童の社会生活能力を評価する検査ですが、発達の全般的な評価を行うためには、社会性だけでなく認知や言語などの領域を評価できる新版K式発達検査の方が適しています。
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