公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問62

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

31歳の女性A。身体疾患により一時危篤状態となったが、その後回復した。主治医は、再発の危険性はないと説明したが、Aはまた同じ状態になって死ぬのではないかという不安を訴え、ベッドから離れない。病棟スタッフからはリハビリテーションを始めるよう勧められたが、かえって不安が強くなり、ふさぎ込む様子がみえたため、主治医が院内の公認心理師に面接を依頼した。
公認心理師がまず行う対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 心理教育として死生学について情報提供を行う。
  • 不安を緩和するためのリラクゼーションを行う。
  • 再発や危篤の可能性が少ないことを引き続き説得する。
  • 面接の最初に「あなたの不安はよく理解できる」と言う。
  • 死の恐怖とそれを共有されない孤独感を話してもらい、聴く姿勢に徹する。

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この過去問の解説 (3件)

01

公認心理師が最初に取る対応という視点から考えると、正答は5となります。

まずは、対象者の不安を受容的に傾聴することが肝要であると一般的には言われており、対象者との関係(ラポール)を構築することが、その後の心理教育や心理療法の土台となると考えられます。そのほかの選択肢にあるような心理教育やリラクセーションなどのアプローチについては、傾聴した上で双方が話し合いながら取り組むことが望ましいと考えられます。

1 上述のように、まず行うべきアプローチとしては適切でないと考えられるため、誤りです。

2 不安感の強いAに対しては、リラクセーションを取り入れることは有効な手立てであると考えられますが、こちらも最初に取るアプローチとしては最適とは言い切れないため、誤りとなります。

3 客観的な情報を伝えることは大事ですが、Aの状態を鑑みると引き続き説得を続けても不安が強まってしまうことが考えられ、聞く耳を持ってもらえなくなることも懸念されます。まずは不安を受け止めることが今後の治療関係が良好なものになると考えられるため、適切なアプローチとは言えず、誤りとなります。

4 対象者の語りに理解を示すことは重要ですが、面接の最初、つまり詳細を把握していないうちに「よく」理解できると反応することは、かえって不誠実に映り、不信感を抱かれかねないと考えられるため適切とは言えず、誤りとなります。

5 死の恐怖とそれを共有されない孤独感と決めてしまうことに少々疑念は残るものの、まずはAの心情を語ってもらい、傾聴に徹するとことは望ましい対応であり、正答です。

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02

【正解:5】

危篤状態から回復したものの、再発の不安が強く、周囲の声掛けも通じないどころか、却って不安が強くなっているケースです。

公認心理師としてまず行うべきことは、Aの不安を受け止めることです。十分に受容と共感を示したところで、心理教育やリハビリテーションなどを行うのが妥当な順番ですから、正解は5となります。
4も不安を取り上げてはいるのですが、Aから一切話を聞いていない段階で「よく理解できる」と言うのは安直で、不信感を抱かれかねません。

他の選択肢については以下の通りです。

1:死生学は死についての科学と定義されます。Aは死ぬのではないかと言う不安を抱えているのであって、死や生の意味について考えているわけではありません。

2:前述の通り、5の後に行うべき対応です。

3:本事例においては、説得しても、不安を強める可能性が高いです。

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03

以下に解説します。

選択肢1. 心理教育として死生学について情報提供を行う。

Aの不安感が強い状態では、死生学に関する情報提供は逆効果になる可能性が高く、まずは彼女の不安を受け入れ、思いを理解することが優先されるべきです。

選択肢2. 不安を緩和するためのリラクゼーションを行う。

不安が強い状態ではリラクゼーションが逆に不快感を生むこともあるため、まずは聴く姿勢が必要です。

選択肢3. 再発や危篤の可能性が少ないことを引き続き説得する。

Aが抱えている不安を軽視してしまう可能性があるため、説得よりも共感的な理解が重要です。

選択肢4. 面接の最初に「あなたの不安はよく理解できる」と言う。

安易に理解できると声をかけることは、軽い言動になり信頼関係が崩れる可能性があります。

選択肢5. 死の恐怖とそれを共有されない孤独感を話してもらい、聴く姿勢に徹する。

関わりの優先順位として、正しいです。

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