公認心理師の過去問 第2回（2019年） 午前 問63

１　申し込み時に夫婦関係で困っているとの情報は聴取しているため、正答（５）のように夫婦関係でお困りであることについては触れる方が良いと考えます。また、そのことにより、情報がきちんと伝わっていないのではないかといった不信感を抱かれることを防ぐことにもつながる可能性もあります。誤りとまでは言えないものの、最適であるとは言えません。

２　インテーク面接において、まずは困っていることなどを自由に語ってもらい、傾聴する中で、対象者の主訴や背景にある問題、今後のアプローチなどの仮説を立てていくことが重要であるとされています。最初から、原因を尋ねていくことが最適であるとは言えず、誤りとなります。

３　言葉を受けた側の心情を推察すると、「なぜここに相談しているのか」という問い掛けが、「ここは適切ではないのではないか」という意味に受け止められる可能性が懸念されるため、最適であるとは言えません。

４　相談を進める中で、このような情報収集のための質問を行うことは考えられますが、面接の始め方としては、話題を限定することなく、まずは対象者の困っていることを自由に語ってもらうことから始める方法が一般的であると考えられ、誤りとなります。

５　夫婦関係の悩みであると聞いていることを伝えた上で、まずはどのように困っているのかを語ってもらうために、オープンな問い掛けを行うことがスムーズな面接の始まりであると考えられ、最も適切な選択肢となります。

【正解：5】

具体的に相談内容を聞き始める発言として適しているものを選ぶ問題です。

1：本事例では、既に夫婦関係で困っているという情報があるので、「どういう相談ですか」と尋ねる必要はありません。むしろ、情報共有が不十分なのではないか、と不信感を抱かれる可能性があります。

2：具体的な内容を聞く問いにはなっていますが、“どうして”という問いは原因に限定しています。まずは、クライアントから一通り話をしてもらうのが先決です。

3：この聞き方だと、クライアントからすれば、ここが適切な相談先ではないと言われたように感じるかもしれません。将来的なリファーはあるかもしれませんが、まず詳しく内容を聞くべきです。

4：選択肢2と同じ理由で不適切です。こちらは時期に限定した問いになっています。

5：正しい記述です。このように、まずはオープンクエスチョンを投げかけ、クライアントに自由に話してもらうのが良いでしょう。