公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問65
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問65 (訂正依頼・報告はこちら)
26歳の男性A。Aの両親がひきこもり地域支援センターに相談のため来所した。Aは3年前に大学を卒業したが、就職活動を途中で中断し就職はしていない。1年前まではたまにアルバイトに出かけていたが、それ以降は全く外出していない。インターネットを介して知人と交流しているが、長時間の使用はない。独語や空笑は観察されず、会話や行動にも不自然さはないという。Aは医療機関への受診を拒絶している。
両親への対応として、最も適切なものを1つ選べ。
注:「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」である。
両親への対応として、最も適切なものを1つ選べ。
注:「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」である。
- 家族教室への参加を勧める。
- インターネットの解約を助言する。
- 地域包括支援センターを紹介する。
- 精神保健福祉法に基づく移送制度の利用を助言する。
- 精神障害者相談支援事業所の利用について情報を提供する。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:ひきこもりの事例においては、家族も孤立していることがあります。親同士が支えあい、本人への理解を促進させるために、家族教室に参加するよう提案することは適切な対応と言えます。
2:現状、他者と交流する唯一の手段であるインターネットを解約してしまうと、Aの孤立がより悪化する可能性があります。
3:地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える施設です。Aは26歳ですので、利用できません。
4:精神保健福祉法は、注にあるとおり精神障害者の支援を目的とする法律ですが、事例を読む限り、Aに精神疾患を疑わせる状態は認められません。
5:選択肢4と同じく、Aに精神疾患を疑わせる状態は認められません。
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02
正答は1です。
平成21年より、厚生労働省による「ひきこもり支援推進事業」において、ひきこもりの専門的な相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」が各地方自治体に設置され、有資格者がひきこもりの状態にある方やその家族へ相談支援等を行っています。
1 記述のとおりです。A本人だけでなく、家族全体として課題を抱えており、家族への支援も重要となります。家族教室において、同じ悩みを持つ家族と語り合うことにより家族の不安や焦りを和らげることが期待されるほか、ひきこもりに関する知識や対応の工夫の情報交換によってひきこもりへの理解が深まり、対応の幅が広がることも考えられます。
2 インターネットの解約は現在の交流・対人関係を断つことにつながり、孤立感が強まるなど、ひきこもりの維持・悪化につながるおそれが考えられます。長時間の使用は見られないなど、インターネットの利用により生活に大きな支障が出ていない様子であるため、解約を助言することは適切であるとは言えません。
3 地域包括支援センターとは、地域内で高齢者の暮らしをサポートするための機関であり、高齢者の生活上の困りごとなどが相談できます。26歳のAに関する相談機関としては適切であるとは言えないため、誤りとなります。
4 移送制度とは、精神科治療が必要かつ有効にもかかわらず治療を拒否する患者を医療に結びつけるための患者搬送制度のことを表します。会話や行動には不自然さが見られないなど、Aに精神疾患が疑われる記載がないため、誤りとなります。
5 精神障害者相談支援事業所は、精神障害がある人を対象として、困りごとなどの相談を受けている機関です。Aに精神疾患・障害が疑われる記載がないことから、適切ではないと言えます。
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03
以下に解説します。
両親への対応なのでこちらが正しいです。家族教室は、両親がAの状況を理解し、適切な支援方法を学ぶための場です。ひきこもりの背景や対処法についての情報を得ることで、より効果的なサポートが可能になります。
インターネットはAの唯一の交流手段であり、強制的な解約はさらなる孤立を招く恐れがあります。
これは有効ですが、直接的に両親の理解を深める手段としては家族教室の方が優先されます。地域包括支援センターの役割は、地域住民の生活支援や介護予防を目的とした多様なサービスを提供し、地域社会全体の福祉の向上を図ることです。
Aが医療機関への受診を拒否しているため、強制的な受診を勧めることは適切ではありません。
情報提供としては良い選択ですが、具体的な支援方法を学ぶためには家族教室の方が直接的なサポートを得られると考えられます。精神障害者相談支援事業所は、精神障害を持つ方やその家族に対して、様々な相談支援を提供する施設です。これらの事業所の目的は、精神障害者が地域で自立した生活を送れるように支援することです。
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