公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問74
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問74 (訂正依頼・報告はこちら)
35歳の男性A、営業職。時間外・休日労働が社内規定の月60時間を超え、疲労感があるとのことで、上司は公認心理師にAとの面接を依頼した。直近3か月の時間外・休日労働の平均は64時間であった。健康診断では、肥満のために減量が必要であることが指摘されていた。疲労蓄積度自己診断チェックリストでは、中等度の疲労の蓄積が認められた。この1か月、全身倦怠感が強く、布団から出るのもおっくうになった。朝起きたときに十分に休めた感じがなく、営業先に向かう運転中にたまに眠気を感じることがあるという。
公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。
公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。
- 生活習慣の把握を行う。
- うつ病などの可能性の評価を行う。
- Aに運転業務をやめるように指示する。
- Aの医学的評価を求めるように事業主に助言する。
- 仕事の負担度、仕事のコントロール度及び職場の支援度を把握する。
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この過去問の解説 (3件)
01
1 「健康診断では、肥満のために減量が必要であることが指摘されていた。」との記載があるため、生活習慣の把握を行うことは誤りとは言えません。
2 「布団から出るのもおっくうになった。」などの記載から、うつ状態の特徴として挙げられる、意欲やエネルギーが減退している様子がうかがえるため、不適切であるとは言えません。
3 「営業先に向かう運転中にたまに眠気を感じることがあるという。」との記載があり、運転業務を控えるという方向性は間違いではありません。しかしながら、Aに業務に関する指示を出すことは会社・事業主であるため、「指示する」という部分が公認心理師の対応としては不適切となります。運転業務にリスクがあると認められる場合は、事業主への助言や提案という形で、事業主からAへの指示を出してもらう方法は考えられます。
4 職場のメンタルヘルス対応においては「事例性」と「疾病性」の両方からアプローチすることが望ましいとされています。業務上困っていること(事例性)においては、職場が対応することが必要ですが、一方で不調や症状に関すること(疾病性)においては、医師等の専門家に評価を求めるよう助言することは正しいと言えます。
5 時間外労働による疲労の蓄積により、心身の不調を来たしているものと考えられます。業務負担や周囲のサポートなどの資源を把握することで、Aへの対応が検討しやすくなります。例えば、業務量を減らすことが難しい場合でも、裁量を付与することや、上司や同僚からのサポートを強化することで、負担感を軽減することが可能になる場合もあります。
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02
本事例は、超過勤務による心身の不調が考えられますので、3以外の対応は心理師に求められるところです。
例えば選択肢5については、負担度などを把握するため、厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票がよく用いられます。
3は不適切な対応です。公認心理師は、業務に関する“指示”を出す立場にはありません。
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03
以下に解説します。
公認心理師は、直接的に業務内容を指示・制限する権限を持っていません。運転業務をやめるように指示することは、Aの上司や医師など、責任を持つ他の専門家や関係者の判断によるべきです。公認心理師は、Aの状況を評価し、必要であれば医学的な評価を依頼することや、事業主に適切な助言を行うことはできますが、業務の変更や停止に関する指示は専門外です。
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