公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問83

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問83 (訂正依頼・報告はこちら)

視床下部−下垂体系の解剖と生理について、正しいものを1つ選べ。
  • 視床下部のニューロンの一部は下垂体前葉に軸索を送る。
  • 視床下部は下垂体後葉ホルモンの分泌を制御するホルモンを産生する。
  • 視床下部で産生されたホルモンは下垂体門脈によって下垂体に運搬される。
  • 視床下部から分泌されるソマトスタチンは下垂体からの成長ホルモンの分泌を促進する。
  • 血液中の副腎皮質刺激ホルモンの濃度が上昇すると、視床下部に対する負のフィードバックが低下する。

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この過去問の解説 (3件)

01

視床下部や下垂体は、ホルモン分泌や自律機能の調節を行う中枢であり、体温調節やストレス反応、摂食や睡眠などの多様な生理機能を調整・管理しています。

正答は3です。

1 下垂体前葉は血管によって視床下部と結ばれており、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなどが分泌されます。下垂体後葉は視床下部にある神経細胞から伸びる軸索で構成されており、バソプレシン(抗利尿ホルモン)やオキシトシンなどが分泌されます。軸索を送っているのは下垂体後葉であるため、誤りとなります。

2 視床下部ホルモンは下垂体前葉ホルモンの分泌を制御するものであるため、誤りとなります。なお、下垂体後葉は視床下部からの神経信号によって制御されています。

3 下垂体門脈とは、視床下部のホルモンを下垂体前葉に運ぶための血管であり、記述のとおりです。

4 視床下部から分泌されるホルモンには、下垂体前葉のホルモン分泌を促す放出ホルモンと、ホルモン分泌を抑制する放出抑制ホルモンがあります。ソマトスタチンは抑制するホルモンのひとつであるため、誤りとなります。

5 副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促進されると、副腎皮質はコルチゾールの分泌量を促進することで、副腎皮質刺激ホルモン産生を抑制するといった負のフィードバック(ホルモンの分泌が促進されると、ホルモン分泌を抑制する方向に作用すること)によってバランスを保っています。したがって、負のフィードバックが起こるようになるため、「低下する」との記述は誤りとなります。

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02

【正解:3】

視床下部は間脳に位置し、代謝機能や体温調節機能、内分泌機能などを調節しており、生命維持の中枢とされています。こうした視床下部の機能の多くは、下垂体を介したものです。具体的には、視床下部から分泌されるホルモンが下垂体の受容体に結合し、下垂体において別のホルモンの合成を促進します。そして合成されたホルモンが、副腎や生殖腺などの臓器に作用するのです。

…と、文章で言っても何が何やら分からないと思うので、模式図もご覧になると理解が深まるかもしれません(googleなどで“視床下部 下垂体 模式図”と検索すると、たくさんヒットします)。

では選択肢ごとに見ていきます。

1:“下垂体前葉”が誤りです。正しくは“下垂体後葉”となります。

2:“下垂体後葉”が誤りです。正しくは“下垂体前葉”で、視床下部は下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンなどの分泌を調節しています。

3:正しい記述です。

4:ソマトスタチンは視床下部に存在し、下垂体前葉の成長ホルモンの分泌を抑制する働きをします。

5:負のフィードバックとは、ある結果に対して、その原因や操作が抑制されることを指します。例えば、血液中の血糖値が高いという“原因”に対してインスリン分泌という“操作”が行われ、その“結果”、血液中の血糖値が減少するという流れにおいて、血糖値減少という結果により、インスリンの分泌が抑制されることを負のフィードバックと言う訳です(負とありますが、決してマイナスな意味ではありません)。
選択肢の記述で言うと、副腎皮質刺激ホルモン濃度の上昇によって、負のフィードバックが“行われる”ことになります。

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03

以下に解説します。

選択肢1. 視床下部のニューロンの一部は下垂体前葉に軸索を送る。

正しくありません。視床下部のニューロンは主に下垂体後葉に直接軸索を送りますが、下垂体前葉にはホルモンを介して間接的に影響を与えます。

選択肢2. 視床下部は下垂体後葉ホルモンの分泌を制御するホルモンを産生する。

下垂体後葉ではなく前葉です。

選択肢3. 視床下部で産生されたホルモンは下垂体門脈によって下垂体に運搬される。

正しいです。

選択肢4. 視床下部から分泌されるソマトスタチンは下垂体からの成長ホルモンの分泌を促進する。

正しくありません。ソマトスタチンは成長ホルモンの分泌を抑制します。

選択肢5. 血液中の副腎皮質刺激ホルモンの濃度が上昇すると、視床下部に対する負のフィードバックが低下する。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の濃度が上昇すると、視床下部への負のフィードバックが高まり、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が抑制されます。

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