公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問85
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問85 (訂正依頼・報告はこちら)
R. L. Selmanによる役割取得(社会的視点取得)の発達段階のうち、自他の視点の両方を考慮する第三者的視点をとれるようになる段階として、正しいものを1つ選べ。
- 相互役割取得の段階
- 主観的役割取得の段階
- 自己中心的役割取得の段階
- 自己内省的役割取得の段階
- 象徴的相互交渉の役割取得の段階
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この過去問の解説 (3件)
01
役割取得とは、「相手の気持ちを推測し、理解すること」と定義されます。
Selmanは役割取得について、レベル0~レベル4までの5つの発達段階があると考えました。具体的には、レベル0から順に、「自己中心的役割取得」「主観的役割取得」「自己内省的役割取得」「相互役割取得」「象徴的相互交渉の役割取得」となります。
設問には、“第三者的視点をとれる~”とあります。
まず、「主観的」あるいは「自己中心的」といった言葉は、「第三者的」とは正反対の意味ですから、2と3は除外できます。
自己内省的役割取得の段階は、他者の視点から自分の思考や行動を内省できる段階です。一見良さそうですが、ここで「他者」と「第三者」の区別がポイントとなります。すなわち、他者は二人称(英語でいうyou)、第三者は三人称(英語ではHeやSheなど)を意味します。よって4も誤りとなります。
残るは1と5ですが、正解は1の相互役割取得の段階で、この段階で人は第三者の視点をとることや、自分を客観的に見ることが出来るようになります。
その次に来るのが5の象徴的相互交渉の役割取得の段階で、この段階になると、自分が様々な社会的カテゴリーに属していることが分かるようになります。
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02
正答は1です。
役割取得能力とは、相手の考えや気持ちを推測し、理解する能力のことを表します。その役割取得能力には以下の5つの発達段階があると言われています。第三者の視点をとれるようになるのは、相互役割取得の段階となりますので、正答は(1)です。
① 自己中心的役割取得:自分と他者の区別が未分化であり、自分と他者の視点を区別することが難しい。(自分が楽しいので、相手も楽しいだろう。)
② 主観的役割取得:自分と他者の違いを理解するようにはなる。しかし、表情など表面的なもので感情を予測しがちであり、本当の気持ちを推察することまでは難しい。(相手は笑っているから、嬉しいのだろう。)
③ 自己内省的役割取得:自分と他者の視点を区別し、他者から見た自分と自分が知る現実の自分といった2つが存在することを理解できるようになる。他者の視点から自分の思考や行動について内省できるようになる。(相手は笑っているけど、自分は悲しいから、実は相手も悲しいのだろう。)
④ 相互的役割取得:自分と他者(私とあなた)の視点以外に、第三者(彼・彼女)の視点をとることができるようになる。また、第三者的な視点から客観的に自身の思考や行動について内省できるようになる。
⑤ 象徴的相互交渉の役割取得:自分が多様な視点が存在する社会カテゴリーに所属していることを理解し、社会・集団の視点を用いることができるようになる。
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03
以下に解説します。
正しいです。他者の視点を理解し、自分の視点と他者の視点を同時に考慮することができる段階で、第三者的視点を持つことができるようになります。
他者の視点を理解しようとするが、他者の意図や感情を完全に理解するには至らない段階です。
自己の視点からのみ物事を理解する段階で、他者の視点を考慮することはできません。
自分の内面に目を向け、他者の視点を考慮しつつも、まだ自分自身の視点が強く影響している段階です。
より高度な段階で、社会的な文脈や文化的背景を考慮に入れた上で、他者と関わる能力が発達しますが、これは相互役割取得の後の段階です。
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