公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問89

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問89 (訂正依頼・報告はこちら)

認知症の高齢者への回想法について、正しいものを1つ選べ。
  • 行動の変容を目標とする。
  • 個人面接では実施しない。
  • 昔の物品を手掛かりにする。
  • 一定の間隔をあけて繰り返す。
  • 認知に焦点を当てたアプローチである。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:3】

回想法とは、自分の過去のことを話すことで精神を安定させ、認知機能の改善も期待できる心理療法のことです。認知症の治療だけでなく、予防法としても注目されています。

1:回想法は精神的な安定と、認知機能の改善が目標です。

2:回想法にはマンツーマンで行うものと、グループで行うものとが存在します。

3:正しい記述です。回想法では、昔の物品や映像が用いられます。

4:頻度としては週に1回が多いですが、そういった決まりがあるわけではありません。無理強いはしない(頻度について決まりを設けない)のが基本です。

5:紛らわしい選択肢ですが、認知行動療法が好例で、認知機能と認知(物事の捉え方)は別物です。
回想法は認知機能の改善を目的とするのであって、認知に焦点を当てる訳ではありません。

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02

正答は3です。

回想法とは、認知症高齢者への心理療法のひとつです。過去の体験を誰かに語ったり、誰かと語り合ったりする中で、脳の活性化が促され、精神状態が安定することなどが期待されます。

1 回想法に期待される効果として、語り合うことで不安や孤独感が和らぎ精神的に安定することや、脳が活性化され認知症の進行を穏やかにすることが挙げられています。行動変容は目標とはしていないため、誤りとなります。

2 グループで語り合うグループ回想法だけでなく、個人面談で実施する個人回想法もあるため、誤りとなります。

3 昔の写真を見たり、昔に聞いていた音楽を聴いたりするなど、昔の物品を用いることで、昔のことを思い出しやすくなるため、回想法を実施する上では有効であると言えます。したがって、正答です。

4 回数や頻度については特段定められていません。定期的に間隔を開けながら繰り返すことで、効果が表れてくることは大いに考えられますが、思い出して語ることにもエネルギーが必要とされることもあり、回数やペースについては無理強いしない方が良いとも言われています。したがって、誤答となります。

5 認知症の進行を緩やかにするなど、認知機能へのアプローチとはなりますが、回想法において焦点を当てるのは認知ではなく、過去の体験を語る、語り合うことによる情緒面の安定の部分が大きいと考えられ、誤答となります。

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03

回想法とは高齢者が思い出を振り返り、仲間や聴き手と分かち合うことで、喜びや満足感を感じ、かけがえのない自分を再評価し、孤独感を和らげる方法で、心理療法の1つです。

 

選択肢1. 行動の変容を目標とする。

誤りです。行動変容は回想法の目標ではなく、精神的安定や孤独感の解消が解消法の目標の1つになります。

選択肢2. 個人面接では実施しない。

誤りです。グループ面接での回想法と個人面接での回想法があります。

選択肢3. 昔の物品を手掛かりにする。

正解です。昔好きだったものや好きだった音楽などを用いて行われることが多いです。

選択肢4. 一定の間隔をあけて繰り返す。

誤りです。頻度や回数など細かい規定はありませんが、定期的に繰り返し行うことで効果が期待できるでしょう。ただし、注意なのは、個人にもよりますが、回想法は昔のことを思い出して語るため、過度に行いすぎると負担を感じてしまう場合もあるということです。個人個人に合わせて適当な感覚で行うのが望ましいとされています。
 

選択肢5. 認知に焦点を当てたアプローチである。

誤りです。認知症の進行を抑制する効果や、認知症予防にも効果が期待されているという意味で、認知機能へのアプローチとはなりますが、回想法においては認知に焦点を当てるというより、自身の昔の体験を語り分かち合うことで精神的な安定を得るという情緒的なアプローチの方が大きいと考えられます。

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