公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問92

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問92 (訂正依頼・報告はこちら)

解離性障害について、正しいものを1つ選べ。
  • 自殺企図との関連は乏しい。
  • 心的外傷との関連は乏しい。
  • 半数以上に交代性人格を伴う。
  • てんかんとの鑑別が必要である。
  • 治療の方針は失われた記憶を早期に回復させることである。

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この過去問の解説 (2件)

01

正答は4です。

解離とは、本来統合されている意識や記憶などの統合が失われている状態を指します。ストレスや心的外傷などのつらい体験を収めておくことができず、体験の記憶やその感情などを切り離すといった、自身へのダメージを避けるための防衛反応であると考えられます。解離の程度や頻度が大きく、日常の生活に支障をきたすような状態を解離性障害と言います。

1 解離性障害を含む精神疾患は、自殺企図のリスクとして挙げられており、「関連は乏しい」という点は誤りとなります。また、解離性障害の特徴としては、記憶、感情、行動などにまとまりを欠いている状態であるため、突発的に自殺企図を行う傾向があり、注意が必要とされています。

2 解離のメカニズムとして、心的外傷から生じる苦痛を切り離すことで、バランスを保とうとしていることが考えられ、心的外傷との関連は少なくないため、誤りとなります。

3 交代性人格とは、自我が分離して1人の中に2人以上の人格が存在し、それぞれ異なる感情や行動を有している状態であり、解離性同一性障害において見られます。「半数以上に伴う」という部分が誤りとなります(30%程度であると言われているようです)。

4 記述のとおりです。昏睡状態になったり、けいれんを起こしたりするなど、てんかんと解離性障害では類似した症状が見られるため、精査が必要です。てんかんであれば脳などの外因、解離性障害であれば心因となります。

5 治療方針としては、分化している記憶や体験を繋げていくことは目的となり得ますが、留意しなければならないのは、安心できる関係性を作り、安全な場を提供しながら進めていくことです。早期に思い出せようとすることは侵襲性が高く、回復から遠のいてしまいかねないものであり、誤りとなります。

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02

【正解:4】

解離性障害は、解離を主症状とする障害であり、解離とは、意識や記憶、自我同一性など通常は統合されている機能が破綻し、個人の連続性が失われることを指します。解離性障害の下位分類として、解離性健忘、解離性遁走、離人・現実感喪失症、解離性同一性障害の4つが存在します(DSM-5では、解離性遁走が解離性健忘に統合されました)。原因は不明ですが、心的外傷体験や内的葛藤が背景にあると考えられています。有効な治療法はなく、自然治癒を待つ場合も少なくありません。

1:解離性障害には心的外傷体験が影響しており、生きづらさから自傷行為をする患者もいます。それゆえ、自殺企図との関連についても軽視できません。

2:上記より、誤った記述であると分かります。

3:交代性人格を伴う場合、解離性障害の中でも解離性同一性障害と診断されますが、この解離性同一性障害は、解離性障害の約30%と言われています。従って、“半数以上”という記述は誤りであると言えます

4:解離性障害の患者には、てんかんのように、けいれんしたり、手がビクビク動いたりする方がいます。これは解離性けいれんと呼ばれるもので、てんかんとの鑑別が必要です。
なお、てんかんは脳に異常を認めますが、解離性けいれんでは脳には異常が見られません。

5:解離性障害は心的外傷が大きな要因と考えられる疾患です。従って、安心できる関係性の中でしか、解離されている部分は表現できず、早期の回復を目指すものではないと言えます。

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