公認心理師の過去問 第2回(2019年) 午後 問93
この過去問の解説 (2件)
1:正しい記述です。ADHDの中には、周囲の無理解や不適切な対応から、9歳ごろより反抗挑戦性障害を併発するケースが見られます。この反抗挑戦性障害がエスカレートすると、万引きや暴力などを繰り返す素行症に発展する可能性があると言われています。
2:“ADHDと気分障害”(※)によれば、例えば成人期のADHDには双極性障害が21.2%併存するとあり、“5%以下”ではないことが分かります。
3:ペアレントトレーニング(ペアトレ)は、子どもの行動に着目し、行動療法に基づく効果的な関わり方を保護者が学んでいくプログラムで、子どものかんしゃくや攻撃的なふるまいなどを改善するためのプログラムです。
対象となる子どもには知的障害やASDのほかにADHDも含まれており、故にこの選択肢は誤りであるということになります。
4:治療の第一選択はストラテラなどの薬物療法であり、並行して行動療法が用いられることがあります。
5:選択肢1の解説より、誤りであると分かります。
※https://medical-society-production-tkypa.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/theme/pdf/457/20151114_003.pdf
正答は1です。
障害の特性から対人関係や社会生活がうまくいかない中で、心理的に傷ついたり、精神疾患を合併したり、適応をさらに難しくするような問題行動が生じることが少なくなく、こうした状態を二次障害と表します。
1 不注意、多動、衝動の行動上の特徴は、集団規範に合致しないことも多く、叱られたりする経験を重ねるうちに、大人や社会に対して反抗的な態度を取るようになる場合があります。社会で決められたルールを守らなかったり、他者の人権を侵害するようなことをしたり、反社会的な行動を繰り返し起こしたりすることから、次第に素行障害(行為障害)に移行する場合もあり、正答です。
2 上述したように、ADHDの行動上の特徴は、褒められる機会よりも叱られる機会が増えるなど社会生活や対人関係がうまくいかないことが多く、そうした状況下で自尊感情が傷つき、気分障害などの二次障害を合併する場合も少なくないため、適切とは言えません。
3 ペアレントトレーニングとは、保護者が子どもへの関わり方を学びながら、子どもの行動を改善することを目的とした保護者向けのプログラムです。知的障害や発達障害の子どもを持つ保護者に用いられています。したがって、記述は誤りとなります。
4 治療方針として、一般的には薬物療法と心理(社会的)療法と言われています。薬物療法において、ADHDによる症状の緩和を図ります。心理社会的療法としては、ソーシャルスキルトレーニングや環境調整、ペアレントトレーニングなどが挙げられます。加えて、ADHDの治療においては、精神分析よりも行動療法によって望ましい行動を強化したり、望ましくない行動を消去したりするアプローチが一般的です。したがって、誤りとなります。
5 家族など本人と関わる周囲の人たちの理解が得られない場合、(1)のように反抗的な態度を取り素行障害に至る場合や(2)のように自尊感情が傷つき気分障害に至る場合も考えられます。周囲の理解が二次障害の起こりやすさにも関わるとされ、養育環境の影響は少なからずあると考えられます。したがって、誤りとなります。
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