公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問105
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問105 (訂正依頼・報告はこちら)
小学5年生のある学級の校外学習において、児童が1名死亡し、複数の児童が怪我を負うという交通事故が起こった。事故後4日が経過した時点で、学級会で公認心理師が話をすることになった。
公認心理師の行動として、最も適切なものを1つ選べ。
公認心理師の行動として、最も適切なものを1つ選べ。
- 全員から今の心境や思いを話してもらい傾聴する。
- 全員が強いトラウマを受けていることを前提として話をする。
- 悲しみや怒りが一定期間続くことは自然なことであると伝える。
- 全員がこの悲しい出来事に対処できる力を持っていると伝える。
- 軽傷で済んだ児童に、生きていて本当に良かったと言葉をかける。
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この過去問の解説 (2件)
01
急性ストレス障害(Acute Stress Disorder:ASD)とは、生死にかかわるような強烈な恐怖やショックなど、心的外傷的なことを体験した後に起こる精神障害です。悪夢となって現れたり、体験をはっきり思い出したり、過覚醒状態となったり、体験に関したことを避ける傾向が続き、数日から4週間以内に自然治癒する一過性の障害のことを指します。
症状の中には、睡眠障害や、ちょっとした物音にビクッとしたり、イライラすることなどもあります。
ちなみに、4週間以上経っても治らない場合は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されます。
心的外傷的なことを体験した際は、本人が安心と感じられる環境を整えること、周囲のサポート体制を敷くことが大切です。心的外傷後の反応はごく自然なものですが、個人差が大きく、同じ体験をした人でも受ける影響が異なります。心的外傷を詮索せず、健康な部分を広げていく対応をしていきます。
1.→全員が交通事故を同じように深刻にとらえているとは限りません。思いを分かち合えないことで傷つく人も出てくるため、不適切です。
2.→交通事故のとらえ方には個人差があり、必ずしもトラウマを受けているとは限りません。
3.→悲しみや怒りが一定期間続くのは急性ストレス障害の症状であり、ごく自然なことです。このことを伝えることで、児童の感情が当たり前のものなのだと認識できるため、適切です。
4.→全員がこの交通事故を同じ深さではとらえていないことを考えると、「悲しみ」と決めつけることはできません。
5.→児童にとっては、亡くなった児童がいることや事故にあったことが、心的外傷につながっていることもあります。励ましが逆効果になることがありますので、不適切です。
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02
【正解:3】
本問は、心的外傷体験がテーマとなっています。心理師には危機介入が求められますが、その際に前提としなければならないことは、一口に心的外傷体験と言っても、その程度は1人1人異なるということです。また、ストレスへの対処能力も個々によって異なります。その観点で見ると、“全員”という単語が含まれている1,2,4は不適切と分かります。
また、児童の中には、自分が軽傷で済んだことへの罪悪感を抱えている子もいるかもしれません。そう考えると、5のような言葉かけは安易に行うべきではありません。
3は適切な対応です。このような言葉かけを行うことで、児童たちに、自分たちの感情や自分たちに生じていることが、おかしなことではないと伝えることが出来ます。
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