公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問109 (午後 問111)

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問109(午後 問111) (訂正依頼・報告はこちら)

I. D. Yalomらの集団療法の治療要因について、誤っているものを1つ選べ。
  • 他者を援助することを通して、自己評価を高める。
  • 他のメンバーを観察することを通して、新たな行動を学習する。
  • 集団との一体感を覚えることで、メンバー相互の援助能力を高める。
  • 現在と過去の経験についての強い感情を抑制することで、コントロール力を高める。
  • 他者も自分と同じような問題や悩みを持っていることを知り、自分だけが特異ではないことに気づく。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

I. D. Yalomらの集団療法の治療要因は11個あります。

①希望をもたらす
 (集団内のメンバーの成長を見て、自分も成長できるのではないかと希望をもたらすこと)
②普遍的体験
 (いろいろな人と接することで「自分だけではない」と感じること)
③受容される体験
 (素の自分が他人に受け入れられることにより、自分自身を受け入れていく体験)
④愛他的体験
 (誰かの役に立ち、喜ばれることで自尊心の回復につながる)
⑤情報の伝達
 (多くの人から役立つ情報を得ることで、自分自身の知識が増える)
⑥現実検討(自己確認、自己評価)
 (集団内のメンバーを客観的に見ることで自分の置かれている現状につなげる)
⑦模倣・学習・修正
 (生活技能、対人関係など)
⑧表現・カタルシス
 (強く深い感情を受け入れてもらうことで悩みが薄らいでいく)
⑨相互作用・凝集性
 (集団が成長してくると、お互いに助け合う)
⑩共有体験
 (一緒に物事に取り組むことで自信が生まれたり、親密感が生まれる)
⑪実存的体験
 (あるがままを現実的に受け止めることができる)

この11の治療要因に該当しないのは4ですので、正解は4です。

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02

【正解:4】

集団療法とは、文字通り複数のクライアントが集まって行われる心理療法のことです。

グループであることから、参加者同士がお互いに影響を及ぼし合うことが特徴です。

また、過去よりも、「今ここ」を重視します。

Yalomらが挙げた、集団療法で効果をもたらす要因は以下の11個です。【希望をもたらすこと、普遍性、情報の伝達、愛他主義、初期家族関係の修正的な繰り返し、ソーシャルスキルの発達、模倣行動、対人学習、グループの凝縮性、カタルシス、実存的因子】

選択肢で見ると、1は愛他主義、2は模倣行動、3はグループの凝縮性、5は普遍性にそれぞれ該当します。

一方、4のみいずれにも該当しませんので、誤っているものは4となります。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。I. D.Yalomらの集団療法の11の治療要因、理論について問われています。

では、問題を見てみましょう。

 

選択肢1. 他者を援助することを通して、自己評価を高める。

自分が他者の役に立つために援助をすると、他者に必要とされていると認識できるため、自己評価が高まります。愛他主義と言われるものですので、適切です。

 

選択肢2. 他のメンバーを観察することを通して、新たな行動を学習する。

他者の真似、模倣を通じて自己の行動を考えること、模倣行動は含まれますので、適切です。

選択肢3. 集団との一体感を覚えることで、メンバー相互の援助能力を高める。

他のグループと同じ感覚を持ち得ること、集団の凝集性が影響を与えますので、適切です。

選択肢4. 現在と過去の経験についての強い感情を抑制することで、コントロール力を高める。

正解です。

まず、自己の感情を抑制できることは、語って集団に受け入れられた感覚を持つことであるカタルシスの逆の考えを示されていますので、集団療法の影響因子ではありません。

 

選択肢5. 他者も自分と同じような問題や悩みを持っていることを知り、自分だけが特異ではないことに気づく。

自分だけが悩んでるわけではないという感覚、普遍性のことを示していますので、適切です。

まとめ

希望の注入、情報の分与、家族で経験したことを他の集団で追体験することなど、集団から得る様々な影響が要因となります。整理して覚えておきましょう。

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