公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問136 (午後 問138)
問題文
25歳の男性A、会社員。3か月前にバイク事故により総合病院の救命救急センターに搬入された。意識障害はなく、胸髄損傷による両下肢完全麻痺と診断された。2週間前、主治医からAに、今後、両下肢完全麻痺の回復は期待できないとの告知がなされた。その後Aはふさぎこみ、発語が少なくなったため、主治医から院内の公認心理師Bに評価及び介入の依頼があった。Bが訪室するとAは表情がさえず、早朝覚醒と意欲低下が認められた。
このときのBの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 問136(午後 問138) (訂正依頼・報告はこちら)
25歳の男性A、会社員。3か月前にバイク事故により総合病院の救命救急センターに搬入された。意識障害はなく、胸髄損傷による両下肢完全麻痺と診断された。2週間前、主治医からAに、今後、両下肢完全麻痺の回復は期待できないとの告知がなされた。その後Aはふさぎこみ、発語が少なくなったため、主治医から院内の公認心理師Bに評価及び介入の依頼があった。Bが訪室するとAは表情がさえず、早朝覚醒と意欲低下が認められた。
このときのBの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
このときのBの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
- 神経心理学的検査を行う。
- 障害受容プロセスを話題にする。
- アサーション・トレーニングを導入する。
- 脊髄損傷の当事者の会への参加を勧める。
- 抑うつ状態が疑われることを主治医に報告する。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.→「意識障害はなく、胸髄損傷による両下肢完全麻痺と診断された」ということは、事故による脳機能の損傷はなかったと考えられます。神経心理学的検査は、脳の損傷や認知症等によって生じた知能、記憶、言語等の高次脳機能の障害を評価するための検査なので、これは最も優先度が高いとは考えなくて良いでしょう。よって、1は誤りです。
2.→Aが「ふさぎこんで、発語が少なく」なっている状態に追い打ちをかけるように「障害受容」について話すのは時期尚早と思われます。最も優先度が高いとは言いがたいです。よって、2は誤りです。
3.→アサーション・トレーニングは「相手のことを思いやりつつ自分のことを伝える訓練」です。事例では、Aが周りの人たちに何かを伝えることが難しいということではありません。障害が残ることを聞かされ、「ふさぎこみ、発語が少なくなっている」とみなすのが自然です。よって、3は誤りです。
4.→ある程度Aが障害を受容してからでなければ、当事者の会に入っても効果は期待できません。これも時期尚早です。よって、4は誤りです。
5.→「ふさぎこみ、発語が少なく」なったことと、「表情がさえず、早朝覚醒、意欲低下」が認められるということで、最も優先度が高いのは、抑うつ状態が疑われることを主治医に伝えることです。よって、5は正しいです。
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02
【正解:5】
バイク事故に遭い、主治医から両下肢完全麻痺の回復は期待できないと言われ、ふさぎこみ、発語が少なくなったという事例です。
また、Bが訪問した際の表情がさえず、早朝覚醒と意欲低下が認められたことから、想定すべきは抑うつ状態です。従って、正解は5となります。
1:事例から、事故による脳機能の損傷はなかったことが分かります。よって、神経心理学的検査の優先度は高いとは言えません。
2:障害受容は確かに今後必要になると思われますが、現実に打ちひしがれているであろう現在の状態で行っても、あまり役には立たないでしょう。
3:アサーショントレーニングは、自分も相手も大切にした自己表現のことです。しかし、事例からはAが表現力に難があるとは読み取れませんし、何より現在の状態で実施しても、やはり役には立たないと考えられます。
4:当事者の会は、自身の状態をそれなりに受け入れた段階で参加すべき場所です。Aは現在ふさぎ込んでいるわけですから、当事者同士で共有したり、支え合ったりする段階にはありません。
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03
この事例では、25歳の男性Aがバイク事故による両下肢完全麻痺の診断を受け、2週間前に回復の見込みがないと告知されています。その後、ふさぎこみ、発語が少なく、早朝覚醒や意欲低下が見られることから、抑うつ状態の可能性が示唆されています。この状況において、心理師Bが最も優先的に行うべき対応を考えます。
これにより、医療チームとしての対応が適切に進められるため、最も優先度の高い対応といえます。
神経心理学的検査は認知機能の評価に有効ですが、Aの主訴は身体障害に伴う心理的影響であり、現時点で優先されるべきではありません。
抑うつ状態を考慮した心理的評価や医療チームとの連携が優先です。
障害受容プロセスは重要な支援テーマですが、Aの現状(抑うつ状態の可能性)を考慮すると、負担を与えるリスクがあります。
現在の状態では、まず心理的状態の評価とサポートが必要です。
サーション・トレーニングは自己主張のスキル向上を目的としていますが、Aが現在示している抑うつ症状(意欲低下やふさぎこみ)に対しては、直接的な支援ではありません。
当事者同士の交流は心理的支援に有効ですが、Aの現在の抑うつ症状を考えると、現段階では心理的状態の安定を図ることが先決です。
将来的には有効ですが、今の段階では優先度は低いと考えられます。
Aの症状(ふさぎこみ、早朝覚醒、意欲低下)は、抑うつ状態の典型的な症状です。このため、心理師として主治医に状況を迅速に報告し、医療チームとして治療計画を再検討することが最も適切です。
医療的な介入を行うための初動として、心理師の役割は重要であるため、 最も優先度が高く、適切な選択肢です。
本事例では、Aの心理的状態が抑うつ状態である可能性が高いため、心理師が主治医に状況を迅速に報告し、チームで対応を検討することが最も優先されます。これにより、適切な治療方針が早急に立てられ、Aの心理的・身体的回復に寄与することが期待されます。
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