公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問137

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問137 (訂正依頼・報告はこちら)

18歳の女性A、大学生。サークルに入部して1か月がたった頃、Aはいつも集合時間に遅刻するため、副部長のBから注意を受けた。そのことをきっかけにBを怖いと思うようになった。その後、忘れ物をした部員にBが注意している場面を偶然見かけ、Bはいつも怒っているので怖いという思いが強くなった。実際には、Bが部員を優しく励ましたり、場の雰囲気を和ませる発言をしたりする場面も見たことがあるが、そのことはAの印象には残っていなかった。やがてAは「Bがいるからサークルに行きたくない」と言い、サークルを休むことが多くなってきた。
このようなAの心理的特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 錯誤相関
  • 確証バイアス
  • 自己評価維持モデル
  • スポットライト効果
  • 利用可能性ヒューリスティック

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

1.→錯誤相関とは、本当は関係していない2つのものの間に、関係があると思い込むことをいいます。あるできごとに心を動かされ、それ以外のできごとを無視することで発生すると言われています。
Aは「サークルに行きたくない」理由として「Bがいるから」ということが関係しているため、錯誤相関ではありません。よって、1は不適切です。

2.→確証バイアスとは、自分の考えや信念を裏付ける情報だけを積極的に集めてしまう心理傾向のことをいいます。反対意見などに抵抗し、無意識に排除してしいます。
Aは、「Bが怖い」という考えを裏付ける情報だけ積極的に集め、Bの優しいところ等は無意識に排除してしまっています。よって、2は適切です。

3.→自己評価維持モデルとは、人がポジティブな自己評価を維持するために、自己評価が上がることであれば受け入れて賞賛し、自己評価が下がることであれば拒否し、抵抗するというものです。
Aは「Bが怖い」と思っているだけであり、それによって自己評価が高く維持されることはありません。よって、3は不適切です。

4.→スポットライト効果とは、自分が気にしていることを、他人も同じくらい気にしていると判断してしまうことをいいます。自分は注目されている、見られているという感覚があります。
Aには「Bに見られている」という感覚はありません。よって、4は不適切です。

5.→利用可能性ヒューリスティックとは、関連情報を広範に収集することなく、思い出しやすい、あるいは入手しやすい情報に頼って判断する方法をいいます。自分にとって思い出しやすい事柄は「よくあること」で、自分にとって馴染みがない事柄は世の中でも起きないと考えてしまう傾向のことです。
「Bが怒る」というのは「よくあること」と言えるほどAはBと接してはいないため、5は不適切です。

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02

【正解:2】

事例を読むと、

①Aは限られた場面からBを常に怒っていると思い込み、

②Bの優しい面は印象に残らない、

という2点が分かります。あとはこれら2点を含んだ選択肢を選べば良いということになります。

1:錯誤相関とは、相関がないデータに相関があると思い込んでしまう現象です。

2:確証バイアスとは、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。前半は上記①、後半は②に対応する説明となっており、2が正解となります。

3:.自己評価維持モデルは、人は肯定的な評価を維持することに動機づけられていると考えるモデルです。

4:スポットライト効果は、自分の装いや振る舞いが、実際よりも周囲の注目を集めていると推測することです。

5:ヒューリスティックとは、人が問題解決のためなどに、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことです。経験則と同じような意味ですね。

そして利用可能性ヒューリスティックは、人が意思決定を行うときに、よく見るものや印象に残りやすいものを基準に選択を行う方法のことです。

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