公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問137 (午後 問139)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問137(午後 問139) (訂正依頼・報告はこちら)

74歳の女性。単身生活で、就労はしていない。最近物忘れがひどいと総合病院の内科を受診した。内科医から公認心理師に心理的アセスメントの依頼があった。精神疾患の既往歴はなく、神経学的異常もみられない。以前から高血圧症を指摘されていたが、現在はコントロールされている。頭部CT検査で異常はなく、改訂長谷川式簡易知能評価スケール<HDS-R>は21点であった。
この時点で公認心理師が行う心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
  • CAPS
  • CPT
  • MMPI
  • WMS-R
  • Y-BOCS

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

74歳女性の症状をまとめてみますと、「最近物忘れがひどい」「精神疾患の既往歴なし」「神経学的異常なし」「高血圧もはコントロールされている」「頭部CT異常なし」とのことです。

「改訂長谷川式簡易知能評価スケール<HDS-R>は21点」というところですが、このテストは認知症のスクリーニングに使えるテストです。そして、20点以下だと認知症の疑いがあるとみなされますが、この女性は21点ですので、認知症とは言い切れなさそうです。

1.→CAPSは「PTSD構造化診断面接尺度」です。
女性は特にPTSDらしき症状はみられないです。よって、1は不適切です。

2.→CPTは「持続処理課題」と呼ばれ、ADHDの不注意と衝動性を客観的に評価できる検査方法です。
女性は精神疾患の既往歴もなく、ADHDからくる不注意とも考えにくいため、2は不適切です。

3.→MMPIは精神的問題を多面的に評価できる人格目録です。
女性は精神疾患の既往歴もないため、このテストも考えにくいです。また、問題が550の質問項目で成り立っているので、高齢の方には負担が大きいとも考えられます。よって、3は不適切です。

4.→WMS-Rはウェクスラーによって開発された記憶の総合検査です。この検査では、記憶の種類を「言語性記憶」「視覚性記憶」「一般的記憶(前者2つを統合したもの)」「注意・集中力」「遅延再生」の5つの指標で表せるという特徴があります。
記憶について、長谷川式では測れない細部まで測ることができるという点で、WMS-Rは適切な検査であると言えます。よって、4は適切です。

5.→Y-BOCSは強迫性障害の重症度をはかるテストです。
女性に強迫性症状らしき症状はみられないため、5は不適切です。

参考になった数99

02

【正解:4】

74歳という年齢、物忘れの酷さなどがある一方で、精神疾患の既往歴はなく、HDS-Rからは認知症の疑いありとはいえない(30点満点中20点以下が「疑いあり」なので、21点はきわどい)といった情報もふまえて、実施すべき検査を考えます。

以下で各検査について簡単に述べてみます。

1:CAPS(Clinician-Administered PTSD Scale)は、PTSD診断用構造化面接尺度のことです。

2:CPT(持続処理課題)は、持続性の注意を測定する検査です。ADHDのスクリーニングなどに用いられます。

3:MMPI(ミネソタ多面的人格目録)は、質問紙検査の1つです。精神医学的診断の尺度の作成を目的に開発され、健常者と精神疾患を持つ者で有意差があった質問項目で構成されている点が特徴です。

4:WMS-R(Wechsler Memory Scale-Revised)は、ウェクスラー記憶検査のことで、認知症をはじめとする様々な疾患における記憶障害の有無とその程度を体系的に評価する検査です。

5:Y-BOCS(Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)は、強迫性障害の重症度を点数としてみることが出来る検査のことです。

事例から、AにPTSDや強迫性障害を思わせる部分は見られません。ADHDや他の精神疾患についても同様です。

以上から、実施すべき検査は4以外にないということになります。

参考になった数52

03

本事例では、74歳の女性が物忘れを主訴に総合病院を受診しています。改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の得点は㉑点で、これは軽度認知障害や初期の認知症の可能性を示唆するスコアです。この状況で、公認心理師が次に行うべき心理検査を選択します。

選択肢1. CAPS

CAPSはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を評価するための半構造化面接法です。本事例にはPTSDやトラウマに関連する症状は見られないため、適用が不適切です。

選択肢2. CPT

CPTは注意力や集中力を測定する検査で、主にADHD(注意欠如・多動症)や神経発達障害の評価に用いられます。本事例では、物忘れが主訴であり、認知機能全般の評価が必要です。CPTは適用範囲が狭く、不適切です。

選択肢3. MMPI

MMPIはパーソナリティ特性や精神病理の評価に使用される検査です。本事例では物忘れが主訴であり、認知機能の評価が目的です。MMPIは目的に適していません。

選択肢4. WMS-R

WMS-Rは記憶機能を総合的に評価する検査です。本事例のHDS-Rスコア(21点)は軽度認知障害や認知症の初期段階の可能性を示唆しており、記憶力や認知機能の詳細な評価が必要です。このような場合、WMS-Rは適切な選択です。

選択肢5. Y-BOCS

Y-BOCSは強迫症(OCD)の症状の重症度を評価する検査です。本事例には強迫症状に関連する記述がないため、適用は不適切です。

まとめ

本事例では物忘れが主訴であり、HDS-Rスコアが軽度認知障害や認知症を示唆するため、記憶力を中心に認知機能を詳細に評価することが必要です。

WMS-Rは記憶機能を包括的に評価できるため、本事例において最適な心理検査です。

参考になった数2