公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問141 (午後 問143)

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問141(午後 問143) (訂正依頼・報告はこちら)

13歳の男子A、中学1年生。Aは両親と2つ上の兄Bと暮らしている。両親は、AとBが幼い頃から、多くの学習塾に通わせるなどして中学受験を目指させた。Bは志望校に合格したが、Aは不合格であった。両親は「お前は出来そこないだ。これからは死ぬ気で勉強しろ」とAを繰り返しなじった。次第に両親は「お前はBとは違って負け犬だ。負け犬の顔など見たくない」と言い、Aに別室で一人で食事をさせたり、小遣いを与えなかったりし始めた。
両親の行為は虐待種別の何に当たるか、最も適切なものを1つ選べ。
  • 教育的虐待
  • 経済的虐待
  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • ネグレクト

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

児童虐待は、家庭の中で行われる行為であるため、定義しづらいところがあります。

「児童虐待防止法」では、児童虐待の定義を定めています。
児童虐待防止法で定められている虐待の種類は、「身体的虐待」「ネグレクト」「性的虐待」「心理的虐待」の4つです。

1.→教育的虐待、というのはありませんので、1は誤りです。

2.→経済的虐待は、高齢者虐待防止法や障害者虐待防止法にはありますが、児童虐待防止法にはありません。よって2は誤りです。

3.→身体的虐待は実際に殴る、蹴る、お風呂に沈める等の暴力のことを言います。記述からはAは暴力を振るわれている記述はないため、3は誤りです。

4.→Aが実際に親に言われた言葉によって苦しんでいることを考えると、これは心理的虐待に当たります。よって、4は正しいです。

5.→別室ではありますが、ご飯は一応食べさせてもらっており、その他に養育放棄されている記述は見当たらないため、ネグレクトには当たらないと推測されます。よって、5は誤りです。

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02

【正解:4】

児童虐待の種別が問われています。

児童虐待には「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」の4種類があります。

まず、ここに含まれていない1と2は誤りとなります。

残る3~5を見ていきます。

身体的虐待は一言で言えば物理的な暴力、ネグレクトは長時間の放置や、食事を与えないと言った行為などを指しますが、事例においてそのような記述は見られません。

心理的虐待はいわば言葉の暴力で、“出来そこない”、“負け犬”といった発言が該当しますので、4が正解となります。

なお、心理的虐待はこの他にも、子どもの目の前でDVが行われるなど、児童が間接的に被害を受けたものも含まれます。

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03

本事例では、13歳の男子Aが両親から「心理的な圧力」や「差別的な扱い」を受けていることが記載されています。Aに対する両親の侮辱的な発言や差別的な扱いが繰り返されており、これがAの精神的健康に悪影響を及ぼしていると考えられます。

選択肢1. 教育的虐待

教育的虐待は、過度な学習負担を強いることや、教育機会を意図的に奪う行為を指します。Aのケースでは、中学受験を目指すための過度な学習負担があった可能性はありますが、現在の問題の中心は「心理的な攻撃」や「差別的扱い」であり、教育的虐待が主たる虐待とは言えません。

選択肢2. 経済的虐待

経済的虐待は、養育者が意図的に子どもの基本的な生活に必要な経済的支援を制限する行為を指します。Aへの小遣いを与えない行為は経済的な制限に該当しますが、これも全体の問題の一部であり、心理的影響が中心のため主たる虐待には該当しません。

選択肢3. 身体的虐待

身体的虐待は、暴力を加えたり、身体的な損傷を引き起こす行為を指します。本事例では、Aに対する身体的な暴力の記載はないため、該当しません。

選択肢4. 心理的虐待

適切です。

心理的虐待は、子どもに対して言葉や態度で精神的苦痛を与える行為を指します。本事例では、Aに対して「お前は出来そこないだ」「負け犬だ」などの侮辱的な言葉を繰り返し浴びせており、心理的虐待に明確に該当します。さらに、差別的な扱いを通じてAの精神的負担を増幅させています。

選択肢5. ネグレクト

ネグレクトは、子どもの基本的な養育を怠る行為を指します。本事例では、「別室で一人で食事をさせる」行為がネグレクトに関連している可能性もありますが、全体としては心理的な攻撃が中心であり、ネグレクトは主たる虐待種別とは言えません。

まとめ

本事例では、両親がAに対して侮辱的な発言(「出来そこない」「負け犬」など)や差別的な扱い(別室での食事、小遣いを与えない)を繰り返しており、これがAの精神的健康に深刻な悪影響を及ぼしています。これらの行為は、心理的虐待に該当します。

 

心理的虐待とは、言葉や態度で精神的苦痛を与える行為を指し、子どもの自己肯定感や精神的健康に大きなダメージを与えるものです。

 

本事例では心理的攻撃が中心であるため、心理的虐待が最も適切な分類となります。

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